10月、盛岡視覚支援学校(岩手県盛岡市)で運動会が開かれました。
この運動会は、児童・生徒それぞれのハンデを乗り越えるための工夫が凝らされた特別な行事です。
2025年春、小学部に入学したかなちゃんにとっては初めての運動会です。両親が見守る中、どんな姿を見せたのでしょうか。
10月中旬、盛岡視覚支援学校では運動会の練習が行われていました。
競技では様々な工夫が凝らされています。支援者が隣を走るための伴走用のひもや、手を叩いたり音を出して進行方向を知らせることもあります。
2025年小学部に入学したかなちゃんにとっては初めての運動会です。
色と光が分かる程度というかなちゃんは、真っすぐ走ることができません。
運動会ではリレーもあります。どうやって出場するのでしょうか。
かなちゃんの通う盛岡視覚支援学校は、視覚に障がいがある人たちが学ぶ県内唯一の学校です。高卒以上が対象の専攻科もあり、マッサージなどの知識と技術を学び、国家試験合格を目指します。
生まれた後に障がいを負った中途障がい者をはじめ、幅広い年代の人がこの学校で学んでいます。
10月18日、運動会当日です。
かなちゃん
「おはようございます。(Q:きょうは何の日ですか?)運動会の本番です。がんばるぞ!」
かなちゃんと一緒にいるのは、父の伸也さんと母の聡子さんです。伸也さんも視覚に障がいがあります。
父・伸也さん
「(Q:何が楽しみですか?)あまり何やるか分からないんですけど。選手宣誓、間違えないで言えれば」
娘の成長を音で感じたい――ドキドキしながら選手宣誓を待ちます。
かなちゃん
「宣誓、いよいよ、きょうは運動会です。みんなが主役、心を燃やして、いざ団結!みなさん一緒に楽しみましょう」
いよいよ、運動会が始まりました。
運動会は2年に1度の開催で、普段は別々に学ぶ生徒たちが一緒に参加します。
かなちゃんが出場する「玉入れ」は、かごの位置を知らせる音を頼りに玉を投げます。
出番を終えると、次は応援です。
競技の様子が見えなので、周囲の声を聞き雰囲気を感じとりながら声をあげます。
競技は順調に進み、いよいよ最後、タイムで競う全校リレーです。
先生たちは、かなちゃんが出場できるよう、長いロープを準備していました。
真っすぐに伸ばして筒状のバトンを通すと、ロープを頼りに真っすぐ走れるかなちゃんのコースのできあがりです。
愛情と工夫があれば、不自由さはきっと克服できる。走る距離も方法もちがいますが、しっかりとバトンをつないでいきます。
それぞれが確かな成長を感じた1日。
普段は感じられない高揚感を思う存分味わい、2年に1度の運動会が終わりました。