データ提供 PR TIMES
本記事の内容に関するお問い合わせ、または掲載についてのお問い合わせは株式会社 PR TIMES (release_fujitv@prtimes.co.jp)までご連絡ください。また、製品・サービスなどに関するお問い合わせに関しましては、それぞれの発表企業・団体にご連絡ください。

人気商品がお店にない―ネット注文してもなかなか商品が届かない

品切れしていた。そんな経験はありませんか?逆に、お店の隅っこでホコリをかぶる商品を見て、「どうなってしまうんだろう…」なんて思ったことはありませんか?

実はこの「品切れ」と「売れ残り」、相反する言葉でありながら、どちらも「在庫」が引き起こす悩ましい問題です。

「在庫」と聞くと悪いイメージに聞こえる人もいるかもしれませんが、中には良い在庫もあります。

悪い在庫は需要と乖離し、長い間店舗の棚や倉庫に眠ったままの商品です。

良い在庫は、皆さんが当たり前に欲しい商品を手に入れるために、必要な分を必要なタイミングで必要な方に届けることができるものです。それは、お客さまの暮らしに役立ち、企業にとっても利益を生む、大切な資産です。


「今日もお気に入り商品が「当たり前に」手に入る訳― 。」

今回はこの「悪い在庫」を減らし「良い在庫」を増やすために、新たな在庫管理の仕組みづくりを進めてきたSCM戦略部の2人の舞台裏に迫ります。


複雑化するサプライチェーンの“裏側”で何が起きているのか

サプライチェーンとは原材料が調達されてから商品が消費者に届くまでの一連の流れを指します。そして、サプライチェーンを一元管理し、全体最適を図る取り組みをサプライチェーンマネジメント(以下、SCM)と言います。

近年、生活者ニーズの細分化に伴い、柔軟剤の香りや、容量違いなどメーカーに求められる商品展開は多様化しています。多くのラインアップに対応しながら、適切な商品を供給し続けることは、非常に難しい挑戦です。また、サプライチェーンを取り巻く環境は、原材料価格の高騰、物流費の上昇、地政学リスク、さらには気候変動による自然災害の増加など、複雑さと不確実性を増しており、今までの「属人的な判断と経験」では、商品を管理することに限界が来ていたのです。

そこで2024年に始まったのが、ライオンのSCM高度化戦略です。

「当社がSCMの研究を本格的にスタートさせたのは2018年ごろです。大学との共同研究などを通じてSCMの理論を学び、データサイエンティストの採用など専門人材も強化しました。2020年から21年にかけてSCM戦略を練り上げ、2024年に本格的な改革に着手しました。相応の時間をかけて商品の『品切れ』と『過剰在庫』という二つの大きな問題に長年向き合ってきました。」(原さん)


サプライチェーン全体を見据えた全社最適化への道のり

2020年にデータサイエンティストとして入社した田中さんは、大学で経営工学を専攻し、需要予測手法と在庫管理の研究をしていました。ライオンに入社後は原さんと共にSCMの戦略立案から実行まで幅広く担当しました。

そんな中、彼女が着手したのは長年の課題であった「部門最適」の壁を壊すことでした。


「各部門が自部門の業務効率を優先して販売見通しを立てていたため、実際の需要とズレが生じ、ある商品は品切れ、別の商品は過剰在庫という問題を抱えていました」(田中さん)


この構造的な課題を解決するため、2つのステップで改革を進めました。

第一に、「在庫の種類の分解」です。売れ残り、キャンペーン用、品切れへの不安を解消するための保険など、一口に在庫といってもその背景や発生理由はさまざまであることが分かりました。


「今までは在庫をもつ基準が担当者ごとにバラバラでした。そこで、ライオンの800を超える全商品の在庫を目的別に分類しました。その結果、必要な在庫量が見える化され、適切な在庫水準や持ちすぎている在庫への対応を検討しやすくなりました。」(田中さん)


第二に、「AIによる需要予測の導入」です。

「従来は担当者の経験則に頼る部分も多く、多様化する生活者ニーズを捉えきれていませんでした。AIによる需要予測を導入したことで、販売見通しの精度が上がると同時に、会社全体で共通の数字をもとに、『どの商品を、どれだけ作るか』を一緒に考えられるようになりました。」(田中さん)


部門最適から全社最適へ。この地道な改革が、後に大きな成果へとつながっていきました。


「在庫11%削減」と「品切れ50%削減」という、矛盾への挑戦

SCMの理論を学び、業務やモデルの設計を行い、それを実際に運用できるようにする期間を含めると、約5年もの月日がかかりました。その成果は、2025年の実績としてはっきりと表れます。なんと、在庫を11%削減しながら、同時に品切れを50%も減らすことに成功したのです。

一般的には、「在庫を減らせば品切れは増える」と思われがちです。この常識を覆せた背景を、田中さんはこう解説します。

「ただ在庫を減らしたわけではありません。改革の核心は、在庫の『質』を高めたことにあります。これまでは『もし販売見通しが外れて品切れになったら大変だから、とりあえず多めに在庫を持っておこう』という『安心材料』として、在庫をたくさん抱えていました。たとえば先ほどお話した在庫の種類の分解とAIによる見通し精度向上を武器に、この『持たなくてよい在庫』を計画的に減らし、『本当に必要な在庫』に絞り込んだのです」(田中さん)

この「在庫の質の向上」は、さらなる好循環を生み出しました。過剰在庫が減ったことで倉庫スペースや輸送のムダも減り、物流効率は9%向上しました。物流効率が上がったことで、必要なタイミングで必要な場所に商品を届けやすくなり、限られた在庫でも品切れを起こしにくい、柔軟な供給体制を整えることができました。

つまり、単に在庫量を削ったのではなく、在庫と物流の「質」を同時に高めた結果として、「在庫11%削減」と「品切れ50%削減」という、一見矛盾するように見える2つの目標を両立できました。

「これは、ライオンの中期経営計画『Vision 2030 2nd STAGE』で掲げる『収益力の強靭化』を、SCM高度化によって具体的な成果へつなげた取り組みだと考えています」(田中さん)

ライオンが目指す、これからのSCM

企業として利益を出し、成長し続けることは重要です。しかし、私たちの根底にあるのは「より良い習慣づくりで人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパスです。

お客様が必要とするものを、必要なときに確実にお届けする「安定供給」。これを実現するため、私たちはSCMの高度化に取り組んでいます。

そしてこのパーパスは決して日本国内だけの話ではありません。日本で磨き上げたSCMを、アジアやその他の地域の関連会社へ広く浸透させることで、グループ全体の競争力を高めていく——それがこれからのミッションです。


【参考情報】

・ニュースリリース(2025年10月15日公開)

ライオン、Google Cloud でデータドリブン経営を加速 ~SAPデータをリアルタイム活用する全社データ基盤を内製、 AI による需給予測も視野に~

・ニュースリリース(2026年2月5日公開)

サプライチェーンマネジメント(SCM)高度化戦略で物流効率改善に貢献





行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ
PR TIMES
PR TIMES