大阪府堺市にある高島屋堺店が、7日に61年の歴史に幕を下ろしました。
近年、地方の百貨店が次々と閉店する「閉店ラッシュ」が続いています。
なぜ地方百貨店は苦境に立たされているのでしょうか。
一方で、黒字化を達成する百貨店も。その戦略とは。
「newsランナー」が地方百貨店の現状と未来を緊急取材しました。
■61年の歴史に幕を下ろす高島屋堺店
「高島屋堺店」がオープンしたのは、東京オリンピックが開催された1964年。当時、屋上には遊具や観覧車も設けられ、家族が1日を過ごせる場所としてにぎわいました。
しかし、2020年度以降、4期連続で営業赤字を計上。ビルの契約満期も近いことから、61年の歴史に幕を下ろすことになったのです。
【客】「両親との思い出の場所なので、ありがとうと言いたいです」
【客】「おもちゃを買ってもらった。思い出たくさんなので本当に悲しい」
なぜ、高島屋堺店は苦境に立たされたのでしょうか。店長の並さんは、ネット通販の台頭で減りつつあった客足が、コロナ禍のあとも戻らなかったことが理由だと話します。
【高島屋堺店 並司店長】「コロナ明けにですね、やはりお客様の足が一気に都心部へ向かって行かれた」「より多くのものから商品を選びたいというお客様のニーズの中で、やはり地方の郊外店については制約があった」
現在、堺店には、高級ブランド店はあまりなく、売り上げの多くを占めるのは、食料品です。さらに、堺市内には近年、競合相手となる大型ショッピングモールが次々と進出。
ショッピングモールを訪れる人に聞いてみると、百貨店離れの実態が見えてきました。
【ショッピングモール利用客】「近くにイオンができて、高島屋に足が向かなくなった」
【ショッピングモール利用客】「人にお菓子持っていったりとか、不幸があった時のお供えとか。でもお供えとかイオンでも買えるので。時間あったら高島屋いくけど、時間なかったらここで足りてる。行く回数も減ってるかな」
■百貨店が1つもない“空白県”は今後も増える恐れ
高島屋ではことし8月、京都市西京区にある洛西店も「黒字化の見通しが立たない」ため、営業を終了する予定です。近畿と徳島ではここ10年ほどで都市圏から離れた「郊外」にある百貨店が相次いで閉店。
百貨店が1つもない「空白県」は、現在、徳島県など全国に4つあります。専門家は、ショッピングセンターや地域のスーパーが存在感を増すなどして、“空白県”がさらに増える恐れがあると指摘します。
【中部大学・末田智樹教授】「事実上倒産、潰れているけれども潰さないように行政とか周りの企業が支えているというところもあるので、残念ながら(デパート空白県は)10県、15県とか20県くらいまでにいくかもしれません」
■「フランチャイズ型」で全店黒字化に成功した近鉄百貨店草津店
地方百貨店が苦境の中、黒字化を達成したのが滋賀県草津市にある近鉄百貨店草津店です。
黒字の背景には、8年前に導入した、ほかの百貨店とは一線を画した店舗運営がありました。
【近鉄草津店 林和人店長】「プラグスマーケットといって、ハンズと地域産品を取りそろえたフランチャイズで運営してる売り場となっています」
一般的に百貨店では、外部の事業者に売り場を貸し出して運営してもらう「テナント型」を採用。売り場の賃料が百貨店の収入となります。
これに対し、「フランチャイズ型」は、事業者に契約金を支払う必要があるものの、運営は百貨店が行うため、売った分だけ百貨店の利益となるのです。
■メガネ店や雑貨店など合わせて6つのフランチャイズ店舗を展開
草津店では、メガネ店や雑貨店など合わせて6つのフランチャイズ店舗を展開し、百貨店の社員が店長を務めています。
【プラグスマーケット草津店 野々下裕二店長】「自分たちで商品を仕入れて販売して、お客様に商品を紹介するという形まで全て担っているので運営形態が全く異なる。お客様と接点をもって、実際その要望に応えられる」
フランチャイズ店舗として5年前にオープンした雑貨大手の「ハンズ」がプロデュースする「プラグスマーケット」。
草津市は、京都や大阪のベッドタウンとして近年ファミリー層を含めた人口が増加し続けています。プラグスマーケットでは、若者に人気の韓国コスメなどの商品を充実させこれまで百貨店に馴染みの薄かった若年層の取り込みに成功したのです。
■フランチャイズの活用で2年連続で全店での営業黒字を達成
また、滋賀県内の自治体や商工会議所と協力して各地の商品を紹介するアンテナショップのような売り場も展開。
来店客からは、ショッピングセンターとは「一味違って楽しい」という声や、「買いやすい値段のものがある。庶民的でいいと思います」との声が聞かれました。
近鉄百貨店は、こうした売り場づくりの工夫やフランチャイズの活用で2年連続で全店での営業黒字を達成しました。
【近鉄草津店 林和人店長】「草津市にも2つの大きなモールがあるんですけど、そちらと競争してもブランド数でも敵わない、我々質にもこだわっていかないと生き残っていけない。単なる商品を販売するだけの店舗ではなく、人と人とのつながりコミュニケーションツールとしてこの店を使って頂くことが一番重要ではないかと思ってます」
いま、存在意義が問われている地方の百貨店。生き残るための試行錯誤が続いています。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年1月7日放送)