産業用機械などを製造する菊池市の会社が農業高校の生徒のアイデアをもとにロボットを開発しました。開発したのは、野菜や草花を育てるときに使用する『苗を移動させるロボット』、その製作現場に密着しました。

喫茶店のマスターのような手つきでコーヒーをいれるロボット。

菊池市にある『シナジーシステム』が開発した産業用ロボットです。

この会社では若者にロボットの活用法を考えてもらおうと『ロボットアイデア甲子園熊本大会』を開いています。

2019年から開催と補足こちらは、高校生や高等専門学校生など247人が参加したおととしの大会。

【熊本県立鹿本農業高校園芸技術科 吉田 隼人さん】
「鉢上げロボットの構想図です」

審査を通過した11人のうちのひとり、熊本県立鹿本農業高校園芸技術科の吉田 隼人さんです。

吉田さんは野菜や草花を育てるために苗を移動させるロボットのアイデアを発表。

作業時間の短縮や人為的ミスの防止などをアピールし審査員特別賞に選ばれました。

【シナジーシステム 楠田 將貴さん】
「ロボットアイデア甲子園はロボットを活用したアイデアを発表して終わりの大会です。何百人の生徒のアイデアを見てくる中で〈いつか実現したいよね、ものにしてあげたい〉という思いがありました」

『シナジーシステム』では今回初めて、大会で発表されたアイデアをもとにロボットの開発を進めます。

開発するのは吉田さんが考案した苗を移動させるロボット。

「農業分野で人手不足や高齢化が深刻化していること」や、「反復作業のためロボットとして製品化しやすいこと」などが選ばれた理由です。

この日シナジーシステムの担当者が鹿本農業高校の実習現場を訪れました。

開発を進める前に実際の作業を生徒たちから聞き取ります。

【熊本県立鹿本農業高校園芸技術科 吉田 隼人さん】
「自分でも実習中やっていて〈あ~めんどくせいな〉ということがけっこうあるので農家によっては10倍とかやっている人もいるから農家の人、高齢の人多いし、(このロボットで)農業人口が増えればいいな」

【シナジーシステム 楠田 將貴 さん】
「この時って(土に穴開けるとき)手を動かしてる?プレスだけなのかほじっているのか」「なかなか人がやっている作業を言語化するのって難しいです。何となく感覚でやっていることを機械でさせようとしたらただ単に押せばいいのかちょっと回転させないといけないのか」

植物の育ち具合でそれぞれ苗の大きさが異なるため課題も多いようです。

【シナジーシステム 楠田 將貴さん】
「通常自動化する製品は固くて形が決まったものが多くて農作物は全部種類も形も違うそこの判断は人の目でやるところをどうロボットに置き換えるか…」

それからおよそ8か月後。

シナジーシステムの開発チームが試作のロボットを持って再び高校の作業現場を訪れました。

【熊本県立鹿本農業高校園芸技術科 吉田 隼人さん】
「思ったより提案した形に(ロボットが)なっているから。実現って本当あるんだなってびっくりしている感じ」「どうなるか分からないけど多分うまくいくだろうと思ってます」

【シナジーシステム 楠田 將貴さん】
「テスト自体が初めてということがあるので今回はまずやってみて成功率を上げていくことを続けていく形かなと思います」

試作のロボットを使って実際に、苗を移動させてみると・・・。

「あがらんね~」

「もう少し(苗を掴む部分を)閉じないといけないですね」

二日間かけてプログラムしたというロボットですがうまく苗をつかめません。

何度も失敗する中…。

「お!上がった」ようやく苗をつかみましたが…。

今度は、苗が離れません。

約1時間半、動作を調整しましたがこの日は一度も成功しませんでした。

【熊本県立鹿本農業高校園芸技術科 吉田 隼人さん】
「難しいところではあったけど持ち上がったことは感動がありました」

【シナジーシステム 吉野 優人さん】
「もうちょっとうまく行くのかなと思っていたのですが…」「自分が担当した装置だとできないっていうのは悔しくてできるようになるまではやりたいなと思います」

それから2週間後、シナジーシステムを訪れるとホワイトボードには試行錯誤の跡が…。

前回の試作品で明らかになった課題は、苗をつかむ力が弱いことでした。

そこで、苗をしっかりとつかむために形状が異なる数種類の『つめ』を試したそうです。

鉢上げ見せるさらに、人の手で苗やポットを移動するのではなく、台が移動するようにし、動作がスムーズになりました。

そして、最終確認の日。再度、動作を確認してみると…。

これまでつかめなかった苗をしっかりとつかみ、移動先の鉢にきちんと移し替えることができました。

しかし、時季の関係から使用する苗が変わったため、成功率はおよそ30パーセントにとどまりました。

こうした苗の種類が変わることも農作業ロボット開発の課題です。

【シナジーシステム開発メンバー 吉野 優人さん】
「品種がパンジーからペチュニアに変わって根の張り方も変わったので前回用意していた爪が使えなくなったりしたのでもう少し試験的にする期間があればもう少しいいところまで行くのかなとは思った」

【熊本県立鹿本農業高校園芸技術科 吉田 隼人さん】
「いい経験になったしロボットの奥深さを学べたのがよかった」「プログラミングや構造で何でも色々できて人の暮らしを豊かにできることが分かった」

今回は、費用面の問題から高校生が考えたロボットの商品化は実現しませんでした。

一方、シナジーシステムは若者がロボットを使えば作業が楽になると気が付くきっかけになればと「今後も高校生のアイデアをもとに実現化できそうなロボットがあれば、開発したい」と意欲を示しています。

テレビ熊本
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