子育て中のお母さんや、障害・特性のある子どもたちに寄り添う美容室の話題です。
どんな親子も安心して通ってほしいと、新たな取り組みを進める富山市の美容室を取材しました。
富山市婦中町。美容室「メアリスト」を営む小林沙季さんです。
実家を改装して10年前に開業しました。この美容室の大きな特徴が…。
保育士と連携して設置している託児スペース。生後2か月から受け入れていて、子育て中のお母さんも安心してヘアカットできるようにしています。
*託児サービスを利用
「すごくお母さんに優しい美容室だなと。いつも子供も安心して利用させてもらっている」
この託児スペース、実は「美容室が苦手」な子どもたちの部屋としても使われています。
小林さんが去年から本格的に始めたのが、発達障がいなどのある子どもたちの受け入れです。
*美容室『メアリスト』 小林沙季さん
「いきなりはカットせず、とりあえず部屋に入ってもらって、怖くない場所なんだと遊んでもらう。場所に慣れてもらう」
発達障がいのある子どもは、初めての場所だとパニックになることがあります。
音や光、匂いなどの刺激に敏感な「感覚過敏」の子も。
そこで店内は貸し切り状態にして、絵や図を使って何をするか事前に説明。発達障がい支援の資格も持つ保育士スタッフがサポートにも入ります。
*保育士 子ども発達障がい支援実務士 友山茉莉さん
「『感覚過敏』を持つ子どもにとって私たちが普段ふつうに聞こえる音や感触もひとつひとつすごく恐怖と感じることが多い。ハサミの『チョキン』という音、バリカンの音。本当にパニックにつながる恐怖の音に。ドライヤーの音もパニックになってしまう子が多い。まずはちょっと離れたところから『こういう音だよ』『聞いてみよう』まず耳慣れ。『こういう音なんだ』と感じてもらって徐々に近くに(慣れてもらう)」
ただこうした美容室は全国的にもまだ少なく、現在「メアリスト」には県の内外から年間80人の子どもが通っています。
*美容室『メアリスト』 小林沙季さん
「他の美容室で断られちゃったという声を聞くことが増えて、ひとりで座れないとだめとか、大きな店だと他のお客さんに迷惑になると、ママたちが気を遣って遠慮しているということもある」
小林さんが市内の支援学校などに通う子どもの保護者約300人にアンケートを行ったところ、その7割が、専用のカットサービスを「利用したい」と回答。
需要が増える一方、一般客の予約との兼ね合いも難しくなってきたことから、専用ルームを設けることにしました。
走り回ってもケガをしないよう壁をクッション素材にして、防音加工を施すほか、事前に美容室に理解を深められる絵本も制作することにしています。
*美容室『メアリスト』 小林沙季さん
「『カットしてほしい』声がたくさんあるが、ちょっと今受け入れきれていない現状。改装して専用ルームができてもやっぱり限界があると思うので、このようなお店がもっと富山県中に広がったり、美容師さんたちの関心もそこに広がればいいなと」
発達障がいではなくても、「じっとしていられない」「不安感が強い」などさまざまな“苦手”を抱える子どもたちがいます。そんな子どもたちが安心できる環境づくりを目指して、一つの美容室から始まった取り組みが県内全体に広がる可能性を秘めています。