パリっと焼かれ身はふっくら、そしてタレの甘辛い香りが食欲をそそる“ウナギ”。
静岡県清水町の老舗ウナギ料理店・うな繁では11月28日も訪れた人たちが舌鼓を打っていました。
来店客:
とってもおいしいです
来店客:
この店の味が僕は大好きなので非常においしいです
そのウナギをめぐり11月27日に開かれていたのがワシントン条約の締約国会議です。
ニホンウナギを含むウナギ全種類を国際取引の規制対象にする案について採決が行われました。
約7割を輸入に頼っている日本では、規制案が採択されれば価格の上昇につながる可能性がありましたが、賛成35、反対100で否決という結果に。
うな繁・坂田正久 社長:
この話題が出たときから廃業も考えていたので本当にホッとしています
ウナギ料理店の社長も安堵していました。
EU=ヨーロッパ連合などが提案したウナギの輸出規制。
ヨーロッパウナギは実質的に輸出が禁止されていますが、二ホンウナギなどと偽って違法に取引されるケースもあることから全てのウナギを規制するよう訴えていました。
こうしたことから今後を考え、ウナギを扱う業界全体で対処していく必要があるといいます。
うな繁・坂田正久 社長:
(ウナギを扱う)各業界で自分から「ニホンウナギ以外を使わない」とアピールしていかなければいけない
ウナギの養殖発祥の地で地域の特産品として知られる浜名湖うなぎ。
“浜名湖産”にこだわり養殖を続けている業者は価格の高騰による”ウナギ離れ”を懸念していたといいます。
浜名湖さんぼし養鰻・牧野元紀 養鰻場長:
(規制では)手続きも大変になり取引きしづらくなり値段も高くなる。日本のウナギが食べづらくなる
県内のシラスウナギの漁獲量は18年ぶりに2000kgを超えたものの、その前は3年連続で1000kg未満。
漁協や専門店などは親ウナギの放流など資源の回復へ活動を続けています。
日本の食文化を守っていくためにも現状を少しでも多くの人に知ってもらいたいと話します。
浜名湖さんぼし養鰻・牧野元紀 養鰻場長:
我々も限られた資源の中でやっていかなければいけない。ニホンウナギの現状を知ったうえで親しみをもって少しでも多くの人に食べてもらえたら
輸出規制の否決は12月5日の本会議で正式決定するとみられます。
今後について会議に参加していたという専門家は―。
中央大学・海部健三 教授:
ウナギ属漁業全体をみんなで守りましょう、ちゃんと取引や漁獲量を報告しましょうなど、この決議が(今後)全く履行されていないじゃないかということになると附属書の再提案が取りざたされる可能性が高くなると思う
再びウナギの輸出規制の強化が議題にあがることになるのか。
食文化と資源の保全を両立させていくことも求められています。