中部電力浜岡原子力発電所の再稼働に向けた審査の中で不正が起きていた問題について、どんなねつ造が行われていたのか、そして今後の原発の再稼働に影響は出るのか見ていきます。
今回、審査が白紙に戻される見通しとなっている浜岡原発は静岡・御前崎市にあります。
2011年5月に福島第一原発での事故を受けて、政府の要請があり全面停止になりました。
原発は5基ありますが、1・2号機は廃炉作業中で、あとの3基は停止中となっています。
今回、停止中だった3号機・4号機の審査のデータが問題になっています。
再稼働の前提になる審査で、地震の想定を過小評価していた疑いがあるということです。
いわば「ねつ造」が明らかになったのは、耐震設計の目安となる「基準地震動」に関するデータということで、原発で想定される大きな揺れのことです。
中部電力によりますと、正しいやり方では、基準地震動の策定をする際、計算条件の異なる「20の地震動」を算定し、この中で平均をとって、その中で平均に最も近いものを代表波として選定をするといいます。
ですが実際は異なっていて、どのようにねつ造していたかというと、まず意図的に都合のいい基準地震動を1つ選んで、そのうえで残りの19組を後付けで選んでいた、つまり結論ありきにしていたということです。
これが2018年以降に行われていた「ねつ造」ですが、2018年以前は別の不正がありました。
2018年以前は、「20の地震動」のセットを1つではなく複数作成し、たくさん作った中から都合のいい1つを選定していたということです。
このねつ造について7日、原子力規制委員会は「安全に直接関わるデータのねつ造である」「安全規制に対する暴挙である」と批判をしています。
中部電力の勝野哲会長は8日、「原子力事業の根幹を揺るがしかねない事態だと重大に受け止め深刻な問題だと思う」と述べて謝罪しています。
そして、発覚の経緯ですが、2025年2月の公益通報制度、つまり外部からの情報提供だったということです。
宮司愛海キャスター:
原子力規制委員会は「事業者で不正行為が行われた場合、科学的に見抜くというのは困難」とも言っていたわけですが、柳澤さん、この情報提供がなかったらデータの不正が行われたまま審査が進んでいたかもしれないということですね。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
規制委員会の存在意義も問われますよね。事業者がやっていた場合に科学的に見抜くことができないんだったら何のための規制委員会なんだと言いたくなりますね。
青井実キャスター:
公益通報がなければこのまま稼働していた可能性もゼロではないということですよね。
今回のねつ造で浜岡原発の再稼働は白紙ということになりましたが、生活や暮らしへの影響はどうなのでしょうか。
安全への信頼が崩れてしまうということだけではなく、フジテレビ・智田裕一解説副委員長によりますと、「浜岡原発の再稼働で、中部電力管内で電気料金上昇を抑えることが期待されていた面もあったが、この前提が崩れることになった」「AIの普及に必要な電力の需要が膨らむ中で、AIを柱にした成長戦略にも水を差しかねない側面もある」ということでした。
今後、原発の再稼働に向けた審査はどのようになっていくのでしょうか。
現在、日本の原発は33基あり、そのうち運転中が14基、停止中が19基ということですが、各地の原発が再稼働を目指しているわけです。
原子力規制委員会はこれまで行った他の審査や検査の中で類似した不正の兆候はないということで、「今のところ水平展開する考えはない」、つまり他の原発の審査をやり直す考えはないとしています。
青井実キャスター:
この辺りのスタンスはどうですか?柳澤さん。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
全くダメだと思います。ここまできたら本当にもういっぺん一に立ち返って、他のものについても検査するぐらいの進め方をしないと。それができないならそういう体制を作ってくださいと国民の立場から言いたくなります。
今後について、原子力規制委員会は中部電力本店への立ち入り検査を行う方針だということです。