大阪府八尾市の整骨院で10代の女性にわいせつな行為をした罪で院長の男が在宅起訴されました。
この男は当初、不起訴処分となっていました。
■「人の人生を壊して何もなかったように振る舞うのは許せない」
【被害を訴える女性】「人の人生を壊して何もなかったように振る舞うのは許せない」
こう、憤りを口にする女性…。
大阪地検は今月1日、この女性(当時18)に対する不同意わいせつの罪で、大阪府八尾市の整骨院で院長を務める今学士被告(41)を在宅起訴しました。
今被告は、施術室で女性の胸を触り、PTSD=心的外傷後ストレス障害に陥らせた不同意わいせつ致傷の疑いで、去年11月、警察に書類送検されていました。
警察によると、今被告は当時、調べに対し容疑を否認。
大阪地検はことし3月、「嫌疑不十分」として不起訴処分としました。
ことし6月、地検の判断に納得できない女性側は、処分が妥当かを審査する「検察審査会」に申し立てを行いました。
■異例中の異例「不起訴処分事件の再捜査”再起”」
結果が待たれる中、地検はここで異例の判断を下します。
それが「不起訴処分とした事件の再捜査=”再起”」。検察審査会の議決を待たずして、再起=事件の再捜査に着手したのです。
そして今月1日、不起訴処分から一転、不同意わいせつの罪に切り替えて今被告を在宅起訴しました。
【被害を訴える女性】「加害者にしっかり罪を償っていただく機会になりましたので、泣き寝入りせずに頑張って良かったと思う。検察という組織で結果が180度違うのは良くないことと思っています」
大阪地検は、起訴に転じた理由や今被告の認否については明らかにしていません。
■事件のこれまでの経緯
【これまでの経緯】
2024年9月:大阪・八尾市内の整骨院でわいせつ行為に及ぶ
2024年9月:今被告が不同意わいせつ致傷の疑いで書類送検
2025年3月:大阪地検が不起訴処分(嫌疑不十分)
2025年6月:被害女性が検察審査会に申し立て
2025年12月:大阪地検が不同意わいせつ罪で今被告を在宅起訴
■密室での出来事ゆえに「証言」の評価が人によって変わる
菊池幸夫弁護士は、今回の検察の判断について「珍しい。例としては圧倒的に少ない。不起訴の判断は検察庁内部で決裁をとって出している結論で、そう簡単に180度変わることはない」と指摘します。
また、検察審査会の判断が出る前に検察が判断を変えた背景には「防犯カメラがあるわけはなく、被害者の証言、言葉が中心の証拠の事案。見る人によって(証拠の)評価が違ってくる。別の検察官が(証拠を)検討したら、違う結論になった可能性がある」と推測します。
また罪名が「不同意わいせつ致傷」から「不同意わいせつ」へ変更になったことについては「ケガをさせた“致傷”について検察としては事実関係の立証が難しいということで“致傷”を落とし、立件をやりやすくしたということがあるかもしれません」と解説しました。
女性は事件をきっかけに学校を休学するなど、心に深い傷を負っているということです。
(関西テレビ「newsランナー」2025年12月11日放送)