医療提供体制も警戒度最高に
「検査の陽性率は急速に上昇し、過去最高値を上回りました。診療・検査医療機関に、検査・受診の相談が集中するなど、検査が受けにくくなっている状況です」 検査の陽性率が過去最高の42.9%となるなか、専門家会議では医療提供体制の警戒度が最も高いレベルに引き上げられた。
「入り口の2つの部分で赤にしております」 東京都医師会の猪口正孝副会は警戒度を最高レベルに引き上げた理由について、検査を受けるのに非常に時間がかかっていること、救急要請が増え救急搬送に時間がかかるようになってきたことをあげた。 感染状況の警戒度はすでに先週最高レベルとなっていて、感染状況、医療提供体制とも最高レベルとなるのは3月17日以来だ。

感染力と“緩み”でさらに・・・
新規感染者数の7日間平均が先週の1万110人から、1万6549人に大きく増加、なかでも小中学生の感染が拡大している、として国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「保護者等で就業制限を受ける者が多数発生しており、医療提供体制が十分機能しないことも含め、社会機能の低下を余儀なくされます」と危機感を示した。
「少し緊張をといて普段に近い生活をする、という事があったと思うんです」 今日は都内の新規感染者は3万人を超え、感染の急拡大が進む理由について大曲氏は、「BA.5の感染力の強さ」、マスクをせず複数人で会食するなどの「行動の“緩み”」が「感染増加の夏」にさらに“拍車をかけた”のでは、との見方を示した。

来週最大6万人?感染者数は検査キット次第か
「来週は4万5000人から6万人になってもおかしくない」 ある関係者は、今後の感染者数の見通しをこう話す。 しかし現実は、医療機関に検査キットが届かず検査ができないことも多く、検査キット不足で検査が進まなければ感染者数は低くなる、との見方も示した。
土日の診療体制拡充は「相当ギリギリ」
「3連休で病院が開いてなかった」「発熱外来が混み合っていて診察受けられなかった」 医療機関の診療体制について“不満”の声が多く上がり、都は土曜日・日曜日の診療検査体制を補完するため、休日の診療実績に応じて医療機関に協力金を支給することを明らかにした。
「我々も相当ギリギリのところまできてるので」「もうこちらもいっぱいいっぱいです」 猪口副会長は厳しい現状を訴えつつも「社会的ニーズが出ているということで、一層頑張りたい」と話した。
重症のサインとは
「のどが痛いとか、熱だけでしたらばそれは重症のサインではなくて」 猪口副会長は、重症の場合、喉の痛みや発熱だけでなく息苦しい、血中酸素濃度が下がる、などの呼吸器症状が出る、と指摘。
「ちょっと冷静にですね、診療検査医療機関に受診していただけるとすごくいいと思います」とも話し、受診するか否かの判断をする際に、自分の症状を冷静に見極めるよう求めた。
「BA.2.75」市中感染を初確認
感染力の強いBA.5の疑い例が74.5%となり、ほぼ置き換わったとみられる中、こんどはBA.2の亜系統「BA.2.75」の市中感染が都内で初めて確認された。 東京 iCDCの賀来満夫所長はBA.2.75の感染が確認されたのは50代の男性と60代の男性で、2人とも軽症、と明らかにした。
インドでは、BA.5系統の割合が上昇しつつあったが、6月以降、BA.2.75系統の割合が上昇、このような動きはインドだけだというが、動向を監視していくという。

夜の人出は減少 飲食店からは“恨み節”も
「情報が出るたびに非常に皆さん合理的な判断をされている」 夜の街の人出は、新規感染者数の急増にともない、直近3週間18.5%減少、小池知事は多くの人々が自主的にハイリスクな行動を控えている、との見方を示した。
飲食店からは「今週は夜の予約がほとんどない」「どんどんキャンセルに」などの恨み節も聞こえてくる。 都は23日から「予約なし」「接種券なし」で、医療従事者、救急隊員 、高齢者・障害者施設従事者の4回目の接種を都庁南展望室、行幸地下、立川南の都の大規模接種会場で開始する。
しかし、ワクチン接種の効果がでるには時間がかかる。そのうえ円安による物価高もあり、医療面と経済面の双方をどう支えていくのか、小池知事には更に難しい舵取りが迫られている。

(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)