12月20日、宮城県大和町の山林で、イノシシ用のわなにかかったクマの近くで死亡していた猟友会の男性の死因が、外傷性ショックと判明しました。男性はクマに襲われたとみられていて、クマによる死者は12月では初めてとなります。

20日午前8時過ぎ、大和町吉田の山林で、イノシシ用のわなにかかったクマの近くで、若林区荒井4丁目の無職、加藤光男さん(89)が倒れているのが見つかりました。

加藤さんはその場で死亡が確認され、司法解剖の結果、死因は外傷性ショックだったことが分かりました。

加藤さんの頭にはひっかかれたような傷が複数あり、警察は加藤さんがクマに襲われた可能性が高いとみています。

クマは体長1.3メートルほどのメスで、その場で駆除されたということです。

大和町などによりますと、加藤さんは猟友会に所属していて、警察が当時の状況を詳しく調べています。

環境省によりますと、クマによる死者は統計を取り始めた2006年以降、12月には確認されておらず、加藤さんがクマに襲われたと断定された場合、初めて12月に死者が出たことになります。

今回、現場にかけつけ、クマの駆除にあたった県猟友会黒川支部の浅井功さんです。

県猟友会黒川支部 浅井功支部長
「人が横になっていて、そこにクマが乗っていた。地面と同じような扱いでした」

浅井さんは今回の被害の背景には、イノシシの増加による意図しないクマの捕獲、「錯誤捕獲」があると考えています。

宮城県内のイノシシの捕獲数は、2003年度、490頭でしたが、その20年後の2023年度には、21倍以上にあたる1万546頭になり、急激な増加が続いています。

これに伴い、イノシシ用のわなも増えていますが、県によりますと、2024年度のクマの錯誤頭数は64頭で、10年前の2.5倍となりました。

こちらの映像は11月、青葉区郷六でイノシシ用のわなにかかったクマです。

浅井さんによりますと、クマは「おり」ではなく、こうしたくくりわなにかかった時、パニックになり逃れようとすることがあるそうです。

今回の大和町のケースでも、興奮したクマが加藤さんを襲った可能性があると指摘します。

県猟友会黒川支部 浅井功支部長
「パニックになっているから、危険は確実。わなをかけてワイヤーを張っているので、ワイヤーの長さだけ動く。わなだけ持っている人はそこに寄らないことが鉄則だ」

仙台放送
仙台放送

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