中国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題。
日中双方がお互いの主張を否定しあう展開となっている。
そんな中、10日の国会で国民民主党・玉木代表が、トランプ大統領が訪中する前に、もう一度日米首脳会談をやっていただきたいと高市首相に要望した。
悪化する日中関係、解決の糸口となるのだろうか。

中国メディア「日本側に“訓練実施を事前通告」

10日午前、臨時の会見を開いた小泉防衛相。

この記事の画像(17枚)

小泉防衛相:
“レーダー照射事案”に関する中国国営メディアの報道につきまして、4点申し上げたいと思います。

「中国メディアの報道」とは、中国軍の戦闘機が日本の自衛隊機に行ったレーダー照射問題をめぐり、日本側に“訓練の実施を事前に通告した”などと報じたもので、中国軍はSNSを通じて音声を公開。

(中国軍側とする音声)
「こちらは中国海軍101艦、当編隊は計画通り艦載機の飛行訓練を実施する」

(日本側とする音声)
「中国海軍101艦、こちらは日本の116艦。受信しました」

この中国側の“主張”に、小泉大臣が “反論”した。

専門家「挑発行為であり、威嚇行為」

溝が深まる日本と中国の間で、新たな火種となっている中国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題。
日中双方がお互いの主張を否定しあう展開となっている。

高市首相:(7日)
今回のレーダー照射というのは、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為です。

一方、中国側は8日、「戦闘機の飛行訓練中に捜索レーダーを作動させるのは各国が通常行っている手法だ」と反論。
さらに、“事前に公表していた訓練を日本側に妨害された”などと主張した。

これに対し、小泉防衛相は9日の閣議後会見で…。

小泉防衛相:
遼寧の艦載機等の訓練海空域に関するノータム、これは航空情報といわれるものですが、このノータムや航行警報が事前に通報されていたとは認識しておりません。

…と否定。
すると今度は、中国軍が音声を公開。

(中国側とする音声)
「こちらは中国海軍101艦、当編隊は計画通り艦載機の飛行訓練を実施する」

海上自衛隊の艦船に事前に通告したとする音声を公開した。

さらに、中国軍が「自衛隊機からのレーダー信号も感知していた」とも主張した。

これに対し、小泉大臣が臨時会見を行い、“再反論”を行った。

小泉防衛相:
中国海軍艦艇から海上自衛隊の護衛艦に対して、飛行訓練を開始する旨の連絡があり、その内容を聞き取りました。一方、空母「遼寧」の艦載機がどのような規模で、どのような空域において訓練を行うのかという具体的な情報は、自衛隊にもたらされておらず、また訓練を行う時間や場所の緯度経度を示すノータム・航空情報もなく、その結果、危険の回避のために十分な情報がありませんでした。

と、危険回避のために十分な情報がなかったと反論した。

小泉大臣が言及した“ノータム”とは何か。
航空自衛隊で空将を務めた織田邦男氏は…。

麗澤大学特別教授・元航空自衛隊空将  織田邦男氏:
ノータムというのは、(例えば)軍がこのエリアで、射爆撃訓練ありますので、この時間帯は入ってこないようにね、とかそういう細かい情報、つまりパイロットに対して危険を避けるための情報なんですね、それで今回の(中国の通知)はノータムでもなんでもなくて、訓練開始しますというふうに言ってるだけ。

また小泉大臣は、自衛隊機からのレーダー信号を感知したとする中国側の主張について、その事実はないと発言。
そのうえで…。

小泉防衛相:
問題の“本質”は、我が方が対領空侵犯措置を適切に行う中において、中国側が“約30分にわたる断続的なレーダー照射を行った”ということであります。

麗澤大学特別教授・元航空自衛隊空将  織田邦男氏:
いつミサイルを撃ってもいいような状況を約30分間も継続するというのは、これは国際常識としてあるまじきことですよ。どう見ても挑発行為であり、威嚇行為ですね。

一方、中国側は10日午後4時半ごろ、外務省の会見で“事前通報を行った”とあらためて主張したうえで、次のように述べた。

中国外務省会見:
日本側が論点をずらし、国際社会をミスリーディングしようとしている。

国民・玉木代表「もう一度日米首脳会談を」

こうした中、10日の国会ではこんなやり取りが…。

国民民主党・玉木代表:
今、中国が情報戦やってます、ですから、あらためて日米間の連携をいっそう強化してもらいたい。(来年)4月にトランプ大統領が訪中しますが、その前に何らかの形で、もう一度日米首脳会談をやっていただきたい。

高市首相:
私がワシントンDCを訪ねてもようございますし、トランプ大統領がどこか海外に出られたときでもいいので、できるだけ早期にお会いしたいなと。

悪化する日中関係、解決の糸口となるのだろうか。
(「イット!」12月10日放送より)