最高指導者の空爆死という衝撃的なニュースが報じられたイラン。中東のなかでも独自の存在感を放つこの国は、一体どこへ向かうのでしょうか。

多くの人がイランは「アラブの国」というイメージを持つかもしれませんが、ジャーナリストの青山和弘氏は「私たちは違う。我々はペルシャ人だという非常に高い誇りを持っている」と指摘します。

その歴史的背景と複雑な国内事情から、緊迫するイランの今を青山氏が読み解きます。

■「周りの国はスンニ派」対立を生む宗派の違い

【青山和弘さん】「イランの人々が持つ強いアイデンティティの源流は、その悠久の歴史にあります。およそ5000年前に文明が発祥し、現在の国の母体となったアケメネス朝ペルシャが建国されたのは紀元前、今から約2500年も前のことです。史上初の世界帝国とも称されるほどの強大な国家を築いた歴史は、彼らの大きな誇りとなっています。

多くの人がイランをアラブ諸国の一つと捉えがちですが、彼ら自身は明確に異なると考えています。周囲を敵に囲まれる中でも独自の言語と文化を育み、教育水準も高い水準を維持してきました。この「ペルシャ人」としての矜持が、中東におけるイランの特異な立ち位置を理解する上で重要な鍵となります」

■「後継者が誰になるかは見なきゃいけない」緊迫する指導者選び

【青山和弘さん】「イランの独自性を語る上で、宗教も欠かせない要素です。国民のおよそ9割がイスラム教シーア派を信仰しています。一方で、地域大国であるサウジアラビアをはじめ、周辺国の多くはスンニ派が主流であり、両派の関係は良好とは言えません。

この宗派間の対立は、かつてのイラン・イラク戦争の一因ともなりました。また、イランが周辺国で少数派であるシーア派の原理主義者などを支援してきたことも、周辺諸国から敵視される背景にあります。このような宗教的な構図が、イランを中東の中で孤立させつつも、独自色を保たせる要因となっているのです」

■「後継者が誰になるかは見なきゃいけない」緊迫する指導者選び

【青山和弘さん】「最高指導者ハメネイ師が空爆により死亡したことで、イランは極めて不安定な状況に置かれています。仮に体制が転換したとしても、さらに原理主義的でシーア派の意識が強い人物が後継者となれば、緊張は続くことになります。アメリカが新たな体制の面倒を見るかといえば、疑問符が付くのが現状です。

イランは人口約9000万人、兵力約60万人を抱える軍事大国であり、空爆だけでその全てを制圧することは不可能です。特に「革命防衛隊」と呼ばれる精鋭部隊が残存した場合、誰が彼らを指導し、コントロールしていくのか、先行きは全く見通せません」

■トランプ大統領「非常に悪いシナリオだ」最有力候補は反米強硬派

【青山和弘さん】「現在、ハメネイ師の後継者として最も有力視されているのは、次男のモジタバ師です。彼は父親と同様、反米の強硬派として知られています。この可能性に対し、トランプ大統領は「非常に悪いシナリオだ」と警戒感を示し、イスラエルは「殺害の対象になる」と脅しをかけるなど、周辺国は強く反発しています。

あるアメリカ国務省の関係者は、私の取材に対し「とにかくこの2週間ぐらい様子を見て、後継者が誰になるかを見極めなければいけない」と語りました。情勢は極めて流動的であり、場合によってはモジタバ師自身が今後2週間以内に戦死する可能性すらゼロではないとの見方もあります。

イランの新たな指導体制がどうなるのか、そして誰が次期後継者となるのか。その動向は、中東地域全体の安定を左右する極めて重要な焦点として、世界中から注視されています」

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年3月9日放送)

関西テレビ
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