国の文化審議会は奈良時代に建立したとされる高知県南国市の「野中廃寺跡」を国の史跡として指定するよう、文部科学大臣に答申しました。指定されれば県内では9年ぶりとなる見通しです。

南国市元町の野中廃寺は8世紀中ごろに創建されたとされる古代寺院です。18日、南国市教育委員会の担当者が野中廃寺跡について説明しました。

これまでの発掘調査で仏像を安置する金堂は西側に、塔は東側に位置していたことが判明。四国で唯一、伽藍配置の全貌が明らかになった寺院です。野中廃寺跡の約2キロ北には四国霊場第29番札所の土佐国分寺があり、共通点が多くみられます。

例えば、土佐国分寺と野中廃寺が使っていた瓦には類似したひし形の文様。たたき板と呼ばれる道具を使って文様を入れ、同じ瓦窯で焼いたと考えられるそうです。

国分寺は天皇の命によって当時各国に建てられましたが、土佐国分寺と野中廃寺が建立された時期や規模、使用した材料がよく似ていることから、市教委の担当者は国分寺にならって地域で寺を造る機運が高まったのではないかとしています。

南国市教委 生涯学習課・油利崇 主幹:
「古代の寺院をはじめ、古代の遺跡全般の中でも野中廃寺は重要な位置を占めているので、(今後の)調査研究に生かし、活用も含め、地元の皆さんに還元できるようにしていきたい」

野中廃寺跡が国史跡に指定されれば県内では9年ぶり13件目。南国市では2008年指定の岡豊城跡以来4件目です。

高知さんさんテレビ
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