プレスリリース配信元:BlackBerry Japan 株式会社
機能安全・セキュリティとAI/機械学習重視とともに、開発環境や規制対応における課題意識が浮き彫りに
日本・東京 - QNXは、BlackBerry Limited(本社:カナダ オンタリオ州、CEO:ジョン・ジアマッテオ、NYSE:BB、TSX:BB)の事業部門として、ソフトウェア定義車両(SDV)の開発に関する最新のグローバル調査「Under the Hood: The SDV Developer Report」の統計データおよび分析結果を発表しました。この調査は、日本を含む北米・ヨーロッパ・アジア全域の自動車ソフトウェア開発者1,100名(うち日本から100名)を対象に実施されたものです。
この調査では、複雑化する規制やソフトウェアのリコールがSDVの開発のあり方を変えていること、長期化する開発サイクルや統合の複雑さによって負担が増している現状、そしてOEMがソフトウェア戦略の見直しを迫られている状況が明らかになりました。日本のSDV開発関係者に特有の課題と傾向が浮かび上がるとともに、グローバル市場全体でもスケーラブルなプラットフォーム、分野を横断するより強固な協力体制、そしてOEMによるソフトウェア戦略の見直しが急務であることが示されました。
日本の主な調査結果:
- 日本の回答者の46%が、ソフトウェア開発プロセスの最大の課題は「開発サイクルの長さ」と回答(グローバル平均37%)。
- 対応が最も困難な規制分野を問う質問については、「サイバーセキュリティ」49%、「機能安全」42%、「AI/機械学習に関する規制」38%が上位を占め、日本の開発者が持つセキュリティと安全性への高い意識が浮き彫りに。
- 一方、強化が進む規制を遵守していくことへの自信を問う質問で「非常に自信がある」とした日本の回答者は16%にとどまり、グローバル平均39%との23ポイント差は大きな乖離を示す。
- また、業界を横断した連携に関して「重要」とした回答者は83%(グローバル93%)、自社が協働的な開発手法を支援しているとした回答者は33%(グローバル50%)と、世界に比較すると開発環境における業界横断的な連携に消極的な実態が明らかに。
グローバルでの主な調査結果:
- 58%が、最近のソフトウェアリコールが開発アプローチを大幅に変えたと回答
- 80%が、自動車メーカーはソフトウェアインフラよりもアプリケーション層のイノベーションにより重点を置くべきだと回答
- 91%がAIが近い将来ソフトウェア開発において重要な役割を果たすと予想し、2035年までに現在の職種の35%をAIが置き換える可能性があると推定
日本で突出する「開発サイクルの長さ」という課題
本調査から、日本の開発者にとってのソフトウェア開発プロセスにおいて最も大きな課題は「開発サイクルの長さ」(46%)であることが明らかになりました。これはグローバル平均37%を9ポイント上回っており、日本の際立った特徴を示しています。続く課題としては「統合の複雑さ」と「車両/プラットフォーム/モデルライン間でのスケーラビリティの欠如」(ともに36%、グローバル平均と同値)、「デバッグおよびテスト」と「ツールチェーンの断片化」(ともに33%)でした。

こうした課題意識は、開発環境の生産性に対する厳しい見方にも影響している可能性があります。現在の開発環境の生産性についての評価を問う質問に対し、日本の回答者が「非常に良い」と答えた割合は14%で、グローバル平均の30%を大きく下回りました。一方で「普通」(28%)、「悪い」(13%)、「非常に悪い」(1%)と答えた割合は、いずれも調査対象国のうち最も高い数字を示し、開発環境への評価がグローバルに比べて総じて低い傾向が浮かび上がりました。

オープンソースと業界コラボレーションへの慎重な姿勢
開発環境の生産性には外部のリソースの活用も影響します。自動車開発におけるオープンソースソフトウェアの役割を評価する問いに対し、日本は「価値がある(非常に/ある程度)」と答えた割合が82%と調査対象国中で最も低く(世界平均92%)、「価値がない(全く/あまり)」とする割合は12%(世界平均7%)でした。
グローバルとの比較で評価が全体的に低くなる傾向は、業界横断的なコラボレーションの重要性に対する見方にも表れました。「現在の開発プロジェクトにおいて、業界横断的な連携(例:OEM、ティア1サプライヤー、ソフトウェアベンダー間の連携)はどの程度重要ですか?」との問いに対し、「重要(非常に/やや)」と回答した日本の開発者は83%(グローバル93%)にとどまり、「重要でない(あまり/全く)」は12%(グローバル6%)でした。また、自社が協働的な開発手法を支援しているかどうかについて「強く同意」と回答した割合は33%(グローバル50%)と、調査対象国で最も低い数字を示し、最も高い数字を示したインドの72%とは2倍以上の差が示されています。
規制への意識
ソフトウェア開発を阻害する最大の課題のうち、「規制遵守」と回答した日本の開発者の割合は30%(グローバル平均から5ポイント低)でしたが、規制への対応能力に「非常に自信がある」と答えた割合はわずか16%(グローバル平均39%、インド65%)でした。また、規制の枠組みがイノベーションのペースに追いつけると考える日本の回答者は67%(グローバル平均85%)にとどまり、規制とイノベーションのスピード感の差への懸念が示されました。
SDVの未来像:安全性(機能安全・セキュリティ)とAI/機械学習を重視
興味深いことに、日本の回答者の71%が「完全自動運転」は現在過度に注目されすぎていると回答(グローバル平均54%)する一方、53%が2030年までにSDVの形を最も左右する機能として同じく「完全自動運転」を挙げました(グローバル平均47%)。
こうした中、最も困難と感じている規制の種類は、「サイバーセキュリティ」(49%)、「機能安全」(42%)、「AI/機械学習関連」(38%)で、いずれもグローバル平均を上回っています。これら3つの分野は、今後5年間で最も重要となるスキルとしても認識されており、「AI/機械学習の統合」(59%、グローバル平均51%)、「機能安全性」(57%、同53%)、「サイバーセキュリティ」(53%、同58%)との結果が示されました。特に「AI/機械学習関連」は規制分野における課題でも上位に位置付けられており、AIと機械学習は、日本のSDV開発環境において規制とスキルの両面で重視されていることがわかります。

