宮島で揚げもみじやカキフライなどを食べ歩く観光客。その一方で、置き捨てられたゴミや食べ残しが深刻な問題になっている。
11月の3連休、新たな取り組みを象徴する“もみじ柄の袋”が紅葉の景色に揺れていた。
厳島神社参拝に300メートルの列
11月23日、3連休中日の宮島は朝から人波が途切れなかった。島根から訪れた家族は「人が多くてびっくりしています」と声を弾ませる。
厳島神社へ向かう参拝者の列は300メートル以上。最後尾には“参拝者最後尾”のプラカードを掲げたスタッフが立ち、人々を案内していた。
大阪から来た親子は「親子2人で旅行しようかと日帰りで」と話し、列に加わる。
「びっくりしました。何年か前にも来たんですけど、こんなに混んでなかったんで」
厳島神社へ続く長蛇の列を見て、驚いていた。
もみじ柄の袋が揺れる宮島の秋
2024年の宮島の来島者は過去最多の485万人。観光客の増加に伴い、ゴミの置き捨てや食べ残しの処分が深刻な問題になっている。商店街では揚げもみじやカキフライ串を片手に散策する観光客がにぎわいを見せ、海辺の護岸でも多くの人が腰かけて飲んだり食べたりする光景が日常的だ。
そんな中、3連休に合わせて「ごみ持ち帰りマナーアッププロジェクト」が実施された。
宮島桟橋前広場などで配られたのは、もみじ柄のごみ袋。赤・オレンジ・黄・グリーン、それぞれ単色のもみじが散りばめられた4種類のデザインで、持ち歩きやすいように持ち手がついている。主に宮島で回収されたペットボトルを再利用して作られ、一般的なポリ袋と比べてCO₂排出量を約15%削減する。
袋のデザインを手がけたのは「BEAMS JAPAN」を展開するビームスクリエイティブ。島内にも店舗を構えるブランドらしく、観光の思い出にもなるデザインだ。
配布場所へわざわざ袋をもらいに来る人もいて、島内のあちこちで手にする観光客の姿が見られた。
観光地の“ゴミ持ち歩き”定着へ
廿日市市と宮島観光協会は「持ち込まない・増やさない・散らかさない」を合言葉に、食べ歩きなどで出たゴミを袋に入れて持ち歩き、持ち帰るか公共のごみ箱に捨てるよう呼びかけている。

松本太郎市長は「ゴミの総量の増加は、テイクアウトの事業者が増えているので致し方ないが、散らかしを問題視しています。今回のプロジェクトの成果をしっかり見極めたい」と語る。
この3連休で配られたごみ袋は4万枚。宮島に広がるカラフルな袋が、観光地の景色をほんの少し変えていた。
宮島の味を楽しみながら、ゴミは袋に入れて持ち歩き、公共のごみ箱へ。そんな旅のスタイルが、これからの観光地の“新しいマナー”として根付いていくかもしれない。
(テレビ新広島)
