与野党で激しい攻防が繰り広げられている衆議院の議員定数削減法案。自民党は静岡県の小選挙区も8つから7つに減るという試算を出しています。もし”1減”となった場合はどんな区割りになるのか?そして、その影響は…。
「衆議院の議員定数を1割を目標に削減」
12月5日、この法案を自民党と日本維新の会が国会に提出しました。
この法案をめぐり、いま与野党で激しい攻防戦が繰り広げられています。
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長(12月5日):
1年以内にやらなかったら時限爆弾が爆発するぞと。時限爆弾じゃなくて本丸どういう選挙制度にするのという論議をしなきゃダメじゃないの
この法案には盛り込まれていたのが、1年以内に結論が出なければ小選挙区と比例代表のあわせて45議席を自動的に削減するという規定です。
県内の野党議員は定数削減には賛同しつつも、この自動削減には反発しています。
立憲民主党・源馬謙太郎 県連代表:
法律の作り方としても乱暴。与党だけで数まで決めて法律に書き込んで自動的に発行するやり方は民主主義とは逆行するのではないか
国民民主党・田中健 県連会長:
1年で決めなかったら自動的に定数が減るのはちょっと乱暴。選挙制度が小選挙区のみならず中選挙区という議論も出ている。それが決まらないと数には言及できない
一方、与党側は本気で定数削減を実現するためには1年間がリミットだと指摘します。
自民党・井林辰憲 県連会長:
(現状では)来年秋から冬にかけて国勢調査の結果を受けた定数を削減しない形での区割りが区割り審から発表される。新しい区割りが出た中で違う選挙制度の議論は現実的ではない。定数削減を本気でしようと思うなら(1年は)適切な期間
仮に“自動削減”となった場合はどうなるのか?
自民党がまとめた試算では静岡県は1つ減り、現在の8つの選挙区から7つになるということです。
では、区割りはどう変更されるのか?
地理的な視点から選挙制度を研究する常葉大学の日野貴之 准教授と地方政治に詳しい静岡大学の井柳美紀 教授にシミュレーションを依頼しました。
まず、現状で有権者が最も少ない4区に1区の一部が加わることが予想されるといいます。
常葉大学教育学部・日野貴之 准教授:
4区は富士宮市・清水区に加えていろいろな可能性が考えられるが、1つの可能性として葵区の大部分が加わり1つの選挙区になる
静岡大学人文社会科学部・井柳美紀 教授:
4区(の人口)が少ないので静岡市の一部を入れる。それにより1区の人口が少なくなり2区の一部を入れる
また、最も影響を受けそうなのが2区と3区ではないかと分析しています。
常葉大学教育学部・日野貴之 准教授:
今の2区と3区にあたる地域は(2区の)藤枝・島田、(3区の)掛川・袋井・菊川・御前崎を含めて1つの選挙区に
静岡大学人文社会科学部・井柳美紀 教授:
3区の一部を(7区に)入れ、2区と3区を足すと人口としてはバランスが取れる
ともに2区と3区が一部を除いて1つの選挙区になると試算しました。
こうしたシミュレーションに対し、静岡2区選出の自民党・井林県連会長は…
自民党・井林辰憲 県連会長:
仮定の話なので区割り審については政治家がとやかく言ってはいけないが、想定される1つのパターンであれば受け入れざるを得ない
議員定数の削減で小選挙区が減ると、有権者の声が届きにくくなるという懸念もあります。
井柳教授は何のために定数削減か目的を明確化することが大切だと指摘します。
静岡大学人文社会科学部・井柳美紀 教授:
もちろん早く決めるべきことはたくさんあると思うが、選挙制度に関して言えば制度を変える・定数を変えることは各政党のある程度のコンセンサス、国民の納得は必要だと思います
与党が提出した衆議院の定数削減法案は成立のめどが立っておらず、その行方が大きな焦点となっています。