ことしも11月に入り、もうすぐ年の瀬。
年末年始は家族で集まることも多いと思いますが、高齢化が進む中で親が施設に入ったり、亡くなったりすることで、住み続けなくなった家を片付ける“実家じまい”について話し合ったことはありますか?
最近の調査では、7割以上の人が実家の処分について親子で話し合ったことがないというデータも。
そんな中、悩んだ末に実家の処分を決めた方の“実家じまい”当日に密着してきました!
■“実家じまい”を決断したわけは? 亡き母の家を整理
【関純子アナウンサー】「きょうは“実家じまい”をするという、神戸市のお宅にやってきました」
今回取材を担当する関アナウンサーが訪れたのは築50年という一軒家。普段は近所に住んでいるという息子さんは、なぜ“実家じまい”を決断したのでしょうか?
【“実家じまい”をする息子(67)】「父は20年ぐらい前、母がことし6月に亡くなった。これを機に実家を売ろうと」
お母さんは認知症で老人ホームに入居していたため、6年間は空き家状態だったそうです。
【関アナウンサー】「ここで生活されてたんですね…」
【“実家じまい”をする息子(67)】「この家は、母の兄が香川で大工していて、その兄に建ててもらった。材料はすごくいいものを使ってる」
間取りは4DKで、1階に2部屋とキッチン。2階に息子さんの部屋があったそうです。当時の部屋を案内してくれました。
【“実家じまい”をする息子(67)】「もう物置になってますけど」
【関アナウンサー】「どうですか、窓からの景色とか?ここいいですね。綺麗に山が見えて」
【実家じまいをする息子(67)】「高倉山が見えてね」
そんな思い出が詰まった実家との別れ。
すでに息子さんは、必要な荷物をある程度持ち帰ったそうですが、多くの荷物が残ったため、遺品整理業者にお願いしたそうです。
■プロの手際よい作業!
【遺品整理業スリーマインド 山崎敏嗣さん】「これから2階の方から順番に、お片付けの作業に入らせてもらういます。長時間の作業になりますが、お立ち会いよろしくお願いします」
【関アナウンサー】「きょうは何人ぐらいで来られてるんですか?」
【遺品整理業スリーマインド 山崎敏嗣さん】「きょうは作業員は8名で」
作業スタッフは事前に部屋を下見していて、4時間程度で空っぽにする予定だそうです。
■片付けは「燃えるごみ」「燃えないごみ」「リユース品」を分けて
ここからはまるで引っ越し作業。家具や家電など、大きな荷物から次々撤去していきます。
【関アナウンサー】「一生懸命、片付けてこられたと思いますけど、この作業員たちの動きは?」
【“実家じまい”をする息子(67)】「素早くて素晴らしいですね」
【関アナウンサー】「ものすごく早いですよね」
【“実家じまい”をする息子(67)】「私が片付けたら懐かしいな~って、時間ばっかりたってしまう」
【関アナウンサー】「どういう仕分け方をしてるんでしょうか?」
【遺品整理業スリーマインドスタッフ】「市のごみの分別にのっとって、燃えるごみ、燃えないごみ、まだまだ使えそうなものはリユース品として、段ボールに入れる」
この会社では、本来廃棄処分する廃品の中に、きれいな家具や本、日用品など再利用できるものがあれば、リユース品としてトラックに乗せて事務所へ持ち帰っているんです。
■物置きだった部屋もたった3時間で空っぽに
段ボールの中にお菓子の缶が入っていました。
【関アナウンサー】「これは何が入ってますか?」
【“実家じまい”をする息子(67)】「何やろ。知らんなぁ。うわ、懐かしいおもちゃや」
この後、関アナウンサーもお手伝いして、およそ3時間。
【関アナウンサー】「この座イスは絶対リユースしてほしいな。これはとても便利そう」
物置きだった息子さんの部屋が空っぽに。さらに1階も家具や荷物がすべてなくなりました。
【関アナウンサー】「いかがですか?」
【“実家じまい”をする息子(67)】「1番最初に見たときを思い出すなぁ」
【関アナウンサー】「建った時何もなかったですもんね。50年家族の歴史を刻んで、今お別れのときですね」
【“実家じまい”をする息子(67)】「そうですね。よくぞ頑張ってくれた…」
■“実家じまい”の費用は?リユースで節約
そんな4DKの一軒家の“実家じまい”、一体費用はいくらかかったんでしょうか?
