長野県松本市のJR松本駅に列車が到着する際に流れるアナウンス。なじみ深い人も多いのではないだろうか?長年、親しまれてきたが設備の更新などを理由に11月で変更となる。早くも惜しむ声があがっている。
語尾を伸ばし、どこか旅情を誘う
JR松本駅。列車が到着すると―。
「まつもとぉ~まつもとぉ~」
おなじみのアナウンスが流れる。
「まつもとぉ~まつもとぉ~」
語尾を伸ばし、どこか旅情を誘う。
 
約40年ほど前から流れている自動アナウンス。市民だけでなく観光客、鉄道ファンからも愛されてきた。
名物放送が聞き納め…別の音声に
しかし―。
JR松本駅の副駅長:
「どうしても機器は老朽化するので今回、変更が必要になった」
11月17日に別の音声に変わる。
 
JR東日本によると放送機器が老朽化し、設備を更新する必要があるが、音声のデータは引き継ぐことが難しいという。
名物放送は間もなく聞き納めに―。
「寂しい」「思い出がいっぱい」
乗客:
「なくなっちゃうの!?ちょっと寂しいねぇ。『まつもと~』っていうのがけっこうねぇ」
山口から:
「特徴的ですよね。ちょっと寂しい気もする」
 
松本市民:
「思い出いっぱいあります。関東から帰ってきたときは、あぁ家に帰ってきたんだなっていうのがあったので、疲れて帰ってくるとあれが癒やしでした。松本ならではの風物詩が消えて寂しい」
松本市民:
「ちょっと寂しいよね、駅に着いたんだっていう高揚感がなくなるから。仕事、現役のときは、ちょいちょい出張したりしたので、着いたなという安心感がありましたし」
声優の沢田敏子さん「さみしい思い」
さて、多くの人の心に残るこの声の主は、テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」のナレーションなども担当した声優の沢田敏子さん。
沢田さんは40年ほど前に当時の国鉄の駅で使用するアナウンスを依頼された。その中で松本駅用には特別な注文が入ったそう。
沢田敏子さん:
「松本は今までと他とは違う雰囲気を出してほしいって言われて。松本はすごく空気が澄んでいて、山の澄んだ空気とそこからイメージが膨らんで、やまびこみたいな読み方にしましょうかね、と試行錯誤しながら」
何回も撮り直しようやくOKが出たという。
 
沢田敏子さん:
「私(SNSの)Xで『消さないでー』って何回もアピールしたんですけど、でもやっぱりだめだった。そこには必ず終わりが来るというさみしい思いがありますね」
あれから40年―。
電話越しではあるが、あのアナウンスを実際にお願いしてみた。
沢田敏子さん:
「え、ここでですか。40年前の声ですよ、あれ。じゃあやってみますね。『まつもとー、まつもとー、まつもとです」」
 
今も変わらない旅情を誘う声だった。
11月16日の最終列車が最後
名物アナウンスは11月16日の最終列車が最後になるという。
JR東日本は安全のため長い棒を使っての録音などは控えるよう呼びかけている。
JR松本駅の副駅長:
「長年にわたり松本駅名物のアナウンスとして親しまれてきたので、録音という形ではなく安全にちょっと寄っていただいて、聞いていただけたらうれしい」
 
「まつもとぉ~まつもとぉ~」

 
       
         
         
        