地下鉄サリン事件などで死刑が確定していたオウム真理教の教祖・麻原彰晃こと、松本 智津夫死刑囚らの死刑が執行された。

死刑の執行は、どのように行われたのだろうか。

死刑の執行は刑法上、法務相の権限によって行われる。

法務相は、事前に死刑囚の判決書類などを読み込んだうえで、法務省内で慎重に検討を重ねたうえで、死刑執行命令書に署名し、刑の執行について決裁する。

この決裁が行われてから、5日以内に死刑は執行されるが、通常、死刑囚本人に対しては、執行当日の朝に伝えられる。

そして、実際の死刑の執行だが、東京拘置所の実際の刑場が、2010年に公開されている。

まず、死刑囚が最初に向かうのは、死刑執行の前に宗教家の教誨(きょうかい)師と面会するための「教誨室」。

大きな棚に備え付けられた仏壇は、死刑囚の宗教によって神棚や十字架に変わる。

死刑囚は、この部屋で心を安らかにするために教誨師からことばをかけられ、茶を飲んだり、まんじゅうなどの供物を食べることができるといい、遺言の聞き取りも行われる。

その後、教誨室を出た死刑囚は約10メートルの廊下をまっすぐ進み「前室」へと入る。

ここで、死刑囚は拘置所長から正式に「執行」を告げられ、目隠しをされ、手錠をかけられる。

そして「前室」の隣に、死刑の「執行室」がある。

死刑囚は「執行室」の中央にある、赤い線で囲まれた踏み板の上に立たされ、足を縛られ、滑車からつるされたロープを首にかけられる。

そして「踏み板」が開き、死刑が執行される。

「執行室」の隣には、「踏み板」をあけるためのボタンを操作する「ボタン室」がある。

「ボタン室」には、3つのボタンがあり、合図に合わせて3人の刑務官がボタンを一斉に押すことになっている。

執行にあたる刑務官の精神的な負担を考慮して、どのボタンで踏み板を開けたのか、刑務官自身はわからない仕組みになっている。

「執行室」の向かいには、ガラス越しに検察官や拘置所の幹部が、執行の状況を見届けるための「立会室」が設けられている。

ここから「執行室」の地下も見え、死刑囚の死亡が確認できる。