史上最も遅い解禁となった今シーズンの佐賀ノリ。
2年ぶりに最高級ブランド有明海一番が選ばれるなど順調なスタートを切っています。
【西久保敏組合長】
「昨年までは枚数をとろうという考えだったが、今年は枚数が8割でも従来の佐賀のおいしいノリを作るよう徹底している。味はばっちりと思う」
佐賀が誇る名産「ノリ」2021年まで19年連続で生産量日本一を維持してきましたがノリの色落ちが原因で3年連続で兵庫県がトップに。
今シーズンは、4年ぶりの日本一奪還を目指しています。
11月4日、漁業者たちは種付けの作業に追われていました。
ノリの種が入ったカキ殻つきの長さ18メートルの網を丁寧に張り込みます。
今シーズンは台風がこなかったことで海水が混じり合わず種付けに適した水温までなかなか下がらなかったことから史上最も遅い解禁となりました。
水温が20度を切る絶好の採苗日となったこの日から約1カ月・・・
【岩部リポート】
「夜9時の有明海です。今シーズンのノリの摘み取りが始まりました。いま漁師たちがノリを手際よく摘み取っています」
早い漁場では、12月4日から摘み取りがスタート。
7日から本格的に始まり、9日の夜も佐賀市の沖合の漁場では15センチから20センチに成長したノリが摘み取られていました。
【ノリ漁業者 田中慎弥さん】
「われわれ生産者は、おいしい黒いノリを消費者に届けたい、その一心で仕事に従事している。黒さ色もあり艶・味も非常にいいのでいい出来だと思う」
一方、佐賀市の漁場の沿岸では今年、新たな駐屯地が開設しオスプレイが配備されました。
駐屯地の近くでは排水対策施設が10月から稼働しています。
この施設は、生活排水や雨水を有明海の水質に影響が出ないよう塩分濃度を調整して排水するものでノリの漁期にあわせて稼働します。
【リポート】
「くみ上げられた海水はこちらのパイプを通り向こうの水槽に送られています。水槽の中で雨水と混ぜ合わされノリの養殖に影響しない水質にして海に戻される仕組みとなっています」
有明海の水質などを調査している県有明水産振興センターによりますと排水対策施設が稼働する前後で水質に変化はなく、ノリの養殖への影響はないということです。
しかし、今年も雨が少なく海の栄養塩は不足していて、12月10日の調査で県内の漁場の5地点で色落ちを確認。
海況の変化に期待がかかる中、漁業者たちはノリの品質を保つため工夫もしています。
戸ヶ里漁港のすぐ北側にあるのはノリの冷凍や加工に使われる設備です。
佐賀海苔は、秋芽網ノリと冷凍網ノリの二期作で種付け後、3センチから5センチに成長したものを冷凍網ノリ用として冷凍保存されます。
【県有明海漁協南川副支所 馬場賢一支所長】
「一期作・二期作用の網を全部種つけて、その半分をマイナス30度くらいの冷蔵庫に保管する」
県有明海漁協は今年、色落ちを防ぐ取り組みとして早めに冷凍庫に入庫するよう呼びかけたということです。
【県有明海漁協南川副支所 馬場賢一支所長】
「色落ちしてからだとノリ芽の健全度が落ちる。ノリの健全度が高くないと傷んでしまい、網を張り替えたときに思うように冷凍網ノリの生産ができなくなる」
また、今シーズンは2年ぶりに佐賀県産ノリの最高級ブランド「有明海一番」の認定品も。
うまみや柔らかさなどを評価する食味検査に出品した51点すべてが認められ、質の高いノリがとれていることがわかります。
【食味検査員】
「今年は挽回ですよ!日本全国どこに行ってもやっぱり佐賀のノリはおいしいなという結果が出ると思う」
県有明海漁協は今シーズン、販売枚数14億枚、販売額245億円を目標に4年ぶりの日本一奪還を目指しています。