平日にもかかわらず人であふれる東京・渋谷ですが、街を歩くと目につくのが路上のごみです。

なかなか解決しないごみのポイ捨てですが、ついに罰則付きのルールができようとしているんです。

8日午後11時ごろ、渋谷の街には多くの人が行き交っていました。

地下へと続く階段の脇には空き缶やペットボトルが放置され、道路にはたばこの吸い殻などが捨てられていました。

こうしたポイ捨てについて、渋谷で働く人は「朝ひどいですよ。(仕事が)終わって帰るのが朝ですけど、もうゴミだらけ」と話します。

一方で、街中のごみ箱がないことから、ポイ捨てをした経験があるという人もいました。

20代男性:
こういう所にポンポン(捨てたことがある)。あと(原宿)キャットストリートの途中に置いちゃいます。今はゴミ箱なくなっちゃったので、駅とかに捨てるところがないからですかね。

一夜明けた9日朝、業者やボランティアが清掃を行っていました。

周辺に落ちているごみを拾っていたビルの清掃員は「(清掃開始は)朝5時半くらいです。ゴミを捨てる場所がとにかくないので、それがポイ捨ての理由の一環なのかなと思う」と話します。

別のボランティア団体も清掃活動をしているものの、なかなかなくならないポイ捨て。
そこで行政も動き出しています。

渋谷区議会では、ポイ捨てされたごみを減らすため、コンビニやテイクアウトが可能な飲食店などの事業者にごみ箱の設置を義務化する新たな条例が提出され、10日に採決される見通しなんです。

渋谷区の長谷部区長は、11月に行われた区議会の本会議で「コロナ禍後に来外者が増加し、とりわけ訪日外国人が急増していく中、ポイ捨てゴミも急増しており、これまでの美化啓発活動だけでは美しく健全な環境を維持できなくなってきたのが現状です。このため、ポイ捨てゴミ対策を抜本的に見直すこととし、きれいなまち渋谷をみんなで作る条例の改正を行う事としました」と述べました。

渋谷区では、路上喫煙やたばこのポイ捨てなどを規制する「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の改正案を区長自ら提出したんです。

その内容ですが、飲食店などの事業者にごみ箱の設置や適性な管理を義務付けます。
これを怠った場合、5万円以下の過料が課されます。

一方で、ポイ捨てした人へは2万円以下の過料。
実際の運用では2000円程度になる見込みだということです。

この条例改正案について、街の人はどう感じているか聞いてみると、「高いなと思うが、街の景観を保つには仕方ないのかな」「もっと高くてもいいかな。とても良い取り組みだと思う。罰金があると、そういうの(ポイ捨て)をしないように心がけがつくと思うので、いいことだと思う」と言った声が聞かれました。

では、店側はどのように感じているのでしょうか。
クリスマス仕様のクレープが人気のお店は、すでに店内にごみ箱を設置していました。

条例改正には賛成だといいますが、悩みもあるということなんです。

メゾン クレープリー 渋谷宇田川店・滝瀬愛実さん:
(元々は)外側に設置していたが、海外のお客さんが缶とか瓶、大きい物だとぬいぐるみを捨ててしまって、内側に設置しようとなった。

SPキャスター 山口真由氏:
そもそも90年代に公共のごみ箱がテロ対策でめちゃくちゃ減った。それから、コンビニの外にあるごみ箱がすごいあふれているじゃないですか。公共のごみ箱が減ったまま店に丸投げというのもどうなのかなって。

宮司愛海キャスター:
海外だと公共の場所にあるごみ箱って多いイメージがありますけど、誰が管理するんだろうっていう。

渋谷区では一度に最大500~600リットルほど回収できるスマートごみ箱の導入など、取り組みも行っているんですね。

ソーラーパネルで発電し、ごみがいっぱいになると自動でごみを圧縮するということなんです。

各地で頭を悩ませているごみ問題の解決へ、行政も企業も動き出しているようです。