兵庫県芦屋市の市長選挙は、無所属新人でNPO法人代表の高島崚輔(たかしま りょうすけ)氏が初当選しました。

この記事の画像(26枚)

その年齢は、全国の市長で“史上最年少”となる26歳です。

日本屈指の高級住宅街として有名な芦屋市。

有権者は「日本全国で有名な“芦屋ブランド”を落とさないように頑張ってほしい」と期待を寄せます。

現職の伊藤舞氏(53)に約8000票差をつけて当選を果たした高島氏。

なぜ26歳の青年が、現職にそれだけの票差をつけて当選したのか?その鍵は、“新しい目線”での選挙活動にありました。

新しい“選挙活動” 市民との“対話”も…

高島氏が選挙活動に利用したのは、“TikTok”などの若者向けSNS。

TikTokに投稿した動画の中で、東大とハーバード大学どっちが難しい?という質問に答えながら「高島さんはどっちに入ったんですっけ?」と聞かれると「両方!」と自身の学歴を楽しく紹介したり…。

動画の中には、160万再生されたものも。これは芦屋市の人口が約9万5000人であることを考えると驚異的な数字です。

160万再生されたTikTok動画「ハーバード卒にGoogle入社試験解かせてみた」
160万再生されたTikTok動画「ハーバード卒にGoogle入社試験解かせてみた」

もちろんこれだけではありません。

「東の田園調布 西の芦屋」といわれる高級住宅街がある芦屋市。しかし、出生率は減少の一途をたどっています。

そこで高島氏は、18歳までの医療費無償化や、生徒の特性に応じた教育の必要性などを訴え、市民と対話集会を重ねました。

「高島ノート」頼られる学生時代 生徒会を通じ芦屋市でボランティア活動

学生時代も一目を置かれる存在だったという高島氏。同級生は、当時をこう振り返ります。

高島氏の高校時代の同級生:
いろいろな人が“高島ノート”のお世話になってましたね。高島は(授業で)完璧にノートをとってるんですよ。

関西屈指の難関校である灘中学校・灘高校に通い、クラスでも頼りになる存在だった高島氏。

在籍中は、授業ノートがあまりにきれいで分かりやすく、「ノートの神様」と呼ばれ、教育雑誌でも特集されるほどでした。

高島氏の高校時代の同級生:
学校の“顔”だと思ってました。というのも生徒会長だったんですよ、彼。

生徒会長として活動していたことがきっかけで芦屋市と関わるようになったといいます。

新市長徹底解剖!「めざまし8」に生出演で語った言葉とは?

「めざまし8」はそんな高島新市長を直撃。疑問にすべて答えていただきました。

ーー史上最年少の市長ということですが?

高島崚輔氏:
本当にもう身の引き締まる思い、それだけですね。私の場合は何か実績があってというよりも、ただただ期待を寄せていただいた。その一言に尽きますので、その期待に応えられるように精いっぱい努力したいなと思っています。(史上最年少だということは)知ってはいましたけれど、それはあまり関係ないというか、それよりも“何をやるか”が一番大事なので、もうここからは年齢に甘えることなくおごることもなく仕事したいなと思っています。

ーーなぜ若くして政治の道を志したのですか?

高島崚輔氏:
「政治」と言うよりも、「行政」をやりたかったんです。というのも、やはり社会を変えよう、生活を変えようと思ったときに、一番生活に身近な「市政」が変わるのが一番いいなと。社会を変えるのってわくわくするじゃないですか。最初にそう思ったのは高校1年生の時で、当時私が住んでいた場所の市長が、30歳くらい若返りまして、その市長と直接お話をしたのがキッカケですね。

ーー大阪府箕面市出身なのに、なぜ芦屋市での出馬を?

高島崚輔氏:
元々高校2年生からずっと芦屋で市民活動をやっていまして、生徒会の絡みもそうですし、いろんな活動をずっとやっていたんです。大学時代にも環境の研究を芦屋でやっていましたので、そういう意味では一番つながりが強かったのかなと。その中で芦屋に対する愛着もどんどん強まって、今回もやるしかないなと。

ーー具体的に芦屋市にはいまどんな問題があると思いますか?

高島崚輔氏:
一番は人口減ですね。本当に若い世代がどんどん減っていまして、これを止めなければ、出生率も1.3で阪神間で最下位と、ここをなんとかしなければと思っています。

ーーどういう市にしたいですか?

高島崚輔氏:
「世界で一番住み続けたい」と、市民の皆さんに思っていただけるような。そんな街を作りたいと思っています。

ーー様々な選択肢のある中で、なぜ市長という立場を選んだのですか?

