■「悔しかった」から始まった、本気の戦い
超絶技巧のストリートダンス ブレイキン。パリオリンピックで正式種目となったことで、世界中でその熱は高まっています。
長野市を拠点に活動する「フレッシュフロンティア」は、小中高生を中心とした12人の精鋭で構成されるジュニアブレイキンクルー。メンバーひとりひとりが国内、そして世界の舞台で戦い、己の技を研ぎ澄ませています。
中学3年生の高山心愛さん、ダンサーネームMiraはクルーの精神的支柱であり、リーダー的な存在。この年代で国内トップクラスの実力を持ち、韓国で開催された国際大会で優勝を果たしています。
小学4年生の岡田笑奈さん、ダンサーネームEnaは柔軟性を最大限に生かした独創的なムーブが持ち味。「ライトが自分に浴びてるバトルの時が一番楽しめます」と語ります。
小学3年生の高木柊志さん、ダンサーネームSHUJIは驚異的なパワームーブと目にも止まらぬスピードで観客を釘付けにします。
「なんかクルクル回るのが楽しそう、だったり、カッコ良さそうだったから、始めました」
このクルーが誕生するきっかけとなったのは、2024年、開かれたブレイキンサミット。ジュニアナンバーワンクルーを決める都道府県対抗の大会で、スクールのメンバーで構成したチームは予選敗退という結果に終わりました。
Miraさんは当時を振り返り、「延長戦になってフレッシュフロンティアの代表として自分が出て負けちゃって、すごい悔しい思いをしたので。自分的にはカマしたつもりだったんですけど、仲間には申し訳ないなみたいな気持ちがありました」と語ります。
この悔しさが、本格的なクルーとしてのフレッシュフロンティアを生み出すことになったのです。
■「長野をブレイキンの聖地に」指導者の熱い思い
フレッシュフロンティアのリーダーであり、指導するのは長野市出身のブレイクダンサー、真鍋謹良(まなべのりよし)さん、ダンサーネームCHOPPA→(チョッパー)。三代目JSoulBrothersのバックダンサーを務めるなど、プロダンサーとして活躍したほか、パリオリンピックではブレイキン日本代表に帯同して選手たちをサポート。日本ブレイキン界の第一人者ともいえる存在です。
2020年、チョッパーさんは地元長野市でブレイキン専門スクールを開きました。
「中学校の時かな、ブレイキン始めたいときに全然始められる環境じゃなかったんですよね。長野が。なんで帰ってきた時に必ずブレイキンをやりたいって思った子にはブレイキンが習える場所を提供したいなってスクールを始めた」
その思いの根底にあるのは、地元への強い愛着です。
「どうせやるならやっぱ世界一を目指して欲しいな、ってところで僕は長野県をブレイキンの聖地にして行けたらいいなと思ってます」
■予選をパーフェクト判定で突破 優勝候補の実力
大会まであと2週間。「目標は?」との問いに、メンバー全員が声を揃えて「優勝!」と答えました。
ブレイキンサミット当日。会場は、2025年、東京・代々木公園のアーバンスポーツパーク。
試合は一人で踊る「ソロ」、複数のメンバーで踊る「ルーティン」をトータル5ラウンド行い、判定されます。技術、即興でかかる音楽にどれだけ合わせられるかなどが採点基準です。
優勝候補の一角として、全国から一目置かれる存在に成長した長野県代表フレッシュフロンティア。
まずは予選2試合のバトルから。大会のトップバッターは、エース・SHUJIのムーブ。チョッパーさんは解説で「小さい体でスピードもあるし、スキルもあるし、音楽に対するアプローチも素晴らしいんで、すごいですね」と語ります。
YUAの手足の長さを生かしたシルエット、Sarahの華のあるムーブ。それぞれの個性が光るパフォーマンスで、予選2試合ともパーフェクト判定で勝利。Aサークル1位通過を果たしました。
■ベスト16から決勝へ、息をのむ連戦
ベスト16からは、負ければおしまいのトーナメント戦。
対福岡戦では、狭いステージでルーティングに悩みながらも、YUDEDAKOの奇想天外な動きで会場を沸かせます。
チョッパーさんは「チームで一番ソロの時にびっくりする踊りするのが彼ですね」と評価。
狭いスペースでも完璧にこなし、音にハマったパフォーマンスで勝利を掴みました。
ベスト8の対兵庫戦では、Enaの柔らかさとオリジナリティが武器に。
チョッパーさんは「本当に彼女は柔らかさとオリジナルが武器ですね。何か自分にしかできないオリジナル体活かしオリジナル作るの、ほんと天性ですごいっすね」と絶賛します。
そして、Miraがオールラウンダーとしての実力を発揮。
「踊ってよし、スキルよし。でもこれ完璧っすね Mira。すごい。音とってるし、自分のムーブしっかりできてるし、フリーズキメきってるし」
準決勝からはメインステージへ。対熊本戦では、SHOTAROのアイソレーション、体の部位だけを動かす高度な技術が光ります。
チョッパーさんは「アイソレーションといって、体の部位だけを動かすところだけで先に踊っていて、ここからステップ。この後の”ため”すごいです。あれはできない、なかなか」。
全員で踊るルーティン「スーパーマン」で会場を魅了し、決勝進出を果たしました。
■決勝の舞台で感じた想い それでも
優勝まであと一つ。決勝の相手は東京代表。
YUDEDAKOが曲の素晴らしさに「チームに相談もなく」飛び出すものの、最後のスキルでは失敗。相手チームにはHaruという「この世代のBガール1位2位の子」が控えていました。
Miraがスキルで拮抗する相手に立ち向かいます。
「やっぱりスキルという面でいうと、本当に拮抗してるというか、同じぐらいスキルがある相手でしたね」とチョッパーさん。
野球をテーマにしたルーティンでSHUJIを球に見立てて打つパフォーマンスを披露。SHUJIはエリオという技を2周するという驚異的な技を決めました。
しかし、相手チームのルーティンのテンションが高く、「会場が持ってかれてた」とチョッパーさんは振り返ります。
判定の結果、勝者は東京。フレッシュフロンティアは準優勝という結果に終わりました。あと一歩届かなかった頂点。
■「このメンバーと一緒にチーム組めてめっちゃ幸せ」未来へ
SHUJIさんは「悔しかったけど、踊り的にはよく踊れたと思います。楽しかったです」と振り返ります。Enaさんは「来年は絶対優勝します」と力強く宣言しました。
そして、Miraさんは「みんなもうぶちかましてたんで、もう大丈夫です。ハッピーです。このメンバーと一緒にチーム組めてめっちゃ幸せです。ありがとうございます」と笑顔を見せました。
チョッパーさんは「ブレイキンもその他のスポーツも知ってもらえたら嬉しいですね。やっぱここにある熱っていうのをやっぱり直に感じてもらいたいんで、是非機会がある時はフレッシュフロンティアはじめアーバンスポーツ、見に来てほしいなと思います」と呼びかけます。
ストリートから生まれたアーバンスポーツ。
その最前線には、常に直向きな若者たちの「今」がありました。信州から世界へ。この街から生まれるビートが、未来の景色を変えていきます。
※この記事は2026年1月26日にNBS長野放送でOAした「フォーカス信州 信州STREET BEAT ~密着!アーバンスポーツの若き才能たち」をもとに構成した内容です。