被爆80年の今年新たに作られた「被爆証言応答装置」
本格的な運用に向け、18日、初めて広島市の学校で体験会が開かれました。
【辰已麗キャスター】
「こちらの学習室には生徒が集まっていて、このあと証言者の話を聞ける装置を使って学習が行われます」
18日、広島女学院中学・高校で初めて開かれたのは「被爆証言応答装置」の体験会です。
10月に完成したこの装置。
記録されているのは被爆者の生の「声」です。
利用者の質問内容に含まれる単語などをAIが認識し、あらかじめ撮影した被爆者のインタビュー映像から適切な答えを選んで再生する仕組みになっています。
生徒たちは応答装置へ質問を投げ被爆者らの証言に耳を傾けていました。
【生徒】
「内藤さんが後世に伝えたいことは?
【応答装置の中の内藤さん】
「一番伝えたいことは、核兵器は非人道的なものだ。無差別の大量殺人兵器ですよね。その影響はいつまでも残っていく」
【生徒は】
「自分たちがしたことが、未来につながることが、とてもうれしい」
「自ら被爆者に質問をすることはないので、とても素敵な機会でした」
「思ったよりも深く答えてくれた」
市は今後も学校などで体験会を開き、本格的な運用に向け精度を高めていきたいとしています。
【広島市 坂本優治 被爆体験継承担当課長】
「若い人たちは、これから被爆者の方々の話を直接聞くことは、だんだん難しくなってくる。疑似的ではあるが、対話をしてもらうなかで、平和への思いをしっかり受け継いでもらいたい」
やがておとずれる被爆者なき時代。
被爆の実相を伝える“貴重な声”をつなぐ新たな取り組みは、着実に進んでいます。
<スタジオ>
【辰已キャスター】
通信環境が課題と感じました。最初は20秒ぐらい時間が経ってから答えが返ってくるということもあったんですが、インターネットをつなぎ直すと、タイムラグが1秒くらいで返ってくるという感じでした。ただ、答えが質問からずれるとか、そういったことはなかったので、本当に疑似的に会話できているような印象でした。
この被爆証言応答装置、今回のように外へ持ち出し可能なものは3台、据え置き型のものが2台、合わせて5台あるそうです。
持ち出しできるものは学校に持ち出して、平和学習などに使ったり、据え置き型は原爆資料館で活用したいということでした。
今回のように、いろいろ課題も見つかっていくということで、学校などで体験会を開いて、アンケートをもとに、どんどん改善につなげていきたいということでした。やがておとずれる被爆者なき時代に向け、こういった次世代に記憶をつなげる新たな取り組みに期待が高まっていると思います。