宮城県石巻市の水産業者「ヤマサン伊藤商事」が、仙台地方裁判所から破産手続き開始の決定を受けた。

1975年創業の老舗企業だったが、東日本大震災の津波と、それに続く福島第一原発事故の影響で業績が大きく悪化し、事業継続が困難となった。
負債総額は約2億2600万円。
帝国データバンクと東京商工リサーチが10日明らかにした。

ヤマサン伊藤商事は、ホヤの養殖・加工・販売を柱とし、1996年12月期には年商約2億3000万円を計上。
ホヤは全国だけでなく韓国にも輸出される主力商品だった。

しかし2011年3月の東日本震災で社屋が全壊し、操業を一時停止。
さらに原発事故の影響で韓国向けのホヤ輸出が激減し、収益構造が一変した。

その後、ホヤに代わる収益源としてホタテやカキなど他の海産物の卸売を進め、さらには震災後のガレキ処理など土木事業にも参入するなどして再建を図ったが、気候変動による水産資源の不安定化や人件費の高騰などが重なり、大幅な債務超過に陥っていた。

そして今年9月、前代表者が死去したことが決定打となり、事業を停止。
今回の破産に至った。
債権者は31人、負債総額は約2億2600万円にのぼる。

被災地の水産業は震災から10年以上が経過した今も、原発事故による輸出規制や資源環境の変化といった複合的な課題に直面している。
今回の破産は、震災の「影響の長期化」と「産業構造の転換の難しさ」を改めて浮き彫りにした。

仙台放送
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