高島崚輔氏:
市が一番身近なんですよ。私の場合は、直接市民の方々と対話をするというのを大切にしているんですけれども、いろんな声があっていろんな課題があって、場所によっても違いますし、年齢によっても違いますし。そのひとつひとつの課題に対して、やはりきっちりと、解決策を出せる。寄り添うことができる、これが市政の魅力だなと。市役所だからこそできることだと思っているんです。

ーー学校教育に関してどのような行政が必要だと思っていますか?

高島崚輔氏:
ひとりひとりにあった教育というのをちゃんとやるべきだと思っているんですね。これはいわゆる学力とか習熟度別というだけではなくて、ひとりひとりの興味関心にきちんと寄り添った教育が必要だと思っています。やはり学びのモチベーション、これを学びたいという意欲がなければ始まらないので、その原点となるこれが好きとか、これ面白そうとか、そんな気持ちを大切にする教育が必要だなと考えています。

高島崚輔氏の学歴
高島崚輔氏の学歴

ジャーナリストの立岩陽一郎氏は、高島氏がハーバード大学出身であることに触れ「若干の“注文”と“どう考えているのか聞きたい”」と質問を投げかけます。

ジャーナリスト 立岩陽一郎氏:
失礼な言い方ですけど、ハーバードって日本は妙に持ち上げるけどたいしたことないんです。だからあまりハーバード卒で持ち上げる必要はない。ただ、アメリカを知っているというのは、アメリカはまさに地方自治の国ですよ。例えばボストン市長、これは本当に住民との対話を重視して、延々住民と対話するんです。こんな市長いないんですよ、日本に。だからやはりそういうことをやってほしい。そういう期待をしたい。せっかくアメリカの自治を知って若い、だから、新しい地方自治を是非実践してほしい。

高島崚輔氏:
実は大学のゼミで、ボストン市長に教わっていたんです。まさにおっしゃるとおりで、対話・対話・対話なんです。それを直接、薫陶受けてきましたので、対話というのは改めて大切にしたいなと思っていますし、若いというのはそれだけ身近に誰よりも声を聞けて、誰よりもフットワーク軽く走り回れると思いますので、とにかく「対話」です。

ーーなぜ若い世代が“政治離れ”していると思いますか?

高島崚輔氏:
これは二つ大事なことがあると思っています。一つ目が成功体験のなさだと思うんです。自分が声を上げて、自分が行動して、社会が変わる。そういうような経験がないと思うんですよね。私の場合は学校がキーかなと思っていまして、学校って一番身近な社会じゃないですか。例えば学校の校則が身近な社会のルールと考えたときに、自分たちが声を上げて校則を変えるとか、自分たちで校則を作るとか、そういうことが小さな成功体験を得るという上でまず大事なことだと思っています。二つ目が若者を若者扱いしないというのが大事だと思います。18歳未満は選挙権もちろんないのですけど、今回もたくさん演説を聴きに来てくださって、対話集会にもたくさん来てくださって、当てると結構良い意見を言ってくれるんですよ。やはり「子どもだな」と思うのではなくて、本当に真摯に、誰よりも芦屋に長く住む可能性あるので、彼らのこともきっちりと一人前として対等に議論していきたいなと思っています。

ーー選挙戦を通してSNSを活用していましたが、若者の投票率を上げようという意識はあったのか?

高島崚輔氏:
若者と言うよりも、政治に関心がなかったり、政治を諦めてしまったり。そんな方々に届けばいいなと思っていました。

ーー当選できなかった場合のプランBなどはあったのか?今話していることを、どのくらいの期間で実現させようとしているのか?

高島崚輔氏:
プランBは全く考えていませんでした。もうプランAに150%かけなくてはいけなかったので。今は本当に目の前のことに全集中なんですけれども、ただすぐできることではないことも多いと思うんです。教育改革は時間がかかりますので、やはりしっかりと腰を据えて、ある程度の期間はやりたいなと思っています。

ーーどんな日本にしていきたいですか?

高島崚輔氏:
「ひとりひとりが主体的に生きられる。自分の人生を自己決定できる」
そんな社会を作りたいと思うんです。それは例えば自分の身の回りの社会をちょっとよくすることだったりとか、自分の周りにいる人たちの人生をちょっとよくすることだったりとか、そういう所から始まると思うので、まずはこのあしたから、それにチャレンジしたいなと思っています。

(めざまし8 4月25日放送より)