QNXのジャパン シニアカントリーセールスマネージャーの松岡秀樹は次のように述べています。
「本調査の結果は、日本のSDV開発市場に関する貴重な最新のインサイトを提供しています。日本のSDV開発現場には他の国と異なる独自性があり、安全性や規制に対する高い意識が、開発慣行はじめ開発環境における課題や生産性への評価に影響している可能性が示されています。こうした中、QNXのような複数の国際的な規制・安全認証を取得済みのソフトウェア基盤をより積極的に活用することで、安全性や法規制への対応を効率化し、日本のSDV開発現場における課題解決を加速させることができます」
SDVの複雑さが増大する中、QNXは自動車メーカーが変化に柔軟に対応し、イノベーションを加速し、より安全でよりスマートな車両を提供することを支援することにコミットしています。QNXは、トヨタ、ホンダ、BMW、ボッシュ、コンチネンタル、東風汽車、吉利汽車、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、ボルボなど、世界の主要なOEMおよびTier1サプライヤーから、ソフトウェア主導による未来の基盤として信頼されています。その基盤ソフトウェアは、デジタルコックピットや先進運転者支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)からインフォテインメントシステムとドメインコントローラーに至るまで、将来を見据えたエンジニアリング設計をサポートし、自動車メーカーがより迅速かつより低コストでイノベーションを市場に投入することを可能にします。
詳細は、QNX.comをご覧いただくとともに、@QNX Newsをフォローしてください。
調査概要
本調査は、QNXの委託を受けた市場調査企業であるOnePollが主体となり、組み込み自動車ソフトウェア開発者を対象に、Market Research Societyの行動規範に従ってオンラインで実施されました。データの収集期間は2025年7月25日から同年8月5日であり、すべての参加者はダブルオプトインのもと調査に参加し、調査の長さと複雑さに応じた金額が支払われました。本調査はOnePoll調査チームによって監督・編集されました。OnePollはMRS Company Partners、ESOMARの法人会員、およびBritish Polling Councilのメンバーです。
BlackBerryについて
BlackBerryは、世界の企業や政府機関向けに、インテリジェントなソフトウェアとサービスを提供しています。BlackBerryの高性能な基盤ソフトウェアにより、大手自動車メーカーや産業界の大手企業は、安全性、セキュリティ、信頼性を損なうことなく、革新的なアプリケーションの開発、新たな収益源の創出、変革的なビジネスモデルの展開を実現できます。カナダ・オンタリオ州ウォータールーに本社を置く当社は、セキュアな通信分野における深い実績を有し、包括的で高度なセキュリティを備え、広範な認証を取得したポートフォリオを通じて、モバイル機器の防御、ミッションクリティカルな状況下でのコミュニケーション、そして重要事象の管理を可能にする運用上の耐障害性を提供しています。詳細は、BlackBerry.comをご覧いただくと同時に、@QNX Newsをフォローしてください。
QNXについて
QNXは、BlackBerry Limited(NYSE: BB; TSX: BB)の事業部門として、人々の体験を豊かにし、テクノロジー主導型の産業の可能性を広げ、ソフトウェア定義型企業が成長できる信頼できる基盤を提供しています。当事業部門は、安全かつセキュアなオペレーティングシステム、ハイパーバイザー、ミドルウェア、ソリューション、開発ツールの提供において業界をリードし、信頼される組み込みソフトウェアの専門家によるサポートとサービスを提供しています。QNXテクノロジーは、現在2億5500万台以上の自動車を含む、世界で最もクリティカルな組み込みシステムで採用されています。QNXソフトウェアは、自動車、医療機器、産業用制御装置、ロボット、商用車、鉄道、航空宇宙・防衛など幅広い業界で信頼を獲得しています。1980年に設立されたQNXは、カナダ・オタワに本社を置いています。詳細については、qnx.comをご覧ください。
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