下校途中だった、当時小学校1年生の女子児童がペルー人の男に殺害された事件から20年が経ちました。無期懲役の判決が確定した、その後もこの凄惨な事件はこの地域のみならず多くの人が子供の安全を考えるきっかけとなっています。
本格的な冬がやってくるこの時期に…ヒマワリが咲き誇る地域があります。
夏のイメージがあるその花は「あいりちゃんのヒマワリ」と呼ばれています。
ヒマワリは子供たちを特別な思いで見守ってきました。
2005年11月22日、当時小学1年生だった木下あいりちゃん(当時7歳)が、下校中にペルー人の男に殺害された事件から…20年。
【児童】「おはようございます!」
元気な子供たちの声が響く朝
【矢野西小学校・黒田章弘校長】
「悲しい出来事から20年。矢野西小学校は、地域の沢山の方々に守られながら命と安全を大切にする学校へと20年かけて育ってきました」
あいりちゃんの命日となったこの日も通っていた小学校には、静かに佇むヒマワリの姿がありました。
ヒマワリは亡くなった、あいりちゃんが好きだった花…。
地域の人が遺族から種を受け継ぎ、夏ではなく命日の今の時期に咲くよう種を蒔き大切に育ててきました。
【かいたのヒマワリ屋さん・川上一望さん】
「何とかここまで、咲きましたいうことです。(あいりちゃんの)おじいちゃんおばあちゃんらに(種)もらって、私らが蒔いたのは2008年。毎年毎年取れるほど簡単なもんじゃない。あいりちゃんが好きだったヒマワリをとにかく育てようというので続けている。風化させないということでね。命の尊さを考えるきっかけにしてほしい…」
毎年この時期にたくさんのヒマワリを児童のもとに届けています。
【児童代表】
「これからもお預かりしたヒマワリが元気に育つように、しっかりとお世話をしていきたいと思います。毎年この時期にいただくヒマワリを育てることでも生き物を大切にする心や命の大切さを学んでいます」
性的暴行による殺害事件。
一時期、この事件は遺族の心情に配慮し「匿名」で報道されました。
しかし、2006年、広島地裁での判決公判を前に遺族は「実態を伝えることで性犯罪の抑止につながるなら、娘の名前を出して性的暴行の事実を報道して欲しい」と表明。その後、各報道機関は実名と性犯罪に関する事実を報道しました。
子供が安全に暮らせる地域のあり方とは何か?
遺族の思いがヒマワリを通して、いまも地域に受け継がれています。
この地域で20年を見守ってきたガードボランティアの小川邦治さん。
【小川邦治さん】
「こんなところでこんな事件が起こるとは全く感じていませんでしたので、これは地域でなんとかしないといけないなと」
事件が起こってすぐ、通学路での見守り活動を始めました。
あいりちゃんの命日に設けられた命と安全の日、この日も朝7時半から小川さんは通学路で子供たちと笑顔で言葉を交わします。
地域で子供たちを見守る。
自分たちにできることを20年間、やってきました。
【児童代表】
「毎日私たちのために続けてくださっていることを当たり前ではないと感じています。私たちにとってみなさんの存在は心の支えになっています」
事件をきっかけにそれぞれの立場から、子供たちの安全を願い続けています。
【ガードボランティア・小川邦治さん】
「いつもと変わらず子供たちが元気に無事に通えればいいかなと思ってやっております」
【かいたのひまわり屋さん・川上一望さん】
「こういう活動はどんどんこれからもね続ける限り続けていって、事件を風化させないということと、命の大切さを知ってほしいという形で活動は続けていきたい。そして、町花ヒマワリが海田町にいっぱい咲いて、町民、小学生がみな明るい顔で通勤通学できるようにしていければなという風に思っております」
「この命にありがとう」
あいりちゃんが大好きだったヒマワリが季節外れのこの時期に元気に咲き誇るのと同じように、子供の安全を守るという地域の思いは、いま確実に芽吹いています。