ことし1年の世相を表す「今年の漢字」が発表され、「熊」が選ばれた。
毎年発表が注目されるが、実は今、「字」そのものがブームになっているとか。
通信教育講座を運営する「ユーキャン」では、約140ある講座の中で、「実用ボールペン字講座」が2025年上半期の人気ランキング1位に。受講者は230万人を超えているそうだ。
ではどうすれば上達するのか、関西テレビの秦令欧奈アナウンサーが学んだのは「三」の字の“マスター”が重要だということ。
さらに”美文字”で稼ぐ人も!
まさに空前の“美文字ブーム”が到来している。
■美文字で印象アップ!若者にも広がる美文字ブーム
“美文字ブーム”の実態を調査する秦アナウンサー。街頭インタビューで、文字の美しさと印象の関係について聞いた。
文字に自信なし:(字が)きれいな人は、生活面でも、ちょっといい感じがします。上品な感じ。
文字に自信あり:付き合う男性とかは、字がきれいな人がいい。ミミズみたいな字を書く人とかは、気が小さいのかな、雑かな。
文字に自信あり:あんまり言いたくないけど、アホそうに見える。
文字に自信なし:もらうラブレターの字がきれいか汚いか、結構イメージ変わりますよね。
「文字の美しさで印象が変わる」という意見が大多数。
関西テレビの谷元アナウンサーが結婚を発表した際も「すごい達筆!」「素敵な文字!」「字がきれい!素敵」と文字を褒めるコメントが殺到したほどだ。

■美文字教室で腕を磨く人々!意外な動機とは?
秦アナウンサーは大阪・京橋にある「美文字教室」を訪問した。教室では皆さん真剣な表情で文字の練習に取り組んでいる。
秦令欧奈アナウンサー:皆さんめちゃくちゃ集中した面持ちで書かれていますよ。
この教室の先生は、書道師範の資格を持つ一筆愛さん。オンラインを含めた総受講者数は3000人以上に登る人気教室だ。
生徒の中には意外な動機で通っている方も。
元大手化粧品メーカー勤務(74):暇つぶしみたいな気持ちで来ている。毎日が暇の連続だったので、何かないかなと。もう3年続いております。
レッスン料は月2回で9000円。決して安くない金額だが、それでも通う理由があるようだ。
元大手化粧品メーカー勤務(74):僕なんか年をとると、本当に行くところがない。こういう場があるだけでいい。他のメンバーとおしゃべりするのが、脳のボケ防止にもなる。
美文字教室は単なる習い事ではなく、交流の場としても機能しているようだ。教室の仲間とハイキングやボウリング、食事会に行くこともあるとか。
元大手化粧品メーカー勤務(74):どちらかというと僕は、そっちの方に魅力を感じてます。

■美文字教室のレッスンを体験 コツをマスターすれば上手になる
そんな、美文字教室のレッスンを秦アナウンサーが体験する。
左利きの秦アナウンサーだが、文字にはちょっぴりコンプレックスがあるそう。
秦令欧奈アナウンサー:受験のときとか、書くと、自分で計算用紙になんて書いたかが、もう自分でもわからなくなって、『もう最悪だ!』ってなるぐらい字は汚いですね。
今回は、手書きの年賀状にチャレンジした。
秦令欧奈アナウンサー:よし。結構きれいかもしれないです!
自信満々に書いた内容は、newsランナーのコメンテーター・兵動大樹さんに宛てた「いつも助けてくれてありがとう」というもの。
現状はちょっとバランスが良くないようにも見えるが、ちょっとしたコツをマスターしたら、上手に書けるそうだ。
「秦令欧奈」の「奈」の漢字にもポイントがある。
一筆愛さん:最後の書き出し位置を見てください。ここのすっきり感が、印象が変わるかなと思います。
秦令欧奈アナウンサー:ちょっとどころじゃないですよ。
先生が書いた字はとても美しいものだった。

■美文字のコツを伝授!「三」をマスターすれば“上達”
さらに先生の一筆愛さんによると、漢数字の「三」をマスターすることで、一気に美文字習得の道を駆け上がれるそうだ。
一筆愛さん:実は1本ずつ角度が違う。一番上がちょっと右上がり。真ん中がまっすぐ。最後はちょっと山なり。
ただただまっすぐ3本線を引くのではなく、1つ1つに動きをつけることで文字に立体感が生まれるのだそう。
一筆愛さん:結構いろんな文字に使っていただけるかなと。
秦令欧奈アナウンサー:右上・まっすぐ・山なりですね。

■時間をかけて心を込めて清書
先生のアドバイスをみっちり受けて、ついに年賀状を清書!
秦令欧奈アナウンサ:ここをしっかりはらう。おー!いいよ。
秦令欧奈アナウンサー:大きく…どうしよう。意識しすぎたな。
完成したのが…。
秦令欧奈アナウンサー:どうです?
これはどっちだ?!
時間をかけて、丁寧に書きすぎたあまり少し、力が入ってしまった秦アナウンサー。
でも、最初より上達している文字もある!
秦令欧奈アナウンサー:すぐに劇的にうまくなるのは難しかったですけど、諦めずに頑張ってれば、うまくなれますかね?
一筆愛さん:時間をかけて、書いていただいていることが分かる。手書きのよさっていうのは、同じ文字を同じように書けないこと。そこが人間味があってすごくいい。

■美文字が収入に!得意を活かす意外な仕事
美文字ブームの中、その腕前で稼ぐ人も。
大阪に住む松永真依子さんは、3人のお子さんを育てながら美文字で収入を得ている。
松永さん:字を書いていまして。ネットショップとかお買い上げされた時に、メッセージカードとか入ってるる。それを私が書いているんですよ。
通信販売などで商品と一緒に同封されることがある企業からのメッセージカード。これを代筆するお仕事をしているのだ。
秦令欧奈アナウンサー:その会社の方が書いてるわけではなくて?
松永さん:そうなんです。私が書いています。
元々ノートに字を書くのが好きな程度だった松永さん。3年前にこの仕事を始めた。
松永さん:1番下の子が、小学校に上がる時期に、お仕事探そうかなと思った。ちょうどコロナ禍で。学校から連絡きて行かなあかん時に、自宅で仕事できる方がありがたい。
秦令欧奈アナウンサー:ちなみにこれ1回で、いくら稼げるんですか?
松永さん:このメッセージカードで1枚100円ぐらいです。300枚お願いしますって言われたら3万円。

■1年で14万円 収入だけじゃないメリットも
松永さん:去年1年ぐらいやったら、大体14万円ぐらい。
秦令欧奈アナウンサー:すごい!でも特技を活かしてそれだけ稼げるのは、本当に素敵なことですよね。
実際に松永さんには企業などから50件を超えるオファーが。自宅で家事の合間に働けることは、子供たちにも大きなメリットがある。
松永さん:外に出て働いていたら、何時に帰ってくるか分からへん不安があるから、家で字を書いてるよっていうのを知ると、お母さん家におるわって安心になる。
秦令欧奈アナウンサー:仕事してる姿をお子さんに見せるっていうのも、すごくいいことですよね。

■あなたも美文字で人生が変わるかも?
今回は、美文字ブームの実態と、それを活かして稼ぐ人々を紹介した。
松永さんのように特技を活かして収入を得る主婦がいる一方、シニア世代にとっては新たな交流の場として美文字教室が人気を集めている。
字が綺麗だと印象アップにもつながるこの美文字ブーム。
あなたも美文字を身につけて、新たな可能性を広げてみてはいかがだろうか?まずは「三」の字から練習してみるのもいいかもしれない。
(関西テレビ「newsランナー」2025年12月12日放送)

