安倍元総理を銃撃したとして殺人などの罪に問われた山上徹也被告に21日、無期懲役の判決が言い渡されました。

■「被告が感情をあらわにする場面はほとんどなかったと感じる」初公判から裁判を傍聴した記者

初公判から取材してきた岩橋記者の報告です。

岩橋裕介記者:
旧統一教会に傾倒する母親のもとで育った被告の生い立ちが、量刑にどう影響するかが注目された今回の裁判ですが、弁護側の主張はほぼ認められない結果となりました。

山上被告はこれまでの裁判と同様、黒のスウェットで髪を後ろに束ね入廷しました。

検察側の求刑どおりの「無期懲役」の判決が言い渡された際、被告は首をわずかに左右させ、口元がこわばるような様子が見られました。そして、判決理由が述べられている間は、両手を机の上で組み、じっとその手を見据えていました。

私は、初公判からほぼすべてを傍聴しましたが、被告が感情をあらわにする場面はほとんどなかったと感じられます。

一方、被告の生い立ちに関し、「意思決定に生い立ちが影響したとはいえない」と指摘された際、傍聴席の記者たちが次々と法廷を出るなど注目の高さがうかがえました。

■「背景、真相を掘り下げる余地はあるのではないか」西脇弁護士

この判決について、西脇亨輔弁護士は「前例がない非常に難しい裁判に真摯に向き合ってこられた裁判員の皆さんには心から敬意を表したい」としつつも、「事件の真相解明にはまだ余地がある」との見解を示しました。

西脇弁護士は、判決の内容について「政治家が命を落とした事件ではこれまでも無期懲役の判決が出ている前例もあるので、それも踏まえての判決だ」と分析しました。

一方で、「この非常に重要な歴史に残る事件について、背景とか真相を掘り下げる余地はあるのではないか」と指摘。

西脇弁護士は特に、「旧統一協会の問題の被害を受けた山上被告の矛先が、安倍元総理に向いた気持ちの流れ、意識の流れがどういった順番をたどってそういった結論に至ったのか」という部分が、今回の判決では必ずしも掘り下げられていない部分があると述べました。

■山上被告の弁護団は「被告人と協議し控訴を検討する」

西脇弁護士は、山上被告が「人を殺してはならないという社会規範に立ち戻る機会をなぜ無視して突っ走ってしまったのか」という点について、「政治との関係、政治と旧統一教会との関係がどういったものだったのかも事件の解決に必要な範囲で掘り下げる余地があった」と指摘しました。

判決後、山上被告の弁護団は「被告人と協議し、控訴を検討する」としています。

「もし弁護側が控訴という選択肢を取ったとしたら、控訴審で新たな論点を提起して争う余地もある」と西脇弁護士は述べました。

また、山上被告の行為については「非常に危険な犯罪」であり「人の命は奪われてはいけない」と強調する一方で、「山上被告の行為について斟酌すべき点があったのかどうかの丁寧な認定という点では、より広い範囲、より掘り下げた形で事件の全体像を見ていく余地がまだ残っている」との見解を示しました。

弁護側が控訴するかどうかも含め、今後の判断が注目されます。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年1月21日放送)

関西テレビ
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