去年6月、熊本市中央区で車をバック走行させ、2人を死傷させたとして危険運転致死傷罪などに問われた男の裁判です。福岡高裁は22日男に懲役12年を言い渡した熊本地裁判決に「誤りはない」とし、被告側の控訴を棄却しました。

判決を受けたのは熊本市中央区島崎の元ホストクラブ従業員、松本 岳 被告(25)です。判決などによりますと、松本被告は去年6月、中央区細工町の県道で、
酒気を帯びた状態で車を運転しトラックに追突。

現場から逃走しようと、時速70キロ以上で約240メートルにわたって車をバックで走行させたあと歩道に突っ込み、熊本市職員の横田 千尋さん(当時27)を死亡させ、横田さんの友人の女性にけがをさせたとして危険運転致死傷罪などに問われています。

一審の熊本地裁は、被告側の「危険運転致死傷罪は成立しない」とする主張を退け、
検察の求刑通り懲役12年の判決を言い渡していました。

しかし、被告側はこの判決を不服とし控訴。改めて「操縦不能な状態に陥っていたとは認められず、事故は故意に起こしたものではない」として危険運転致死傷罪の成立について争う姿勢を示していました。

22日の判決で、福岡高裁の岡部 豪 裁判長は、「危険運転致死傷罪の要件は『操縦不能な状態に陥ること』ではなく、『進行を制御することが困難な高速度での運転』」だと指摘。

また、「『高速度での運転』は被告人も十分認識していて、危険運転致死傷罪の故意を認めた熊本地裁判決に誤りはない」などとして、被告側の控訴を棄却しました。

判決を受け、被告の代理人弁護士は「被告本人と判決文を精査した上で、上告するか判断したい」としています。

また、横田さんの遺族は「今回の判決で一つの区切りをつけ、前を向いて、これからも様々な感情と闘いながら、千尋の分まで生きていこうと思います」などとするコメントを出しています。

テレビ熊本
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