富山県魚津市は、政府が物価高対策として活用を促している「おこめ券」の配布を見送り、代わりに市内で使用できる「プレミアム付きデジタル商品券」を発行する方針を示した。BBTの調査によると、富山県内では魚津市を含む7つの市町村がおこめ券の配布を見送ることを決めている。

市長「年度内に市民に支援が届く事業を計上」

この記事の画像(10枚)

12日に開かれた魚津市議会で、村椿市長は「プレミアム付きデジタル商品券など早期に実施可能で年度内に市民に支援が届く事業を計上した」と答弁した。

政府は先月、物価高対策として自治体向けの「重点支援地方交付金」の拡充を閣議決定し、その活用例として「おこめ券」の利用を自治体に促している。しかし、JA全農などが1枚500円で販売しているおこめ券は、実際に利用できるのは経費を差し引いた440円であり、経費の高さや配送の手間・コストを理由に、全国的におこめ券の配布を見送る自治体が相次いでいる。

デジタル商品券で「幅広い商品を地元で購入してほしい」

魚津市が発行するデジタル商品券は、市内のスーパーやガソリンスタンド、家電量販店などで使用可能となる。魚津市商工観光課の高森哲也課長は、「おこめ券だとコメに限定され紙ベースの商品券だとコストもかかってしまう。コストがかかる分だけ市民に渡せる金額が減ってしまう。『デジタルで幅広く使える商品券を』と選択した。物価高騰で困っている市民の下支えになると思っている」と説明している。

県内自治体、おこめ券見送りが広がる

BBTが12日に富山県内15市町村に聞いたところ、「おこめ券」を配布しないとしたのは、入善町、魚津市、立山町、舟橋村、富山市、砺波市、南砺市の7市町村だった。政府推奨のおこめ券を配ることを決めている自治体は、12日時点ではなかった。

見送りを決めた自治体からは、「おこめ券は手数料がかかる」「農家が多いため不要」などの声が上がっている。砺波市は「農家が多くおこめ券を必要としない市民が多い」、舟橋村も「村民に農家が多く、コメ不足の声が少ない」としておこめ券以外の方法を検討している。

立山町は「おこめ券は手数料がかかるので、町民により効果的に還元できる方法を模索したい」と回答。入善町も「コメ以外も物価が上がっているので総合的な対策を検討したい」としている。

一方、小矢部市は政府推奨のおこめ券ではなく「市独自」のコメ引換券の配布を予定している。同市では地元で生産したコメの消費拡大を図るため、2022年から子育て世帯を対象にコメの引換券を配布しており、今回の国の交付金をその財源にあてる方針だ。

このように、政府が推奨するおこめ券に対して、富山県内の自治体は地域の実情に合わせた独自の対応を進めている。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。