しんぶん赤旗・日曜版が、「藤田共同代表が自身の公設第一秘書の会社に公金を支出した」と報じた問題。

4日の会見で、維新・藤田文武共同代表は「法的にはどこから切り取っても適正である」と説明する一方で、記者からの質問に声を荒らげる場面も。

6日の関西テレビ「newsランナー」に出演した維新・吉村代表は、「僕は適法だからいいとは思ってないんですけど、適法は当たり前で、いかに適正であるかも非常に重要だと思います」と述べた。

また、藤田共同代表の公設第一秘書の会社は「ちゃんと仕事をする会社」だからこそ、「問題意識が持てなかった」と釈明するも、「還流ではない」と改めて否定し、藤田共同代表を「一直線な人」と会見の態度などについてかばう場面も見られた。

■今回の問題の構図

しんぶん赤旗・日曜版によると、藤田共同代表の事務所が2017年から去年にかけ、「ビラ印刷」などの名目でおよそ2100万円分を発注。発注先は、藤田共同代表の公設第1秘書が代表の会社だった。この第1秘書は、この会社から報酬年720万円を受け取っていたということだ。

およそ2100万円分、9割以上が政党交付金といった公金で、身内への「公金還流」ではないか、と報道された。

藤田共同代表は、「正当な取引で適法。弁護士にも確認をした」とし、誤解疑念の指摘を受け、今後は一切行わないとしている。

今回の問題の構図
今回の問題の構図
この記事の画像(7枚)

■菊地幸夫弁護士は、「利益相反取引の疑いがある典型ケース」と指摘

この問題について、菊地幸夫弁護士は、「利益相反取引の疑いがある典型ケース」と指摘した。

菊地幸夫弁護士:いくつかの問題があると思うんですけども、政治家にとって秘書は、いわば右腕。会社の専務取締役みたいなものです。一方、公設第1秘書の方が代表を務めている会社とのこの取引。

例えば、商法、会社法なんかで見れば、利益相反取引の疑いがある典型ケースです。取引を公明正大化するっていう意味では、これは非常に警戒すべき。これを維新はじめ、国会の中で、こういうケースを禁止にするなり、ガバナンスが今まで効いていたのか。

あとは、公金が明細を明らかにしなければいけない。公金が流れて、それが報酬という形に変わって、明細を明らかにしないようなお金に変わるのはどうなのか。

吉原キャスター:ガバナンスの問題として公金の扱いの問題、菊地弁護士の指摘はいかがでしょうか。

維新・吉村代表:まず今回の問題は、共産党の機関誌である『赤旗』が『税金還流』っていう報道をした。藤田さんは、これは税金は還流はしていませんと。実際に実態があり、そしてビラ作成とか印刷或いはポスティングとか、いわゆる政治活動するに必要な業務を適正に独立した会社として、委託をしてこの発注をしている。金額も適正である。なので、実態のある取引だということなんですよね。

菊地幸夫弁護士
菊地幸夫弁護士

■「適法だからいいとは思ってない。適正であるかも非常に重要」

「僕は適法だからいいとは思ってないんですけど、適法は当たり前で、いかに適正であるかも非常に重要だと思います」と述べた吉村代表。

吉村代表は、「ちゃんと仕事をする会社」だからこそ、「問題意識が持てなかった」と釈明するも、「還流ではない」と改めて否定した。

維新・吉村代表:ただこの会社は、実は藤田さんは政治家を6年間やってるんですけど、この会社は14年間この事業やってるんですよ。もともと実態があるんですね。実態があってこういったことをする能力があり、そしてそれは会社として受注をする。これは適正な取引じゃないかと。そこに問題はないんじゃないかっていうのが最初の出発点。

だけども、仮に実態が適正なものだったとしても、その代表が公設秘書だということであれば、やっぱり外形的に見て、それは適正なのかどうかっていう疑義が生じうる。だから僕は『今後やめたほうがいいよ』という話をして、(藤田共同代表も)『今後はもうそれはやめます』と」。

再発防止策として、「法律も全然ルールないんですよ。この分野。『3親等内の親族については人件費と家賃で支払うのはダメ』という維新独自の内規を作ってるんですね。ここに新たに内規を加える」と説明した。

維新・吉村代表:『還流してるんじゃない』っていうのが藤田さんの思いであり、実際、僕が報告を受ける限りでも、還流するようなものじゃなくてちゃんと仕事をする会社なんだと思います。

維新・吉村代表
維新・吉村代表

■「問題意識が持てないことが問題」

吉原キャスター:身を切る改革を訴えていて、いわゆる身内に金が入る状況。これに対しての代表者の違和感はいかがですか?

