収まる気配が全く見えない、列島各地を襲うクマ被害。
この週末も北海道・札幌市の円山動物園にはクマの足跡が。
そして、青森・三戸町では、煮干しスープが人気のラーメン店にもクマが出没しました。
10日も長野・大町市では、近くに人間がいてもお構いなし、木の上で大きなあくびをするクマを目撃。
人の生活圏にちゅうちょなく入り込むクマが相次いでいます。
こうした中、番組が向かったのは北海道。
北海道・砂川地区の猟友会が撮影した映像に映っていたのは、檻の中で激しく威嚇するヒグマ。
この周辺では別の日にもクマが捕獲され、檻の中で暴れたあと、うなり声を上げながら突進するクマの様子が撮影されていました。
砂川市では10月以降、連日のように果樹園や畑の周辺などにクマが出没していて、地元の猟友会が各所に檻などを設置。
農作物に深刻な食害が起きている中、さらなる被害が広がらないよう猟友会が毎日行っているのが朝の見回りです。
最低気温は氷点下3.5度、すでに路面がうっすら雪で覆われ始めたこの日、クマへの警戒を続ける猟友会の池上治男さん(76)。
北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:
(Q.クマが冬眠するにはまだ早い?)(冬眠用の)穴はもう持っているかもしれないが、まだしっかり冬眠するという時期にはならない。
すると見回り中に、ある異変が。
突然、視界に飛び込んできた大きな生物。
クマかと思いきや、こちらの様子をうかがっていたのはエゾシカでした。
北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:
シカがいたということは、ヒグマはここにはいない。
エゾシカにとってヒグマは天敵。
“シカが落ち着いているということは周辺にクマはいない”と安堵したのもつかの間、少し車を走らせた場所で発見したのはクマの痕跡。
そこにあったのは空の檻です。
北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:
あら?エサ入ってないな…どうしたんだ?
クマをおびき寄せるため中に仕込んでいたはずの餌がないというのです。すると…。
北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:
あ、来てるな!これ、ヒグマ…。足跡あるもの。ヒグマの足跡だ…。
積もったばかりの雪の上にはヒグマの足跡が。
この場所にクマが足を踏み入れてから、まだそれほど時間がたっていない様子がうかがえます。
体の大きな個体の場合、仕掛けが作動しない状態でヒグマが檻の中の餌を奪って逃げることがまれにあるといいます。
北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:
ヒグマは知能や学習能力が高いと思う。年々変化というか、進化している。
そして翌日、同じルートを見回っていると池上さんが何かを発見し、怒りをあらわにしました。
北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:
こうやってゴミを捨てて…。平気で家庭ゴミを…。恥ずかしいことだよ。
路上に放置されていたのは白菜などの生ごみ。
前日見回った時、この場所にはありませんでした。
こうしたごみが、クマにとって人間の生活圏の味を知るきっかけになってしまうと指摘します。
北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:
こういうもの(家庭ゴミ)がヒグマを誘引する。マナーの悪さを通り越して、一種の犯罪的行為と思う。
見回りに同行した週末、取材班がヒグマの姿を見ることはありませんでしたが、同じ市内では、この日もヒグマの食害が発生。
まもなく冬本番ですが、猟友会では新たにクマ捕獲用のおりを設置するといいます。
池上さんは、人間のコミュニティーに侵入したクマは駆除するしかないと話す一方、「もちろん山にいるクマを駆除する必要はないから、わなをかけられる場所は限られている。住民のいるところ、接点の近いところに(設置する)。箱わなに入らない状態で、ヒグマが山に戻ってくれればそれでいい」と語りました。