兵動大樹さんが訪れるのは明石市。一枚の古い写真からその場所の謎を解き明かし、街の歴史を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。

今回は、明石市の「魚の棚(うおんたな)商店街」前からスタートです。

■明石マダムから大歓迎を受ける兵動さん

今回の写真は1985年(昭和60年)に、明石市で撮影されたもので、多くの見学者が集まる発掘現場のようです。

スタートと同時に明石マダムの集団から歓迎を受ける兵動さん。明石の街を歩き始めると、地元の女性たちが声をかけてきます。

【兵動大樹さん】「これパッと見て何や思います?」
【街の人】「工事してる」
【兵動大樹さん】「工事現場かな?工事してんのか、発掘してんのかみたいな」

地元の方々の情報によると、写真の場所は海の近くではないかという話になりました。

■魚の棚商店街で明石グルメを堪能

手がかりを求めて「魚の棚(うおんたな)商店街」へ。

明石が誇る名物グルメをあちこちで食べることができる商店街です。最近ではなかなか手に入らないイカナゴのくぎ煮もここに来れば買うことができます。

練り物が大好物の兵動さんは、大正12年に創業した老舗店で大きなタコ天を購入します。

【兵動大樹さん】「生地のとこは甘いね。大きいタコ入ってるしな。めちゃくちゃうまいわ」

■明石名物は「タイとタコの次に明石原人」「値打ちある」という情報が

商店街で話を聞いていると、「明石原人」という言葉が出てきました。

【海産物店の店主】「明石原人、結構値打ちある。かなり古いんちゃいますの?ただの原人と違って、なかなかの値打がある原人。明石の人やったら普通に知ってる」

【海産物店の店主】「明石やっぱりタイがきて、タコが来て...子午線なんかどうでもいい。(タイとタコの)次ぐらいに、明石原人がくるかもしれないですよ」

【兵動大樹さん】「3位に明石原人が食い込んでくる?」

【海産物店の店主】「食い込んできますよ。(明石名物は)タイ、タコ、明石原人ぐらい」

さらに情報を得るため、兵動さんは駅から北へ坂を上ったところにある博物館へ向かいました。

■『値打ちのある明石原人』は「歴史を塗り替える可能性を秘めた発見」だったから

博物館に到着し、いよいよ“値打ちのある”「明石原人」と対面します。

展示されていたのは赤茶色の骨片。学芸員の説明によると、明石原人の骨の複製だといいます。

【明石市立文化博物館文化財担当 稲原昭嘉さん】「これがね、明石原人の骨なんです。実際には空襲にあって焼けてしまったんです」

明石原人の骨は1931年に発見され、当時は50万年前の人骨ではないかと言われていたそうです。

【明石市立文化博物館文化財担当 稲原昭嘉さん】「(発見された)当時は、1万年以上前には、日本の中に人は住んでいなかったというのが常識的な時代だったんです」

明石原人は、日本に人類が住んでいた歴史を、大きく書き換える可能性を秘めた発見だったのです。

■夢とロマンを大事に…毎年、明石原人祭りも

その後、1980年代に『50万年前より後の時代』という説が有力になり、再調査のための発掘を実施したのが今回の写真の発掘現場だったようです。

【明石市立文化博物館文化財担当 稲原昭嘉さん】「調査した地層の断面を調べてみると、5万年前から13年前に堆積した地層だろうということが分かり、原人ではなく、旧人クラスの人がいたという可能性が出てきた」

【兵動大樹さん】「でも原人の夢は捨ててないやろ?」

【明石市立文化博物館文化財担当 稲原昭嘉さん】「夢とロマンを大事に引き継いでいこうと毎年、明石原人祭りを催している」

■明石原人を愛する「原人マニア」に会いに

博物館の稲原さんから「原人マニア」がいると聞き、JR大久保駅前の「巌松堂書店」を訪ねます。そこには山根金造さんという人物がいました。

山根さんは地元の青年部の部長だった時に「明石原人祭り」を立ち上げた人物です。現在は若い世代に任せ、運営には関わっていないそうですが、昔はかなり振り切った企画を乱発していたとのこと。

【山根金造さん】「誰が一番原人にふさわしいか、原人コンテスト」

優勝した人は、佐賀県の吉野ケ里遺跡に招待という特典もあったそうですが、山根さんによると、不評だったそうです。

他にも「船を出して、明石原人を探す」という名目で、海底から魚やタコを引き揚げ、「明石原人鍋」と称して調理するなど、様々な催しを行っていたそうです。そのため「赤字変人祭り」と呼ばれることもあったとか。

【兵動大樹さん】「すんごいお金かかるよ、そんな船出して」
【山根金造さん】「赤字変人祭りって言われてますね」

■原人愛が生んだ木彫り像

明石原人が好きすぎる山根さんは、祭りだけではなく、個人でも様々な活動をしてきました。

明石原人の腰骨レプリカやキーホルダー、笛など思いついたらなんでも作ってきたそうです。

店の前には大きな木彫りの明石原人像が。これは松の木を彫ってもらって作ったものだといいます。

【兵動大樹さん】「言える範囲でええけど...なんぼかかった?」
【山根金造さん】「180万円。めちゃめちゃ高かったんですよ」

【兵動大樹さん】「奥さんは知ってたんですか?そんだけかかったって」
【山根金造さん】「(金額は)知りません」
【兵動大樹さん】「きょう初めて聞いた。きょうの夜は怒られるで。えらいこっちゃ」

完成した時には、盛大に除幕式まで行ったそうです。

■写真の謎がついに解明

山根さんに写真の撮影場所について聞いてみると、西八木海岸にあるということです。

教えてもらった場所に移動すると、フェンスで囲まれた場所に「明石原人腰骨発見地」と書かれた看板が。草木が生い茂り、当時の写真の様子からは大きく変わっていました。

今回の「今昔さんぽ」では、一枚の古い写真から明石原人という貴重な発見と、それを愛する地域の人々の姿を知ることができました。

科学的価値だけでなく、地域の誇りとしての「明石原人」の存在が、今も明石の街に息づいていることを実感できる旅となりました。

(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2025年10月31日放送)

関西テレビ
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