2年前に家計を直撃したエッグショック。
その記憶も新しいこの冬、鳥インフルエンザや燃料費の高騰などの影響で、卵の値段が再び高騰しています。
21日の時点でMサイズ1キロ、およそ16個が350円と高騰中!2年前の水準に迫る事態となっています。
卵の値段が高騰する中、卵を使ったメニューを提供するお店は今どんな状況なのか?
そんな疑問を解消すべく、西中蓮アナウンサーが現場に飛び込みました。
【西中蓮アナウンサー】「早速調査していきたいと思います!行ってきます!」
■驚愕のEGG!卵15個使用の大人気メニュー
最初に西中アナが訪れたのは、京橋にある「バックストリートコーヒー」。いつもお客さんでいっぱいの、アメリカンな雰囲気漂うオシャレなカフェです。
このお店の大人気メニュー、厚さ7センチのトーストに卵を乗せた「BIG BANG」。これがとんでもない卵の使用量なのです!
【西中蓮アナウンサー】「卵です!ダイレクトに卵を味わえますね!僕トレーニングめっちゃするんですけど、“トレーニー”にはぴったりな!」
【店主】「2日分ぐらいのタンパク質がとれるかもしれない」
なんとこの商品、卵を15個も使っています。ただ、メニューには卵12個使用と書かれている理由は…
【店主】「『コレステロール多いやんけ』って怒られるのが嫌で、『逆詐称』と言いますか」
■卵の値段「ガンガン上がって止まらない」
そのため、卵の使用量は平日およそ15キロ、土日はおよそ25キロ!卵高騰の影響もとんでもないことに…。
【店主】「(去年は)1箱(1キロ約160個)3000円やったんですけど、だいたいもう約1500円分ぐらい1ケース上がってて」
しかも、たった3日でさらに3ケースの値段が300円値上げ。
【店主】「ガンガン上がってて、止まらないんです」
さらに、パン、バターなどの乳製品、マヨネーズ、コーヒー豆に至るまで喫茶店で使うありとあらゆる食材が値上がりしていると言います。
■商品の“クオリティ維持”のため“家を解約”したという店主
なんと、1年間で上がった値段はおよそ120万円にのぼるということです。
【西中蓮アナウンサー】「120万!?」
【店主】「対策と言っていいかわからないんですけど、ことし家解約しまして…」
【西中蓮アナウンサー】「えぇー!」
【店主】「近くに事務所があるので、そこに寝泊まりして。いまSNSで海外からも全国からもお客さん来てくれるので、来た時にがっかりさせないために、商品のクオリティとかパフォーマンスは下げないように頑張っております」
家を解約してまでもお客さんを満足させたいという店主の精神。
元アメフト選手の西中アナ、その想いを胸に「BIGBANG」に果敢に挑みましたが…あえなくノックアウト。でも大丈夫!アルミホイルに包んでお持ち帰りができるので安心です。
■クリスマスケーキは大丈夫?チラシのせいで…
【西中蓮アナウンサー】「続いては、来月クリスマスということで、こちらのケーキ屋さんにやってきました。こちらも影響ありそうですよね」
次に訪れたのは、大阪城近くに店を構える「パティスリー・セ・ボン」。
13年前にパティシエのご夫婦がオープンした地元で人気のケーキ店で、看板メニューはカップ入りで食べやすい「いちごのショートケーキ」です。
【西中蓮アナウンサー】「クリスマスケーキに卵の高騰の影響は?」
【店主】「卵の値上げが言われている時には、もうクリスマスのチラシが刷り上がってまして」
クリスマスケーキのチラシは、毎年およそ2カ月前には用意していて、卵が高騰する前に刷ってしまったのです。これでは値上げできません。
■ホールケーキから小さいケーキが主流に?
【西中蓮アナウンサー】「本当だったらプラス何円ぐらいですか?」
【店主】「300円ずつぐらいはなと思います。イチゴも高くなってますし、サンタさんも値上がってますし、ヒイラギも値上がってますし」
さらには、生クリーム、スポンジケーキに欠かせない卵、さらにはチョコレートまでも高騰!
しかも、時代の流れで、クリスマスケーキ自体の売り上げが下がっていると言います。
【店主】「最近丸いケーキじゃなくて、小さいショーケースに並んでいる小さいケーキを買われるお客様が増えてきてまして。ホールケーキよりそっちの方が売れるようになってくると多少は下がってくると思います」
クリスマスに丸いケーキを家族で囲む…そんな風景も少なくなってしまうのでしょうか。
■学生食堂のプライド!値上げを拒否する店主の覚悟
次のお店は一見普通の家のようですが…家庭的な雰囲気が漂うお店。
このお店は京都市伏見区にある「てっぱん」。
学生に大人気の食堂で、69歳になる松吉さんが1人で切り盛りしています。
【西中蓮アナウンサー】「どういったお店なんですか?」
【松吉さん】「うちは学生食堂で、安い価格で学生さんに食べていただこうというお店なんです」
■超巨大オムライスは白米2合!おかわり無料!
そんな「てっぱん」の“鉄板メニュー”が超巨大なオムライス!なんと、お米が2合分も入っています。
しかもおかわり自由で、学生500円、一般600円という破格の値段です。
【西中蓮アナウンサー】「めちゃくちゃ濃厚ですね。中のケチャップライスが味濃くてトロッとしてて濃厚」
隠し味は和風だしとマヨネーズ。ケチャップの酸味をまろやかにしてくれます。なんと、このオムライスを3つ食べた学生もいたそうです。それでも値段は500円。
【西中蓮アナウンサー】「お米や卵、両方値上がりすごいと思うんですけど」
【松吉さん】「もう泣くぐらい大打撃」
対策として、卵をLサイズからMサイズに変更したところ、ケチャップライスを卵で全て覆うことができず、オムライスに穴が開いてしまうことも…
さらに、オムライス以外のメニューもおかわり自由!
【西中蓮アナウンサー】「部活生が知ったら大変なことになるんじゃないですか?」
【松吉さん】「部活生来ますよ、ラクビー部に相撲部。監督はお米を食べるのは『てっぱん』に行けと言っているんですよ。みんなバーって来るんですよ、8人ぐらいで」
■「値段を上げたらみんな困る」店主のプライド
そんなてっぱんがオープンしたのは5年前。コロナ禍でラーメン店のアルバイトを辞めざるを得なくなったとき、飲食店を始めるようにアドバイスしたのは夫の昭男さんでした。
それからというもの、自宅兼店舗の『てっぱん』で安い価格とボリューム満点のメニューを提供し続けています。
【西中蓮アナウンサー】「とはいえやっぱりもうちょっと値上げしてもいいんじゃないかなって」
【松吉さん】「私はもう困ってるけど、今ここで値段を上げたらそれはもうみんな困りますよ、学生さんも。値段をここで上げたら『てっぱん』ではないみたいな。
学生さん、大学生のためにというね、ちょっとかっこいい言い方なんですけどね」
【西中蓮アナウンサー】「めちゃくちゃかっこいいです」
■卵高騰の波を乗り越えるために
エッグショックが再び訪れようとしている今、様々な飲食店がその影響と格闘しています。
家を手放してまで品質を守り続ける店、価格据え置きのために事前印刷したチラシに泣くケーキ屋さん、そして学生のために値上げを拒み続ける食堂。
卵料理を提供する現場は、それぞれの形でこの危機に立ち向かっています。
あなたもぜひ地元のお気に入りのお店に足を運んで、応援してみませんか?
(関西テレビ「newsランナー」2025年11月21日放送)