広島市植物公園で行われている“ひと足早い春”への挑戦。「令和の花咲かおじさん」のサクラに、新たな動きがあった。満開のタイミングを3月20日の「さくらまつり」開催に合わせるため、試行錯誤が続いている。
想定より早く「芽が割れている」
広島市植物公園でサクラとにらめっこする栽培・展示課長の濱谷修一さん。取り組んでいるのは、本来の時期よりも早く花を咲かせる「開花促成」である。
2月上旬に作業を始めてからというもの、濱谷さんはほぼ毎日サクラを観察してきた。ビニールの幕で木の周囲を覆って温度を保ち、春が来たと感じさせる。
だが、自然相手の仕事は思い通りにはいかない。
取り組みから3週間。この日はその幕が開いていた。サクラの成長が想定より早く進んでいたためだ。
「きょうは幕を開けているから、あんまり温度が変わったら困る…」
濱谷さんはそう言って、サクラの様子を見守る。
2月26日の時点では、まだ開花は先だと感じていたという。ところが、その数日後だった。
「金曜と土曜が明けて日曜日に来たら、芽が割れていたので『やばっ』と思って」
連日の暖かさが、サクラの成長を一気に進めていた。
ビニールを開けて“成長を止める”
当初の計算では、3月10日ごろに開花し、20日に満開を迎える見込みだった。しかし想定より成長が早い。
そこで濱谷さんは、覆っていたビニールの幕を開けた。風を通して温度を下げ、成長のスピードを抑えるためだ。
「温めすぎて早く咲きそうな雰囲気になってきたので、幕を開けて風を通している状態です」
それでも、満開は予定より5日ほど早まりそうだという。
この日、取材に訪れたのは野川諭生アナウンサー。許可をもらい、はしごを上ってサクラの芽をのぞき込む。
「わあ。ぷっくりと…まだ硬そうではありますが、芽がふくらんでいるのがわかります。先の方は緑色の顔を出していますね」
野川アナの目にも、確実に進む春の気配が映った。
38年前と異なる環境にヤキモキ
広島市植物公園では1987年にも一度、サクラの開花促成が行われている。ただ、当時と今では環境も違う。
「38年前とは状況が違うので、なかなか思ったようにいかない。日によって気温も違うし、ヤキモキしながらやっています」
開花のコントロールに苦戦しながらも、楽しさを感じている濱谷さん。
「ちょっと無茶していますが、ワクワクしますよ。咲かなかったら、もう一度幕を閉めて温めないといけない。でも咲いてしまったらどうしようもないので、あとは長持ちしてくれることを祈るだけです」
3月20日の「さくらまつり」を満開で迎えられるのか。期待が高まるなか、サクラのつぼみも少しずつふくらんでいる。“令和の花咲かおじさん”の挑戦は続く。
(テレビ新広島)
