流線型のフォルムが特徴のこちらの車。

近未来を感じさせるのは形だけではありません。

人の代わりにシステムが走らせる自動運転バスです。

ドライバー不足などから公共交通のあり方が課題となる中、鹿児島県南さつま市では自動運転バス導入の可能性を探る県内初の実証実験が進んでいます。

果たして新たな切り札になり得るのでしょうか。

南さつま市役所で行われているのは車のラッピング作業です。

南さつま市のキャラクターやクジラが描かれ、温かみの感じられる仕上がりとなりました。

大城哲也記者
「電気で走るこちらの車。中に入ると、座席はあるもののハンドルやアクセルは見当たりません」

センサーやカメラが人の動き、障害物といった周りの状況を検知し、GPSで車の位置を把握。

これらの情報をシステムが処理して走る自動運転バスです。

実証実験を間近に控え、車両メーカーの調整も大詰めを迎えていました。

「1回ルートを走ってみて、補正がかからなければいいと思う」

自動運転は5段階のレベルに分かれます。

アクセル、ブレーキ操作あるいはハンドル操作のどちらかが一部自動化されているレベル1。

その両方の一部自動化でレベル2。

レベル4になると特定の条件下で、システムが全ての操作を担います。

南さつま市の実証実験はレベル2。

走る、曲がる、止まるという動きはシステムで判断します。

自動運転バスのオペレーター
「緊急時はエマージェンシーボタンを押すが、センサーで周りを見ているので自動で止まる」

南さつま市が国の補助事業で実証実験を始めたのは2024年度から。

南さつま市総合政策課・辻亮太さん
「コロナ禍を経てバスの運転手が少なくなり、そういう社会問題に対応するために自動運転バスにチャレンジした」

過疎化が進む南さつま市。

バスの運転手や利用者の減少で公共交通の再編を余儀なくされています。

中でも市街地中心部を走っていた路線バスが減ったことで、市民が買い物や病院を回る移動手段に影響が。

そこで注目したのが自動運転バスの可能性を探る実証実験でした。

こうした取り組みは全国の自治体でも行われ、2025年度は67の事業に対して国の補助金が交付されました。

この動きを社会課題の解決に詳しい専門家はどのように見ているのか。

志學館大学 法学部・眞竹龍太客員教授
「一番最大の人手不足を解消するのを技術的に解決できるのが自動運転なので、どの自治体も非常に期待をしている」

こちらは茨城県の北東部にある常陸太田市を走る自動運転の電気バス。

レベル2の運行ですが南さつま市のような実証実験ではなく、自動運転バスを購入し実用化につなげました。

茨城県常陸太田市 企画部・安島剛部長
「人が減りにぎわいもなくなっているので、技術を入れて子供たちの夢とにぎわいを創出しようと(自動運転バスの)導入に踏み切った」

現在は駅や商業施設それに住宅街をつなぐ循環ルートを2台の車両が無料で回り、定員9人に対し1便当たりの乗車人数は平均6.1人と好調のようです。

安島部長
「当初は物珍しさもあったが社会受容性の受け入れが進み、『乗りたい』という希望が多く寄せられるようになった」

「きょうから実証実験が2週間始まるので、よろしくお願いします」

1月26日、2度目となる南さつま市での実証実験が始まりました。

誰でも無料で試乗ができ乗客は最大9人。

市役所を発着点に中心部の病院や住宅地、それにスーパーなど約5キロの循環ルートを走ります。

最高時速18キロのゆっくりとしたスピードで街中を進みます。

試乗した人
「快適で未来を感じた。通院のお年寄りや免許を返納した人が使える有効なツールになると思うので期待」

市役所ではシステム開発や通信を担う業者が運行を管理します。

「遠隔監視室です。今の区間は手動介入なしですか?」

オペレーター
「今の区間は手動介入はゼロです。ありません」

レベル2の自動運転では信号交差点を通過する時などは人の介入が必要で、車両前方にあるパネルをオペレーターが操作します。

2度目となる今回の実証実験ではルート上の一つの信号交差点で人は介入せず、システムが全て判断するポイントを設定しました。

マクニカ スマートモビリティ事業推進部・中嶋太郎さん
「あちらの信号が、信号協調システムを付けている交差点。今、両方が青になりました。優先的に見るのが信号からもらっている残り何秒で青になるかという情報を見るが、同じようにカメラでも灯色を見て判断できるように二重の判定をかけている」

ここでは車両が信号機と通信を交わし信号の色を判断。

人が操作せずに交差点を通過できました。

2週間の実証実験で自動運転バスに試乗した人は約460人。

南さつま市は運営方法など課題は多いとしながらも、2026年度も引き続き導入へ向けた取り組みを加速したい考えです。

南さつま市・本坊輝雄市長
「自動運転への取り組みが、これから小さな町の大きな挑戦だけど一つ一つ積み上げていきたい。次世代の交通体系の中で先進事例を作っていきたい」

自動運転社会の到来を見据え、県内でも先陣を切った南さつま市の挑戦。

今後の成果が同じような課題を抱えるほかの地域の一つの道しるべにもなりそうです。

鹿児島テレビ
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