かつての高校球児たちが母校の名前を背負って甲子園球場で試合をする「マスターズ甲子園」という大会があります。
この大会に今年、宮城県代表として仙台三高のOBチームが初めて出場します。
現役チームはこれまで、甲子園出場まであと一歩のところで何度も涙をのんできましたが、後輩たちより一足先にOBが初めて夢の舞台に立ちます。
様々なユニフォームでマウンドに駆け寄る選手たち。仙台三高野球部OBチームが初めての甲子園出場を決めた瞬間です。
22回生 1987年卒 菅原信広さん(57)
「40年かかったな、感無量というか、すごくうれしく思いました」
30回生 1995年卒 三田順一さん(49)
「最後僕が胴上げ投手にさせていただいて、テンション上がりました。あんまりおじさんになってからこんな感情になるのはないんじゃないかな」
49回生 2014年卒 橋本廉さん(30)
「本当に自分たちが甲子園に行くのかと信じられなくて、甲子園決まった時ってこういう感じなんだという、そんな感じでした」
高校時代に目指した夢の舞台・甲子園へ。OBたちの感慨はひとしおです。
仙台三高野球部は公立の強豪校で、県大会では何度も上位に入り、夏の県大会は決勝に3回進出しています。
甲子園出場まであと1勝というところまで勝ち上がりながら、いまだ届いていません。
25回生 1990年卒 元長謙一朗さん(54)
「最後の夏は決勝まで行きまして、その夏に甲子園で準優勝した仙台育英に12対0という点差で敗れました」
歴代OBもあと少しというところで涙をのんだ苦い記憶を忘れません。
49回生 2014年卒 橋本廉さん(30)
「夏ベスト4に入りましたが、柴田高校に負けてしまって悔しい夏になってしまいました」
53回生 2018年卒 鎌田拓海さん(26)
「最後の夏は県大会ベスト4まで行きまして、東北高校に負けました」
54回生 2019年卒 岩渕央卓さん(25)
「3年生の夏は仙台育英に敗れてベスト4でした」
最近では2021年の夏。東北学院との決勝戦に惜しくも敗れました。
当時1年生としてこの決勝戦をスタンドから見ていた選手もいます。
59回生 2024年卒 服部恭也さん(20)
「同じ学年の尾形と(加藤)光志郎の2人が、1年生ながら(決勝に)出ていたんですけど、負けてたまるかみたいな少し悔しい気持ちと、一生懸命やらないとなという気持ちで見てました」
自身は最後の夏、まさかの初戦敗退。悔しい思いを残しています。
59回生 2024年卒 服部恭也さん(20)
「3年生の夏は僕のせいで負けたと言ったらほぼそうなんですけれど、悔しい気持ちをして、良くも悪くも忘れられない3年生だったな」
服部さんは父も三高野球部OB、弟が三高野球部の現キャプテンという「三高野球部一家」です。
弟の恵士さんは兄の甲子園出場決定に刺激を受けたようです。
現役チーム主将 62回生 服部恵士さん(16)
「正直先に甲子園に行かれることに対して悔しい思いはあるんですけれど、身近に甲子園に行く存在があることで、自分も行きたいなという気持ちがより一層高まりました」
32回生 1997年卒 父・服部大輔さん(46)
「OBであれ現役生であれ、仙台三高という名前が甲子園のバックスクリーンに刻まれることは、先輩として同じOBとして非常にうれしく思います。親として最終的には楽しんできてほしいなと。滅多にそんなところ(甲子園で)野球をやれる機会ないでしょうし」
59回生 2024年卒 服部恭也さん(20)
「兄としてというか、いち三高の野球部員として、後輩たちに、勝ち上がって甲子園でプレーしたいという思いを焼き付けられるようなプレーをしたいと思います」
「いよいよ来週は甲子園です。きょうは現役が相手となりますが野球に年齢は関係ありません。OBの意地見せてやりましょう!行きましょう!」
大会を前にした11月3日、現役チームを相手に壮行試合が行われました。
OBチーム先発、49歳・三田さんの好投で2回まで現役チームを1点に抑えます。
3回裏、OBチームに初ヒットが飛び出しチャンスを迎えます。
ここで服部兄弟の兄・恭也さん。
左中間へ痛烈な当たりを放つも、弟の恵士さんがダイビングキャッチ!現役の意地を見せます。
父・服部大輔さん
「兄貴にヒットにさせたくない。素晴らしい(笑)」
5回表にはフライをキャッチした41回生の松崎さんがバックホーム!
見事な送球でダブルプレーとします。
最終回となる7回裏には、OBチームがタイムリーヒットなどで3得点しますが、5対3で現役チームが勝利しました。
マスターズとして初めてたどり着いた夢の舞台へ。それぞれの思いをもって甲子園に臨みます。
現役生
「甲子園頑張ってください」
20回生 1985年卒 山崎明さん(58)
「チーム最年長で間もなく60近いものですから、(若手に)負けないように元気よくやりたいと思ってます」
22回生 1987年卒 垂石洋昌さん(57)
「後輩たちと三高魂で頑張りたいと思います」
47回生 2012年 俵大明さん(31)
「僕自身高校3年間やってきて一度もベンチに入れなかったんですね。そんな僕が甲子園に出られるというのはすごくうれしいことですし、精一杯やりたいなと思っています」
54回生 2019年卒 桂島大地さん(25)
「現役生も甲子園に行けるように、励みになるように頑張ってきたいと思います」
59回生 2024年卒 齊藤夢真さん(20)
「現役時代にはあと一歩届かなかった甲子園に、先輩たちと一緒に出られるのは大変うれしいことだと思っています」
OBチームの晴れ舞台に現役チームの監督も目を細めます。
野球部監督 20回生 1985年卒 佐々木久善さん(59)
「甲子園出られるのもうれしいですけれども、地区予選とか練習会とか離れてたOBが集まって三高で野球がやれることが非常に楽しくて、有意義だなと思っています」
初めての「甲子園出場」を学校にも報告。校長もエールを送ります。
仙台三高 石川俊樹校長
「三高らしさの活力あふれた元気な姿というのを、OBみなさんの姿で全国に知らしめていただければなと期待しております」
マスターズ甲子園は11月8日、9日の2日間。
仙台三高は大会2日目に兵庫県代表・淡路三原OBと対戦する予定です。