維新・吉村代表:その違和感はごもっともだと思います。なので、ちゃんとしたルールがないので、きちんとルールを作ろうという考え方です。実は(維新の)大阪の支部もこの会社に100万円で受注を発注していたんです。

その内訳を確認した吉村代表は、「100万円の発注は、8万5000枚のビラの作成とデザインと新聞折り込みとポスティングを含めたお金で、相場で言うと本当に適正な金額なんですね。何で発注したのかと(職員に)聞くと、『この会社が非常に優秀で仕事ができるというので発注しました』と。実際その納品も受けてるわけですよ。問題意識はあまり持ってないんで」と話すと…

吉原キャスター:そこが問題じゃないですか?

維新・吉村代表:ここからは、担当者とか藤田さんじゃなくて、代表である僕の責任だと思ってて。つまり、そこは問題意識が持てないことがやっぱり問題だと。

吉原キャスター:何で問題意識が持てなかったんですか?

維新・吉村代表:実際に印刷をし、納品をし、デザインを作る。簡単な仕事ではないんですけれども、それを的確にこなしていく。つまり仕事はきっちりする。しかも値段も法外に高くして還流してるとかじゃなくて、適正な商取引として認識してた。

藤田さんの秘書なんだけど、その会社は会社として存在して、きっちり仕事をする会社だっていう認識なんです。

吉原キャスター、維新・吉村代表
吉原キャスター、維新・吉村代表

■「内規をもうちょっと厳しく作っておけば(今回の事態は)起きなかった」

関西テレビ・江口茂解説デスク:秘書の会社の売り上げにはなってなりますよね?であれば、『どれだけの利益が出たか?』との質問に、『いやそれは答えられない』と跳ねつけるのではなく、その会社にお願いして、価格を出してもらって説明する材料にした方がすっきりするんじゃないですか?

維新・吉村代表:例えば僕がいくらで発注して、お金をいくら渡したかっていうのは、明確にするべきだと思うんですよ。その先のことより、いくらで発注しましたか?っていうのは実は問題だと思っていて、今回、大阪の支部でも100万円の発注をしましたけど、どこまで利益で出てますか?っていう話では僕はないと思ってるんです。

相手がちゃんとした仕事をしてる会社であったとしても、議員の秘書が代表だったらそこは疑義が持たれうるよねと。だから外形的に見てそういうことはやめたほうがいい。

『議員の秘書が代表を務める会社には公金の発注はしない』っていう内規をもうちょっと厳しく作っておけばこれは起きなかったし、職員も含めてピンときだと思う。職員もそういった意味できっちり仕事をしてくれる会社だっていう(認識だった)」

吉村代表は、「全然迂回取引でもないし、実体のない取引でもないし、過当に高い取引でもないし、適正な取引の業者の1つだと思って発注しているので」と改めて訴えた。

線引きは
線引きは

■藤田共同代表は「一直線な人」

藤田共同代表の会見には身内の維新の議員からも批判の声が出た。

維新・中堅市議:彼は絶対に悪いと思ってない。内規を改定して終わりじゃないか。
維新・重鎮府議:全然アカン!与党の共同代表なんだから立ち位置考えな!自民党にも迷惑がかかる。

関西テレビ・江口茂解説デスク:会見では都合の悪いこと聞かれて、ちょっとキレ気味のところもありましたけど。

維新・吉村代表:会見の仕方というか、受け答えも含めての評価だと思うんですね。藤田さんからすると、本当に信頼のおける秘書であり、かつ仕事も自分が議員になる前からずっと真面目にやってきた会社で、的確に適正な価格で仕事を受けて受ける会社があってやっている。『税金還流』とか『絶対悪』みたいな(質問)に対してすごい腹立たしい思い(だったのでは)。

吉原キャスター:デザイン業務なめ過ぎとか一般的な商取引知らないだけっていう発言は問題じゃないですか?

維新・吉村代表:言い方はあったとは思いますけどね。藤田さんの性格もあるんですよね。もともと一直線なんですよ。あれも良くも悪くも一直線な人で、悪い部分が出た。すごく傲慢じゃないかって受け取る人もいたと思う。

維新・吉村代表:藤田さんって基本的に一直線な人なので。真実をちゃんと資金規正法に載せて、そしてちゃんと実体のある取引であり、何も問題はない。適正なものがあったにもかかわらず、この記者会見で取材、取材方法も含めて、ちょっとカチンときたことはあると思う。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年11月6日放送)

維新・吉村代表
維新・吉村代表
関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。