日本の伝統的な加工食品、干物。

その製造企業の倒産が2025年、急増していることが分かりました。

6日午前10時、神奈川・鎌倉市にできていた行列。
そのお目当ては、とれたての新鮮な魚です。

腰越漁業協同組合の朝市では、カマスが4匹200円、ニンジンが4本200円など、新鮮な魚や野菜を手ごろな価格で販売しています。

開催は多い月でもわずか2回とあって、売り場は大盛況となっていました。

その鎌倉市の隣、藤沢市で創業200年以上の歴史を持つ干物専門店「鈴伝」では、「目の前に同じくらい(長く)やってる干物屋さんがあったが、4年前か5年間に閉めてしまった」という声が聞かれました。

東京商工リサーチによると、干物や塩漬けを製造する企業の倒産は、2023年は3件、2024年は1件でしたが、2025年は9月までですでに6件に達しています。

倒産原因は、6件のうち5件が販売不振。

さらに、コスト高や人手不足などのコストアップも経営を圧迫しているといいます。

老舗の干物専門店でも、魚の仕入価格の高騰などで売り上げは年々減少。

干物専門店「鈴伝」・鈴木健太さん:
魚が最近はとれないし高い。(干物に)適正価格をつけるとどうしても高くなる。

「鈴伝」では売り上げアップのため、干物の調理や片づけは手間がかかって苦手だという人に向けて、炭焼きの干物を提供する定食店を併設。

また、焼きたての干物を真空パックし、電子レンジで温めるだけで食べることができる商品なども販売。

これからも日本伝統の食文化を守っていきたいと話しています。

干物専門店「鈴伝」・鈴木健太さん:
この辺も外国人の観光客が多いので、「日本に来たら干物を食べたい」と思ってもらえるようなものにしたい。日本人もそれを自慢できるようなものにしたい。

そして、干物の価格高騰の波は、東京都内の海鮮居酒屋「根室食堂 尾山台店」にも及んでいました。

根室食堂 尾山台店・平山徳治店長:
値段の上がり方が倍に上がったりする。

北海道直送の海鮮を味わえる「根室食堂 尾山台店」では、ホッケの干物の仕入価格が以前の倍ほどに上がっているといいます。

根室食堂 尾山台店・平山徳治店長:
コロナ前は食べ応えのあるホッケが1枚250円~280円ぐらい。今は型が小さくなって350円ぐらい。(コロナ前と)同じ大きさになると、450円~500円ぐらいになっている。

ホッケ定食の価格は、以前の1280円から値上げを2度行い、現在は1680円。

この店では、安くて品質のいいホッケを求めて仕入れ先の業者を変更するなど、試行錯誤を続けているということです。