12月7日、勾留中に入院していた病院から逃走した疑いで、住居不定・無職の島田健太郎被告(54)が、検察庁に送検されました。

島田被告は2025年9月、富士宮市内のスーパーで、約500円の食品を盗んだ上、警備員にけがをさせたとして、傷害と窃盗の罪で起訴されていました。
そうした中、11月28日に警察署の中で箸を使って自分の腹を刺したため、伊豆の国市の病院に入院。

そして、退院予定日だった5日未明、入院していた病院7階の病室から左手首に手錠をつけたまま逃走したのです。

警察の監視下にあった病室から、いったいどのようにして逃走を図ったのか。その足取りを追いました。
防犯カメラに手錠外し逃走する姿
島田被告の病室は7階の1人部屋で、窓際にベッドがあり、カーテンを挟んでトイレが設置されていたといいます。

警察官が2人体制でカーテン越しに監視し、午前1時15分ごろ、島田被告がトイレに行ったのが確認されています。

この約1時間後。なんと、病院から約200m離れた郵便局の防犯カメラの前を通る、島田容疑者の姿が捉えられていました。この時、すでに左手首には手錠はつけておらず、白い袋のようなものを肩からかけているように見えます。

さらに、午前2時35分ごろには、病院から約1km離れた場所にある防犯カメラに、島田被告とみられる人物が1人で歩く様子が捉えられていました。

午前4時、警察官が交代するタイミングで確認を行い、逃走が発覚。
病室の窓はカギが壊され、無理やりこじ開けられた跡が残されていました。

逃走から約12時間経過した午後2時、静岡県・三島市内で確保された島田被告。
病院から直線距離で12km離れた国道1号線沿いを歩いているところを確保されたといいます。
確保した際には、逃走時に左手首についていた手錠は外れており、被告が所持していました。
元捜査一課長「あり得ないこと」警備体制に問題か?
監視者が2人いる中、7階の窓からどうやって逃走したのか。
元神奈川県警捜査一課長の鳴海達之氏は、病院の“警備体制に不備があった可能性”を指摘します。
実は、病院の警備体制について、県警側と病院関係者の証言に食い違いがあるのです。

7階の一人部屋にいたという島田被告。
県警は、カーテン越しに警察官2人体制で監視、「必ず1人は部屋にいた」と説明していますが、病院関係者によると、警察官は室内ではなく、「ドアの外から監視していた」といいます。

元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏:
病院関係者の話が本当だとすると、あり得ないことだと思います。当然部屋の中に入って直接2人で監視をしなくてはいけない対象ですから。(部屋の外からでは)全く分からないですね。
――県警の説明では、中に1人は必ずいたということですが、その場合もカーテンは必要?
カーテンはしてはいけないんです。この被告人は自殺を図っていますから、動静監視をしないと、また再び同じようなことをするといけないので、カーテンなどの遮蔽物などは取り除いて、直接監視をしなくてはいけない対象ではあるんです。
これが警察署の中の留置施設であっても、遮蔽板を取り除いて、その前に対面監視で看守が必ずついて見るわけです。そういうことをしないと、次の自殺を止められないと。
――拘束していたはずの左手の手錠が、なぜ逃走時に外れていたのか
その状況は詳しくは分からないですが、夜中にトイレに行くということは手錠を外さないとトイレにはいけませんから…。

警察によると、島田被告は7階の病室から5階の外壁部分に設置された“ひさし”のような部分に下り、非常階段に移動して逃走したとみられています。

――飛び降りるにしても、窓のカギを壊すにしても大きな音がしそうですが、なぜ警官は気が付かなかったのか?
元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏:
元々逃げるつもりであれば、昼の明るいうちから自分が物音を立てるのと一緒にガラスを割ったり、カギを壊したりと、準備をしていた可能性はある。

さらに、手錠については、窃盗の常習犯だったことから、何らかのルートで手錠の外し方を知っていた。あるいは、トイレに行った際にベッドにつないでいた方は外されていたので、そのままベッドに戻らずに、逃走した可能性もあるといいます。

元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏:
(逃走に気が付かなかった理由を)考えられるとすれば、最初は「こいつは逃げるから見ておかなければダメだ」と言われているのでしょうが、2日3日たつと、だんだん大丈夫じゃないかなという気持ちが出てくるのではないかと。
(「サン!シャイン」 12月8日放送)
