観光地として親しまれる尾道市。しかし、一部地域で、飼い主のいない猫の増加が生活環境に影響を及ぼしている。そんな中、因島のNPO「西日本アニマルアシスト」が改装トラック「おの猫号」を導入し、地域に出向いて不妊・去勢手術を行う活動を始めた。捕獲から手術、返還まで一貫して行う現場の取り組みは、望まない繁殖を抑え、人と猫の共生モデルを目指す新たな試みだ。
癒しと課題が共存する街
尾道は坂道と路地に猫が溶け込む風景で知られ、観光客や住民に癒しを提供している。しかし一部地域では飼い主のいない猫が繁殖を繰り返すことで糞尿被害など生活環境への影響が深刻化しており、放置すれば地域の問題は拡大する一方だ。
車内で完結する移動手術室
NPO法人が導入した「おの猫号」はクラウドファンディングで資金を集め、2トントラックを手術車両へ改装した。手術台や麻酔設備を搭載し、外から車内の様子が見える構造にして理解を促す工夫も施している。代表の箱﨑千鶴さんは「出向くことで手術を受けやすくする」と活動意図を語る。
捕獲から関わる現場の工夫
同団体の特徴は捕獲段階から継続して関わる点にある。警戒心の強い猫を誘導・捕獲するノウハウを用い、住民からの依頼で訪れた現場では複数匹を効率よく捕獲。餌の置き方や捕獲器の設置場所など細かな工夫で成果を上げている。
短い妊娠期間と繁殖の現実
猫の妊娠期間は約2カ月と短く、発見の遅れは瞬く間に出産・個体数増加につながる。捕獲後に出産しているケースもあり、この日は複数匹が妊娠していると判明。おの猫号では電源確保のもと県外からの獣医師とともに麻酔、手術、検査まで車内で完結させた。
地域モデル化へ広がる挑戦
手術後は元の依頼者へ猫を返還し、今後の給餌管理など協力を確認した。箱﨑代表は尾道で未手術ゼロを目標に広島県内へ展開し、やがて全国のモデルにしたいと述べる。「おの猫号」の活動は、望まない妊娠を防ぎながら人と猫が共に暮らせる地域づくりを目指す実践的な取り組みだ。
テレビ新広島
