福岡県は、海外の通販サイトで県のブランド柿「秋王」などを名乗る干し柿が販売されているとして注意を呼びかけています。

25日朝の福岡県久留米市田主丸町。

生産者が発送作業を行っていたのは、出荷の最盛期を迎えた福岡県のブランド柿「秋王」です。

◆いのうえ農園 井上正隆さん
「(最近作っているのは)冷蔵柿。これは県の試験場と一緒になって(研究した)。秋王が11月~12月初めくらいで終わるが、それを1月末くらいまで長持ちさせて、正月用やお歳暮に今うちが作っている」

「秋王」は、柿の出荷量が全国有数の福岡県が10年かけて開発した甘柿のブランドです。

県内で生産される品種の中で特に糖度が高く、種がほとんどないのも特徴です。

◆記者リポート
「甘い!中に蜜が入っているんじゃないかというくらい甘くて、サクサクした食感なのに果汁が多くて不思議な感じ」

この「秋王」をはじめ、福岡県産の柿をめぐり、このところある問題が生じています。

それが…

<SNSの広告>
「福岡県で最高級の柿を厳選。まるで大人の拳ほどの大きさで、果肉はぎゅっと詰まっています」

SNS上で「福岡県産の干し柿」を名乗る広告です。

<SNSの広告>
「甘さが口いっぱいに広がり、次に果肉はプルンとゼリーの様な食感。濃厚な果実の香りと豊かな甘さが舌の上で踊ります」

広告では女性が柿をむいたり頬張ったりと、「福岡県産」の干し柿の美味しさを宣伝しています。

しかし…

<SNSの広告>
「今回、福岡の果樹園と独占契約し、初のオンライン販売を実現。記念キャンペーン実施中で、シチセン880円で4箱購入するとなんと4箱おまけ」

「イエ族みんなで楽しめる最高の贈り物間違いなし」

所々で日本語が不自然な部分も…

この干し柿を購入した人たちからは「福岡の柿ではない」との被害報告が相次いでいます。

<SNSのコメント>
「まるで詐欺だ。最悪。送られてきたのは福岡の柿ではない」

「福岡県産は嘘です。母が騙されて購入しました。8000円支払ってお取り寄せしたのに、中国の河北省から送られてきました」

購入した男性に話を聞いてみると…

◆干し柿の購入者
「インスタグラムの広告で福岡産『秋王』という干し柿が売られていた。口コミも『まことにいい』と書いてあった。これは信用できるなと思って購入した。中を開けてみたら全部中国産で、『秋王』ではありません。袋を開いてにおいをかいだが、かび臭いので全部捨てた」

こうした事態を受け、福岡県はブランド柿の「秋王」や「福岡県から産地直送」などとかたる干し柿が海外のサイトで販売されているとして注意を呼びかけています。

◆福岡県園芸振興課 井上直子さん
「購入サイトの連絡先は中国の住所となっている。10月下旬、県庁に消費者からメールや電話で『秋王と記載のある商品が販売されているが、本当に秋王か』という問い合わせがあり、それでこちらとしても確認した」

県は2012年に「秋王」の商標を登録。

ブランド化のため、加工品などでも商標を取得していて、「秋王」の名称を使った商品の販売には県の承認が必要となります。

しかし、県が実際に商品を購入するなどして調査を進めていますが、これまでに「秋王」の使用は確認できていないといいます。

◆福岡県園芸振興課 井上直子さん
「秋王の(商標の)使用登録者は県のホームページで公表している。これまで県が『干し柿』または『中国などで』秋王の商標利用を承諾した例はない。今後は引き続き、秋王が使われているかどうかという点について確認を進めていきたい」

<SNSの広告>
「食べると実に体に良く、熱を冷まし、喉をうるわし、咳を鎮めてくれます。父も毎日2個食べて長年の咳が和らいだほど」

「秋王」のブランドを悪用した疑いがあるニセ広告。

生産者に問題の動画を見てもらうと…

◆いのうえ農園 井上正隆さん
「全然こんなの秋王じゃない。こういうのが出てくるとお客さんに迷惑をかけるし、こういうものを表面的に出してほしくない」

実は被害は福岡だけではありません。

<長野県産を名乗る広告>
「季節限定!1年にわずか70日しか収穫できない長野県南信州産の柿を美味しい干柿にして皆さんにお届けします!」

この長野県産を名乗る広告では、よく見ると福岡県産を名乗る動画と同じような演出で編集の仕方もほぼ同じです。

撮影場所も長野に見えません。

さらに、このほか奈良県産や和歌山県産を名乗る広告動画もあって、被害報告が相次いでいます。

実際に奈良産と名乗る商品を購入した人によると「腐った匂い」がするものもあったという事です。

テレビ西日本
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