【遺品整理業スリーマインドスタッフ】「60万円前後ぐらいでお見積もり、そこから買取品の金額を引かせていただく」
【“実家じまい”をする息子(67)】「貴金属の引き取りを差し引きして、大体50万円ぐらい」
ちなみに古い家具や寝具など、廃棄処分となるゴミはこんなに大量に。
一方で、再利用できるリユース品も2トントラック満タンになるほどありました。
【“実家じまい”をする息子(67)】「思い出のある良いものなんで、他の所で使っていただけると大変うれしい」
■リユースの現場に潜入!驚きの取り組み
“実家じまい”によって集まったリユース品は、どのように再利用されるのでしょうか?伊丹市にあるスリーマインドの事務所を訪ねると…。
【関アナウンサー】「ここに色んなリユース品とかを入れてる」
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「きょうちょっと少ないんですけど、コンテナの中が倉庫になってます」
持ち帰ったリユース品は、一旦ここで保管。日用品は古物市場でまとめ売りするため、ジャンルごとに分けられているんです。
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「例えば、こんなハサミとか売れないじゃないですか。でも、束にしてまとめると、出口がある」
【関アナウンサー】「例えばハサミのまとまりで、大体どれくらいの金額に?」
【遺品整理業スリーマインド屋宜明彦社長】「段ボールいっぱいで1000円ぐらい」
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「基本的にごみを減らすことが目的で、ごみを減らすことによって、僕らはその処分代が減りますね。
お客さんもごみ代の負担が減りますので、これを最大限に取り組んだのが、このリユースの事業」
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「リユース事業をするまでは、お客さんの代金の55%がゴミ処分代金。リユース事業をすることで、今25%までごみ処分代を減らした。
なので高く売れなくてもいい。ごみ処分代が減って、売れればちょっとは利益になっている。プラスマイナスすると、利益は残ってる」
また、家具や衣類など日本ではなかなか売れないものは、フィリピンを中心に海外へ販売。現地で再利用されているそうです。
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「国内流通させるものは国内でリユース、国内流通が難しいものは海外へ」
■リユース品は寄付にも
集まったリユース品は、販売目的以外にも使われています。
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「寄付もしてまして」
【関アナウンサー】「寄付もしてるんですか?」
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「例えば、介護用品であれば杖や車椅子は、介護系団体に寄付させてもらったり。ティッシュ、紙オムツ、トイレットペーパーは、社会福祉協議会に寄付させてもらってます」
■おっカネ~!遺品整理から出てきた現金
さらに事務所を調査すると遺品整理で出てきた現金が!
【関アナウンサー】「コイン、古銭?」
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「現金もお客さんはいらないって言う」
【関アナウンサー】「現金なのに!?1万円札があるじゃないですか!1万円が1枚、2枚、3枚、4枚…。なんでこれは引き取らないんですか?」
【遺品整理業スリーマインド 屋宜明彦社長】「これもご遺族の方が、故人が残してたものなんで、もし寄付に使ってもらえるなら…ということで、お預かりさせてもらってます」
そう、小銭には両替するのに手数料もかかるため、いらないという人が多いそうですが、スリーマインドの寄付の話を聞いて、なんと千円札や1万円札まで「寄付金としてリユースしてほしい」という人もいるんだそうです。
こういったお金は、子ども食堂など、子供支援の寄付金に当てているそうです。
【関アナウンサー】「普通に見つけたら、『いらないんですか?じゃあ…』みたいにならない?」
【遺品整理業スリーマインド屋宜明彦社長】「ならないでしょ。黙って持ち帰る、悪い業者もいると思いますよ。僕らの活動を理解してもらって、ちゃんとそこに使ってほしい」
【関アナウンサー】「天国行けますわ~」
“実家じまい”は単なる片付けではなく、思い出の品々が新たな形で生き続ける「循環」の始まりかもしれません。
まだ“実家じまい”について話し合ったことがないという方も、この機会に家族で少し考えてみてはいかがでしょうか?
(関西テレビ「newsランナー」2025年11月7日放送)