2022年に安倍元総理を手製の銃で撃って殺害した罪などに問われている山上徹也被告(45)の裁判員裁判は、25日午後1時過ぎから11回目の裁判が始まり、2回目の被告人質問が実施されています。
山上被告は弁護側から、母親が旧統一教会へ献金を繰り返すなど、信仰にのめりこんでいったことに反対していた兄が自殺した時のことについて聞かれ「統一教会に献金をしたことで兄も天国で幸せに暮らすことになった」と母親の発言を明かしました。
兄の死について、山上被告自身が責任を感じていた一方で、母親が「兄の死は『これでいいんだと思っている』と感じた」と説明し、「自分とは全く違う方向にいる」と述べました。
山上被告は「旧統一教会は母の問題で、兄が亡くなるまでは、自分の人生を生きていこうと決意していた。教団に恨みを募らせたのは、兄の死に対する母の理解が原因だ」と 弁護側の関係者に対して話していたことが分かっています。
■兄の自死巡り「こういう結末に至らせたのは自分の責任が大きいと思っていた」
(Q.兄が自殺してから母と妹に徹也が連絡しなくなったということがあった。気持ちに変化があった?)
【山上被告】「ショックだったのもありますし、何一ついいことがないなと思っていた」
(Q.兄が亡くなって、何をしようとしていたんですか?)
【山上被告】「自衛隊時代に、自分が兄の仕送り要求にこたえていたら、兄は困らなかったのではないか。兄をこういう結末にいたらせたのは自分の責任が大きいと思っていた」
(Q.その結果どうしようと思った?)
【山上被告】「前に失敗した自殺をもう一度保険金をかけて自殺しようとした」
(Q.誰にかけたんですか?)
【山上被告】「主に妹。多少母にもかけた」
■「献金で『兄の死についてはこれでいいんだ』と思っていると感じた」
そして弁護側は、2018年に山上被告が岡山県で、その翌年には愛知県で旧統一教会の韓鶴子総裁ら幹部を狙おうとしていたことを指摘し、「保険金の期限(自殺の場合に保険金が出ない免責期間)が終わった後、一線を越えてしまったのか」と質問しました。
これについて、山上被告は次のように語りました。
【山上被告】「そのころちょうど、母と話して統一教会と兄のことを突っ込んで話した。兄が亡くなったあと、母は『統一教会に献金をしたことで兄も天国で幸せに暮らすことになった』と。
それについて、母が献金をしていたおかげで、『兄の死についてはこれでいいんだ』と思っていると感じた。
自分は兄が死んだことに悔やんで、責任を感じていた。母は信仰で乗り越えた。自分とは全く違う方向にいる」