静岡県下田市の母親たちが立ち上げた防災のサークルが注目を集めています。あえて「完璧を目指さない」という取り組みの理由とは?
12月3日、県が御殿場市で開いた女性防災リーダーの育成講座。
なぜ、このような催しを開いたかと言えば、性別や立場が違えば災害で受ける影響や被災した際のニーズが異なるからです。
9月11日に下田市で開かれた子育て世代を対象とした防災ワークショップ。
参加者が学ぶのは家庭にある道具や食材を使って作る非常食です。
参加者:
レンジで蒸しパンは作ったことがあったが湯煎でもできることは知らなかったので、本当に災害にあった時にぜひ子供とやってみたいと思った
主催したのは下田防災クラブ・IMAGINE。
代表の渡辺恵さん自身も3児の母です。
下田防災クラブIMAGINE・渡辺恵 代表:
能登半島地震をきっかけに何かできることはないかと防災士の講習を受け、知ることで不安が解消されることも多かったのでこういったことを同じ子育て世代で不安を持っている人たちに伝えていけたらと思って始めたのがきっかけ
IMAGINEのメンバーは現在4人で、定期的に集まりどうしたら防災をもっと身近に感じてもらえるか意見を交わしています。
下田防災クラブIMAGINE・金澤佳苗さん:
防災に興味はあったが、まだまだわからないことがあったので一緒に手伝って防災を学べたらいいなと思って参加させてもらうことにした
この日は隣接する河津町でワークショップを開催。
市外での活動はこれが初めてです。
子育て支援センター「かわづっこひろば」・土屋眞希さん:
意外と防災という言葉がハードルが高く、みなさん構えてしまう。下田でやっている活動を見てそうではないということを河津の小さなお子さんを持つ家庭の人や小学生の子を持つ家庭の人に知ってもらえたらと思う
停電した際に子供の不安を和らげるアイテムの作り方や、100円ショップで揃えられる便利なグッズを紹介しました。
参加者:
初めて防災について話を聞き、これから家に帰って実践してみたいと思った
また、11月30日には消防とタッグを組んだイベントも実施。
参加した親子はサーモグラフィカメラを使ったジェスチャークイズを体験したほか、ペットボトルを利用して懐中電灯の光をさらに明るくする方法などを学びました。
参加した子供たち:
楽しかった。作ったり、クイズをしたり、探したり楽しかった
参加した親:
子供がまだ小さいので、非常時にこうやってアイラップ(耐熱袋)でのご飯の作り方などを学べたのですごくためになった
下田消防署・長谷川正敏 副署長:
親(世代)も震災や災害を知らない中、こういう活動をしてもらうことで子供たちも含めて地域の人に(防災について)知ってもらえるよい機会だと思う
IMAGINEの立ち上げからまだ1年足らずですが、地道な活動が実を結び今では講座やイベントの依頼も増えています。
呼びかけるのは持続可能な防災への取り組み。
完璧を目指す必要はないと話します。
下田防災クラブIMAGINE・渡辺恵 代表:
防災というのは実は一生涯続くもので一度被災したからといって、もうしなくていいものではない。それだけ長い間やらなければいけないことなのに、特別なもの、堅苦しいものと思ってしまったら続かないと感じていて、せっかくやるのであれば楽しくもっと日常に溶け込ませたものであった方がよいのでないかという考えで活動している
活動のテーマは「ゼロからイチに」。
多くの人にとって防災に取り組むきっかけや入り口を作ってあげることがいまの目標です。