本格カレーとナンで人気のインド・ネパール料理店。関西でも親しまれるお店が、いま、存続の危機に陥っているというのです。

その背景にあるのが、高市政権のもとで進められている「外国人政策」の見直しです。

「経営・管理ビザ」の要件のひとつの資本金が500万円から3000万円まで大幅に引き上げられ、これらの条件を再来年の10月までにクリアする必要があるのです。

外国人経営者たちが直面する現実を取材しました。

■インド・ネパール料理店は国内におよそ5000店舗

最近、街でよく見かけるインド・ネパール料理店。神戸市兵庫区のあるエリアでは半径およそ1キロ以内になんと10店舗も存在しています。

移民に詳しい専門家によると、インド・ネパール料理店は現在、国内におよそ5000店舗あるとされ、その数はハンバーガーチェーン・マクドナルドよりも多いのだそうです。

【来店客】「月2回ぐらい来ている。ナンがおいしいのと雰囲気もいい感じなので」
【来店客】「カレーっていうとインドの感じがやっぱりしますね」

インドのイメージが強い「カレーとナン」ですが、取材を進めてみると…

【記者リポート】「あそこにもまたネパール国旗ありました。ネパール料理店です。道路を挟んで並んでますね」

実は、近年増えたこのようなカレー店の経営者のほとんどはインドではなく、お隣り、ネパールの人たち。でも、一体どうしてネパール人経営者が「インドカレー」なのでしょうか。

【ネパール出身のコップナラヤン・B・スティーブンスさん】「日本人のイメージは、『カレーって言ったらインド』。『ナンって言ったらインド』のイメージあるから」

(Q:『ネパールカレー』と出してもマイナーで受け入れられない?)
【ネパール出身のコップナラヤン・B・スティーブンスさん】「はい、日本人が入れないと聞きました」

ネパール人経営者でも、「インドカレー」の方が日本人にとって馴染み深いため、提供している店が多いそうです。

■日本に住むネパール人は10年間でおよそ5倍に

11年前はおよそ5万4000人だった日本に在留するネパール国籍の人の数は去年6月末時点で27万3000人と10年でおよそ5倍に。おととし、在留外国人トップ5にランクインしています。

これほどまで日本に住むネパール人が増えている理由は何なのでしょうか。

ネパール料理店の経営者で、行政書士でもある尾川さんによると…

【アマダブラム行政書士事務所・尾川周三さん】「技能ビザっていう在留資格で来日してるんですけど、現地で働いてるレストランから10年以上の在職証明書をもらえば日本に来れるので、来日しやすいという背景はあります。

ネパールでは本当に稼いでる人は稼いでいるけど、普通の人はほとんど稼いでないので、日本でちょっと稼ぐっていう意味で来てる」

■コックとして働いた人が「経営・管理ビザ」取得・独立…さらに新たなコックが

さらに近年急激に増えた背景には次のような仕組みがあると考えられています。

技能ビザでコックとして働きながら店の運営を学び、その後、日本で会社を経営するための在留資格である「経営・管理ビザ」を取得して独立。

そこにまたコックが従業員として来日するのです。

【アマダブラム行政書士事務所尾川周三さん】「ビジネスモデルみたいなそんな流れがもう決まっちゃっているところがあります」
(Q:倍々ゲーム?)
【アマダブラム行政書士事務所尾川周三さん】「そうですね。気づいたら一気に増えていました」

■「経営・管理ビザ」の取得要件が大幅に厳しく「資本金500万円→3000万円」

ところがこの仕組みに大きな危機が。

経営・管理ビザは、これまで「500万円以上の資本金」もしくは「2人以上の常勤職員」などの条件を満たした会社を作れば比較的簡単に取得ができていました。

しかし、「移住目的でペーパーカンパニーが設立されビザが悪用されている」といった世論を受けて、去年10月に要件が変更されたのです。

日本人・永住者などの常勤スタッフや、一定の日本語能力が必須になったほか、500万円の資本金はなんと3000万円まで大幅に引き上げられたのです。これらの条件を再来年の10月までにクリアしないといけません。

■「3000万はちょっと厳しい」経営・管理ビザ取得したばかりのネパール人

尾川さんが相談に乗る顧客にも大きな影響が出ています。28歳のシャルマ・イショワルさん。

【アマダブラム行政書士事務所尾川周三さん】「この店の工事のときからずっと関わってているので、(取得できたビザを見ると)感慨深いです」

去年10月にお店をオープンし、つい2週間前に経営・管理ビザを取得したばかりです。

【シャルマ・イショワルさん】「日本に留学のために来たんですけど、11年前です。そこからITビジネスを勉強したんですけど、自分で小さいお店をしたいなと思って。

(Q:これからっていうところだった?)
【シャルマ・イショワルさん】「そうですね。だからびっくりしました」

「まだ先のことは考えられていない」と話します。

【「サンライズ」オーナーシャルマ・イショワルさん】「会社が小さいと3000万はちょっと厳しいです。税金を払ってもちゃんとルールを守ってもビザが下りない。外国人だからビザがないとビジネスすることできない」

■「零細事業者への救済を図っていく必要が一部ある」専門家

経営・管理ビザの厳格化で不安な思いを抱えているのはイショワルさんだけではありません。

サプコタ・ビバスさん(41)。13年前コックとして来日し、7年ほど前、経営・管理ビザに切り替えました。

今は、日本で一緒に暮らす妻・カリスマさんの名前からとったインド・ネパール料理店「カリスマ」を経営しています。

【サプコタ・ビバスさん】「びっくりしました」
(Q:3000万円は用意できそう?)
【サプコタ・ビバスさん】「頑張ります。全然ビザが下りなかったら帰るしかないです」
(Q:(母国に)帰って仕事はある?)
【サプコタ・ビバスさん】「ないですね。今は奥さんと子供と一緒に日本に住んでいる。小さい子供がいるからこれからどうするか問題があります」

今後、このような店はどうなるのか。ビザに詳しい専門家は…

【行政書士法人クローバー法務事務所 大山悠太代表】「やはり廃業していく可能性は高いのかなと、私は感じております。課題としては、やはりそういった零細事業者への救済を図っていく必要が一部あるのかなというふうには感じています」

日本で店を構える、その夢を叶えた外国人たちが、夢を諦めなくてすむ方法はあるのでしょうか。

■菊地幸夫弁護士「一生懸命やって経営実態・企業実態あるなら救済措置あっても」

この「経営・管理ビザ」の厳格化について、菊地幸夫弁護士は「悪用を受けてのことだが、一生懸命に働いて、経営実態があるような人たちには救済措置があってもいいのでは」と話しました。

【菊地幸夫弁護士】「まず在留制度というのは、誰でも『自分が日本に行きたければ、日本にいられる』というわけではない。

『理由』や『資格』がなければいけないということですが、悪用して経営実態もないのに『空っぽの会社』を作って、日本へ移住してしまうというようなケースが多発しているということで今回の厳格化になりました。

今回の「インドカレー店」のような、一生懸命やって、経営実態・企業実態がある方たちは、『理由がある在留』なので、例えば『資本金3000万円』というのを、もう少し移行期間を長くするなど、救済の道はないのかなと思いますね」

(関西テレビ「newsランナー」 2026年3月5日放送)

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