年末年始の旅行シーズン。スーツケースに荷物を詰めて、海外旅行という人も多いだろう。

見知らぬ国の空港に着いて、大きなスーツケースをピックアップし、電車やタクシーなどでホテルに移動する…。個人旅行者であれば珍しくない光景だが、荷物の大きさに苦労した経験を持つ人も少なくない。

「すぐに観光に行きたいのに、まずは荷物を置くためにホテルへ直行する」という人もいるのではないだろうか。

これは日本を訪れる外国人旅行者も同じだ。

 
 
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2018年の訪日外国人数は3,000万人を超え、政府は2020年に4,000万人という目標を掲げている。

そのためには、何度も訪れるリピーターを増やさなければならないが、日本での最初の経験が「荷物を持って移動するのが億劫だった」というのでは、日本の良さを実感してもらいづらい。

そこで、JTBがパナソニック、ヤマトホールディングスとともに始めたのが、「ラゲージ・フリー・トラベル(LUGGAGE-FREE TRAVEL)」というサービス。

旅行客は自分の国を出る前にスマホで申し込みをし、日本に到着後は空港カウンターで荷物を預ければ、指定のホテルなどに届けてもらえるというもの。そのため、空港に着いた瞬間から手ぶらで観光が可能となる。

帰りもホテルでスーツケースを預ければ飛行機の出発時間までに空港に届けてくれる。日本滞在のギリギリまで手ぶらで観光できるという魅力的なサービスだ。

2018年4月から本格的に提供を開始していて、9つの言語に対応しているため、利用者の評判も上々だという。

さらに、民泊でホテルに泊まらない外国人などのニーズにもこたえるため、荷物を発送できる場所が大型免税店や駅に隣接したヤマト運輸宅急便カウンターなどに拡大された。
 

 
 

このサービス、外国人にとって便利なだけではない。

大型スーツケースを持った外国人による交通機関の混雑が訪日外国人の増加とともに社会問題化しつつあるが、この取り組みが広がることで混雑の解消につながるかもしれない。

また、品川駅などのターミナル駅では荷物の一時保管所がすぐにいっぱいになって利用できないという状態が日常茶飯事となっているが、スペース不足の緩和にも貢献しそうだ。

「ラゲージ・フリー・トラベル(LUGGAGE-FREE TRAVEL)」の認知拡大と利用促進によるメリットは、訪日外国人にとっても日本社会にとっても大きい。

さらにサービスを拡大していくため、JTBが組んだのが、中国の大手オンラインゲーム会社NetEase社が運営する「荒野行動」。アプリの総ダウンロード数は世界で3億を超え、日本でも中高生を中心に大人気のゲームとなっている。

約100人のプレイヤーが無人島に降り立ち、最後の一人になるまで戦闘を繰り広げる、このゲーム。新しいマップとして、初めて街なかでの戦闘が登場することになり、その舞台として東京が選ばれた。

プレイヤーは、秋葉原や銀座、渋谷などの実際の景色の中でゲームを楽しむことになる。そのため、世界中のプレイヤーが「現実でも訪れてみたい場所」として東京を認識していくことが期待される。

「荒野行動」の舞台として東京が選ばれたのを機に、12月20日、JTBとNetEase社がともに記者会見に臨み、ゲーム関連グッズと組み合わせた「ラゲッジ・フリー・トラベル」の利用券を期間限定で発売することを発表した。

株式会社JTB 法人事業本部 執行役員 事業開発担当 田中 好明様(中央右) ネットイース 海外戦略部 スーパーバイザ 劉亞龍様(中央左) フレンドリーランド 社長王士豪様(右)、漫画家彭傑(ポンジェー 左)
株式会社JTB 法人事業本部 執行役員 事業開発担当 田中 好明様(中央右) ネットイース 海外戦略部 スーパーバイザ 劉亞龍様(中央左) フレンドリーランド 社長王士豪様(右)、漫画家彭傑(ポンジェー 左)

2回の利用券と特製アクリルボードがセットになって金額は6,000円(税込)。

クリスマスや中華圏の春節期間の訪日外国人をターゲットとしていて、海外の荒野行動ファンに注目されそうだ。

 
 

会見で、JTBの田中好明執行役員は「手ぶら観光の素晴らしさをひとりでも多くの方に知っていただいて、日本観光の際には『ラゲッジ・フリー・トラベル』が当たり前になるように推進していきたい」と意気込み、NetEase社の劉亜龍・海外戦略部スーパーバイザーは「世界中のユーザーに東京に関心を持ってもらい、東京に観光するきっかけを提供できればと思う」と応じた。

NetEase社は中国トップクラスのインターネット会社、中国TOP2のゲーム会社で世界でもトップクラスのゲームメーカー&発行会社。運営している越境ECプラットフォームは中国トップシェアを誇り、2018第3四半期営業収入は約2839億円に達した。日本では、越境ECサービス「ネットイースコアラ」以外、「陰陽師」「荒野行動」「Identity V/第五人格」など大人気スマホゲームも運営している。

大手旅行会社によるサービスと人気オンラインゲームのタイアップ。ゲームを通じた世界への発信で、サービスの認知はさらに広がっていきそうだ。