憲政史上初の女性首相誕生から2週間あまりがたちました。高市首相はアメリカのトランプ大統領との首脳会談で外交デビューを果たした後も精力的に取り組み、日経平均株価も一時5万2千円台に乗りました。一方で国会では「政治とカネ」の問題で連日追及を受けています。

永田町取材では定評があるジャーナリストの鈴木哲夫さんが、本格始動した高市政権の課題をズバリ読み解きます。

川崎健太キャスター:
まずは首相という立場では初めて国会の論戦に臨む高市首相ですが、答弁の内容はどう見てますか?

鈴木哲夫さん:
もちろん論戦なんですが、代表質問というのは用意された紙を読む感じですからワーッとやり合うというよりは、お互いに主張をするっていう感じでしたね。 やっぱり安全運転な感じがしますね。高市さんがこれまで過去いろんなことをガーンと言ってきたのはちょっと影を潜めて、頭を下げながらそして柔らかい表現で。今後、予算委員会がありますから、1対1のこのあたりが本当の論戦になってくると思いますね。

川崎キャスター:
そして注目された外交デビューですが、アメリカのトランプ大統領とのスキンシップを含めた距離感が話題になりました。高市首相の外交デビュー、 どう評価しますか。

鈴木さん:
日米首脳会談もそうですが、ものすごく引っかかっていることがあって、トランプさんの来日を10月終わりごろで調整をしていますよというのが記事に最初出たのが10月2日なんですね。10月2日ってまだ自民党の総裁選(4日)の前ですよ。誰が総裁になるかもわからない、そのまま首相になるかどうかもわかんないわけですよ。玉木さんがなっていた可能性だってあるわけですよね。そんなところからもうトランプさんが来ますよと決まっているわけですよ。 結局、高市さんが首相になった、自分の政権を作った。日米外交をどうするか議論とか説明する時間もあんまりないままトランプさんはやって来た。それでもやれているということは、結局日本の外交は外務省、 要するに官僚主導で外交をやっているんじゃないのか、というのがちょっと見えてくるわけですよね。

もう1つは今回、日米首脳会談の後に記者会見をやっていないんですよ。共同記者会見を普通やるじゃないですか。 アメリカ側の日程が合わないというふうに外務省は説明しているんだけど、ある外務省OB は「いや、 そうじゃない」と。つまり準備が十分できてないから、高市さんに質問が来た時にいろんなことを間違って答えちゃったりするのまずいからというので、 今回は避けたんじゃないかという見方をしてるわけです。

そういう意味では、政治側が準備できてない、でも官僚主導で外交が進んでいるということですね。これじゃダメですよね。これから高市さん主導、政治主導の外交をやれるかどうかっていうのが非常に大きなポイントになってくる、その象徴的な出来事だなと思いました。

川崎キャスター:
あと、北朝鮮に対話を呼びかけていましたけれど、この辺は安倍さんを思い出しますね。

鈴木さん:
大きく言うと「安倍路線の継承」いうことでいいでしょうね。安倍さん時代の官僚が高市さんのことを言っていたけれども、やっぱり高市色をどこまで出すか、それと政治主導の外交というのがこれから最大の課題になってくると思いますね。

(2025年11月6日放送「報道ワイド 記者のチカラ」より)

テレビ西日本
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