今、日本維新の会の藤田共同代表と共産党の間で激しい批判合戦が起きています。
そのきっかけは、藤田共同代表の疑惑を報じた共産党の機関紙「しんぶん赤旗」です。
今回、赤旗の内部を取材しました。
幹部を直撃です。
自民党のいわゆる“裏金問題”など数々のスクープを報じ、独自の報道を続けている「しんぶん赤旗」。
今、新たな疑惑としているのが、約1カ月前に自民党と新たな連立を組んだ日本維新の会の共同代表・藤田文武氏についてです。
赤旗は11月上旬、藤田氏の公設秘書が代表を務める会社に公金約2000万円を支払っていた疑いを報じました。
藤田氏は、この報道に激しく反発。
赤旗の記者の名刺を自身のSNSで公開するなど、全面対決の姿勢を見せています。
日本維新の会・藤田文武共同代表:
赤旗は公平性を重視するような報道機関ではない。共産党のプロパガンダ紙であると。
はたして赤旗は報道機関なのか、それともプロパガンダ(宣伝機関)なのか。
FNNは、赤旗の編集局を直接取材しました。
しんぶん赤旗 日曜版・山本豊彦編集長:
あの人(藤田氏)なりの分断工作だと思っていて、本当にそういう意味じゃ卑劣だなと思っている。
赤旗の編集局があるのは、東京・代々木駅近く。
共産党本部のすぐそばにあるビルです。
日刊紙と日曜版がある「しんぶん赤旗」。
まず取材したのは、調査報道を得意とする日曜版の編集部です。
しんぶん赤旗 日曜版・山本豊彦編集長:
40数人が日曜版編集部全体でいる。ここは紙面をわりつける、いわゆる整理の人たち。
壁には、赤旗が報じてきたスクープに対する賞状の数々。
自民党の、いわゆる“裏金問題”や“桜を見る会”などが飾られていました。
しんぶん赤旗 日曜版・山本豊彦編集長:
私たちが目指しているのは、やっぱり権力への監視というスクープ。今回、藤田さんのもやっているが、これも今回維新(の会)が新たに連立入りしたということで、維新の問題をきちんと監視するという意味でやっている。
赤旗編集局の近くにある共産党本部の資料室には、政治資金収支報告書を1970年代から保管してあり、赤旗の記者たちは自由に閲覧が可能。
旧統一教会系とされる新聞も収集し、スクープにつながったのだといいます。
資料室責任者:
立場に近い人だけじゃなく、正反対の立場の人のものも情報として収集するということには、結構配慮して仕事はしている。
赤旗を作っているスタッフは、どんな人たちなのでしょう。
実は、しんぶん赤旗で働く条件はただ1つ。
それは「共産党員であること」だそうです。
しんぶん赤旗 日曜版・山本豊彦編集長:
日本共産党の機関紙だから共産党員だというだけで、それ以上の深い意味もない。
機関紙とは、政党や団体の立場を伝える新聞のこと。
もちろん自民党や立憲民主党にもありますが、赤旗は発行部数が多く、共産党にとっては特別な存在です。
同じビルの地下には印刷会社が入っていて、赤旗が刷られています。
この赤旗の購読料などの事業収入は減少傾向にあるものの、共産党の収入の約8割近くを占めます。
それによって、共産党は企業・団体献金や国民の税金から支出される政党交付金も受け取らずに党を運営することができています。
このように共産党の一部ともいえる赤旗は、党の宣伝機関なのか報道機関なのか。
日曜版の編集長に聞いてみると…。
しんぶん赤旗 日曜版・山本豊彦編集長:
1つは日本共産党の機関紙と同時に、私たちは権力監視の最強メディアの一つというふうに見ている。
赤旗には「機関誌」と「権力監視メディア」という両方の役割があると説明。
しんぶん赤旗 日曜版・山本豊彦編集長:
(Q.報道の公平性の担保が難しいのでは?)公平性じゃなく私たちは真実に対して正直であらないといけないと思っている。(Q.共産党の主張を強く扱うと真実をゆがめかねないのでは?)例えば裏金とか桜を見る会って、これ真実をゆがめました?だからそれは真実かどうか公平性の問題じゃない。
一方、赤旗を「報道機関ではない。政党間の戦いだ」として記者の名刺を公開した藤田氏については…。
しんぶん赤旗 日曜版・山本豊彦編集長:
公設秘書側に公金2000万、これは別に共産党だからとかそういうことじゃないと思う。だからこそ藤田さんたちも、要するにこれから出しませんと言ってるわけだから。にもかかわらず政党間の戦いだということは、あの人なりの分断工作だと思っていて、そういう意味じゃ卑劣だなと。
私たちは、この赤旗の主張を維新の藤田共同代表にぶつけてみました。
日本維新の会・藤田文武共同代表:
「権力監視の最強メディア」と言ってもらうのもそれは当然、姿勢としてはその通りなんでしょうし、ただ公平性とかそういうものを重視しなくていいそういう政治的主張を展開される性質のものだと思う。
一方、赤旗側からのメディアの分断工作だという批判については…。
日本維新の会・藤田文武共同代表:
いやそれは明確に分断というか、もともと違うものだと思っている。皆さんのようなメディアは公平性を担保しなければいけない、そういうものを重視して報道されますよね。赤旗の主張っていうのは、報道でもなく政治的主張であり、それ以上でも以下でもない。
赤旗のスクープに端を発した今回の維新と共産党の対立。
真実に関する報道と政治的な思惑のはざまで、言論を巡る論争は続きそうです。