運転手不足から、長電バス(本社・長野市)は1月21日から長野営業所管内で路線バスの「日曜運休」に踏み切った。利用者からは困惑の声が上がっている。運転手不足解消の妙案はあるのだろうか。
日曜、赤いバスがいない
1月21日の長野駅前。
地域住民や観光客の足として利用されている路線バス。
しかし、駅前のロータリーに、あの赤いバスの姿がない…。
赤とベージュの車体が目印の長電バス。1月21日から日曜日に限り路線バス11路線・182本の運休に踏み切った。
この記事の画像(6枚)貸し切りや高速バスも含めてやり繰り
理由は運転手不足。
去年(2023年)12月の取材で長電バスの乗合・乗用部長は、「ご利用のお客さまには多大なご迷惑をおかけし、おわび申し上げます。路線バスを維持するために今回の待遇をやらなければならないことをご理解いただきたい」と、苦渋の選択だったと明かした。
長野営業所で必要な運転手は99人だが、今は74人。貸し切りや高速バスの運転手も充てているものの、外国人客が増える冬場は対応しきれず、日曜運休を決めた。
利用者から困惑の声
利用者は、「不便、年寄りで免許を返しちゃっているので。案外、日曜日って出ることが多いので、除かれちゃうとちょっときつい」、「普段も1時間に1本しかない、それでなくなってしまうのは困る。バスの運転手のなり手が今、少ないというので残念ですが、若い人が育ってくれるといいな」と話し、困惑している。
立ちはだかる「2024年問題」
日曜運休は「当面の間」とし、不足が解消できれば再開するとしている。
しかし運転手の労働時間を制限する、いわゆる「2024年問題」を背景に、運送業界もバス業界も人手不足。運転体験会などを開くなどしているが、なかなか集まらない。
アルピコ交通も春から長野・松本間の高速バスを廃止し、両社が運行する循環バス「ぐるりん号」も大幅な減便が予定されている。
市議会特別委で厳しい現状を訴える
アルピコ交通の植松誠執行役員は「単独で公共交通を担うことは不可能、行政からの支援なければ立ち行かない」、また、長電バスの鈴木立彦社長は「バスを運転する、動かす人がいないと持続していかない、それが一番の問題」と、厳しい現状を訴える。
長野市議会特別委員会の意見交換会(1月19日)では、厳しい現状を受けて事業者から公的支援の必要性や路線の見直しの声が上がった。
市議会も対策を議論する予定で、路線バスの維持は行政を巻き込んで大きな課題となりそうだ。
(長野放送)