岩手県内では2023年度、クマによる人的被害が全国で2番目の多さとなっている。2023年はブナの実が大凶作となっている中、専門家は「山へ入る際はヘルメットを着用してほしい」と強く呼びかけている。

クマは冬眠に向けて餌探しに集中している時期

人が山に入った時に起こる事故は増えている。野生動物の生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんによると、特に「キノコ採り」での事故が多いという。

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キノコ採りで人とクマが遭遇する理由について、大西さんはこのように説明する。

森林総合研究所 東北支所・大西尚樹さん:
クマ鈴を付けていたとしても、しゃがんでいると鈴が鳴らないので、クマに自分の存在を知ってもらおうという基本的な対策ができない。一方で、クマは冬眠に向けて食いだめの時期で、餌を探すことに集中している。注意力が散漫になっているところで、出合い頭の事故が起きてしまう

クマは“顔から上”を狙ってくるケースが半分以上

2023年、岩手県内でクマに襲われ死亡した人は、10月19日で2人になった。年間でクマによる死者が複数人となったのは、県内では記録が残る1979年度以降初めてだ。

襲われた際に致命傷を避けるため、大西さんは“ヘルメットの着用”を強く勧めている。

写真:岩手めんこいテレビ撮影
写真:岩手めんこいテレビ撮影

クマは一撃で致命傷を与えようと、顔から上を狙ってくるケースが半分以上。その時にヘルメットがあるとないとでは、致命傷になるかどうかが大きく変わるという。特に、2023年のようにクマが多い年は徹底してほしいと呼びかける。

焦る様子もなくゆっくりと道路を歩くクマ
焦る様子もなくゆっくりと道路を歩くクマ

19日の夕方、盛岡市簗川で視聴者が撮影した映像には、道路沿いの歩道を焦る様子もなくゆっくりと歩くクマのカメラが捉えられていた。

山の中の餌が少なく、2023年はこのように人里に出没するクマも相次いでいる。

ブナの実 24カ所のうち23カ所は「全くない」

東北森林管理局は20日、クマの主食のひとつ「ブナの実」が、2023年は福島県を除く東北5県で「大凶作」だったと発表した。

県内24カ所で行った調査では、1カ所が「ごくわずか」、残りの23カ所は「全くない」という結果だった。

人里でのクマの出没を左右するブナの実の2024年の状況ついて、大西さんは「豊作にはならないが、多少回復する。今年ほどのクマの出没にはならないと思う」と予測する。

写真:岩手めんこいテレビ撮影
写真:岩手めんこいテレビ撮影

一方で、山で起こり得る人的被害については、山の中でクマが増えている状況は変わらないため、「山に人が入って発生する事故件数は、今年と変わりがないと思う。来年も油断できない」と分析している。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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