2022年に安倍元総理を手製の銃で撃って殺害した罪などに問われている山上徹也被告(45)の裁判員裁判は、25日午後1時過ぎから11回目の裁判が始まり、2回目の被告人質問が実施されています。
山上被告は安倍元総理が旧統一教会の関連団体に送ったメッセージ動画を見た時に抱いた感情について「絶望と危機感と思います」と語りました。
また「長い間首相を務めた人でどんどん教会が認められていくのがよくないと思った」と話しました。
また安倍元総理と教団については「2006年に祝電。それからつながりがあると思っていた」とも説明しました。
■安倍元総理のメッセージ動画で「教会が認められていく」
山上被告は弁護側から、安倍元総理が旧統一教会の関連団体に送ったメッセージ動画を見た時のことについて問われ、次のように答えました。
(Q.動画はいつ見ましたか。どう思いましたか?)
【山上被告】「出た直後に見ていた。現役(総理)の間に出ない、良識はあったんだなと思った。でも、現役総理ではなくなった後なので、これから出るのを阻む理由がない。
これから出続けていくと思ったら、長い間首相をつとめた人なんだから、これからどんどん教会が認められていく、認知されていってしまうのがよくないと思った」
このやりとりを山上被告は淡々とした様子で答えていました。
■安倍元総理の動画「非常に悔しい受け入れられない」「絶望と危機感」
そしてこのメッセージ動画の受け止めについては「非常に悔しい、受け入れられない」「絶望と危機感」と話しました。
【山上被告】「以前から教会は『自分たちは神、敵対するものはサタン』という宗教なので、被害をこうむった側からすると、非常に悔しい、受け入れられないと思った」
(Q.「二世信者」は、あの動画を絶望という話もあるが?)
【山上被告】「絶望と危機感かと思います」
(Q.怒りはあった?)
【山上被告】「安倍元首相に対してではないが、そういった状態に対して困るという感情」
■「2006年に祝電。それからつながりがあると思っていた」
このほか山上被告は被告人質問の中で、安倍元総理と旧統一教会の“つながり”について、「2006年に祝電。それからつながりがあると思っていた」と説明しました。
【山上被告】「教会幹部の人と話すことがあって、『安倍総理はうちの教義知っている。味方だ」とかいう話だった。
第2次安倍政権以降の内閣に、教会とつながりがある人が多いのは知っていた。教会のイベントに議員が何人か参加したり…よくないと思っていた」
■安倍元総理の動画 宗教二世は「非常に衝撃、絶望的と受け止めた」
安倍元総理が教団の関連団体に送ったメッセージ動画について、証人として出廷した元教団信者で現在は「宗教二世」たちを支援する弁護士は、「宗教二世」の受け止めについて「非常に衝撃、絶望的と受け止めた」と語りました。
【神谷弁護士】「直接私が受けた方、及び弁護団が相談を受けた声として聞いてほしいですが、非常に衝撃、絶望的。自分たちの人生をめちゃくちゃにした統一教会を批判するのではなく、礼賛すること、国が後押しすることに絶望的な気持ちを覚えた。
自分の人生を壊された、将来の展望を失った。その教団を国が後押しした。有力な政治家が総裁を後押ししてしまった。先がない、救われない、絶望的で。言語化するなら絶望的な思いが近いです」